ご相談『定年後の生活について』

40代後半~50代半ばのご夫婦

まだ先のことと思っていた定年後。
考えるといってもまだ先のこと、何から始めたらいいのだろう…

相談事例

そろそろ定年後のことを考えないと、と思い始めました。
とはいえ、住宅ローンに教育費で、家計に余裕があるわけではないし、
そんな中で何から始めればいいのでしょうか?

大樹太郎さんは52歳。3歳年下の奥さまと大学2年生の息子さんの三人家族。18年前に都内の一戸建てを購入し、その住宅ローンに教育費が重なって決して余裕があるわけではありませんが、それなりに生活を満喫中です。

先日、定年退職した元上司の暮らしぶりを聞き、今まで気にも留めなかった定年後のことがチラチラと頭をよぎるようになってきました。「考えるといってもまだ先のことだし、家計に余裕もないし、何から始めればいいのだろう…」漠然としかわかない定年後のイメージ。そんな心のモヤモヤが晴れるのならと、元上司に紹介されたファイナンシャル・アドバイザーに相談してみることにしました。

プロフィール
【家族構成】
大樹太郎さん(52)、花子さん(49)、息子さん=和夫さん(20)
【金融資産】
1100万円(預貯金620万円、財形480万円)
【住宅ローン】
残高約1680万円、固定金利型 利率3.4%、返済額:年約171万円
返済終了は、太郎さん64歳時(12年前に借換え)
【収入】
  • 太郎さん年850万円(精密機械製造会社勤務)
  • 花子さんなし(専業主婦)
【支出】
生活費 :年356万円(税金・社会保険料・住宅ローン返済を除く)
【貯蓄】
年70万円
大樹さんご夫妻の夢(ご希望)

まずは、大樹さんご夫妻に、家計にかかわる将来の夢や希望をうかがいます。お二人のご希望は次のようなものでした。

【息子さんの教育費】
大学の授業料や施設維持費に、年80万円はかかる。
【家のリフォーム】
バリアフリー化や水周りなどを中心に、10年後に550万円くらいは必要になりそう。
【自家用車や旅行費用など】
できれば車は5年ごとに買い替えたい。旅行費として、毎年10万円は欲しい。
【老後の生活費】
少しゆとりが欲しいので、年384万円(月32万円)
【万が一の場合の対策】
  • 太郎さん10年前に死亡保険金3000万円の保険に加入。 特に今後は医療費がかかるのでは?と心配なので内容を見てほしい。

また、ファイナンシャル・アドバイザーは、これらの希望を実現するのに資金が不足しそうな場合は、追加で毎年どれくらいの貯蓄ができるかもうかがいます。

【追加の貯蓄額】
生活費を見直して、あと年20万円ほど増額する。息子が大学を卒業すれば、さらに貯蓄できるかも。

ここが大切!

いろいろな夢や希望を経済的側面で支えていく礎となるものは「貯蓄」ですから、毎年の貯蓄は、「収入-支出」という考え方(使ってしまった残りが貯蓄)ではなくて、強い意志で毎年いくらいくら貯蓄すると決心されることをおすすめしています。

PMMのメリット

漠然としたイメージだけでも大丈夫。アドバイザーが、教育費や老後の生活費、住宅ローンや医療にかかる費用など、専門的な知識やデータでサポートしながら具体化してまいります。漠然としたイメージが具体化していくことで、夢や希望をかなえるためのプランを立てることができるようになります。

アドバイス上のトピック

ファイナンシャル・アドバイザーは、お客さまの夢やご希望をはじめさまざまな内容をヒアリングしながら、お客さまが何を重視されているのか、できなくてもあきらめのつくものは何なのかといったことを把握していきます。家計を改善するための対策は、たいていの場合メリットとデメリットがセットになっています。そこで、選択するアドバイスが、メリット=お客さまがこだわりをもたれているところにフィット、デメリット=お客さまがそれほど重視していないところにフィットするように、ファイナンシャル・プラン(ご提案)を作り上げていくことになります。

大樹さんご夫妻へ行ったアドバイス上のトピックは、次の3点です。

  • (1)定年後、年金がもらえるまで貯蓄を取り崩していった場合の家計への影響について

    • 1.大樹さんご夫妻の場合、65歳から年金を受け取る。
    • 2.公的年金額は、「マクロ経済スライド」制度が導入されたことにより、2025年頃までは物価や賃金などに部分的にしか連動しなくなっている。プラン設計にあたっては、その影響も考慮が必要となる。
    • 3.勤務先の再雇用制度を活用することも視野に入れる。
  • (2)預貯金の一部を投資することについて

    夢や目標の実現に向けて、長期にわたって家計を改善していくには、年2~5%程度のリターンでも大きな効果があります。長期国際分散投資を考えてみてはいかがでしょうか。

  • (3)住宅ローンの繰上げ返済について

    • 1.住宅ローンの支払い終了は太郎さん64歳時。退職時にローン残高を一括返済することも選択肢に入れる。
    • 2.定年までの間に繰上げ返済することも選択肢の一つ。

PMMのメリット

ファイナンシャル・プラン作成にあたっては、単にファイナンシャル・アドバイザーの判断で対策を選択するのではなく、さまざまな考慮点を踏まえた上で、時にはポイントごとにお客さまの考えをおうかがいし、また時にはお客さまに選択肢を示して選んでもらうことで、「お客さまにとって最善の提案」を作り上げていきます。

ファイナンシャル・プランのご提案

まずは、大樹さんご夫妻のご希望をそのまま家計の収支に反映し、将来の推移を見てみました。

お二人とも健康で長生きされた場合、太郎さん65歳時に家計の金融資産残高はマイナスとなり、その後も、マイナス幅はますます膨らみ、家計は破たん状態になってしまいます。

  • 【現状のキャッシュフロー表】※物価上昇率を0.5%と仮定
  • (万円)
(西暦) 20XX 20XX 20XX 20XX 20XX 20XX 20XX 20XX 20XX 20XX 20XX
太郎様 (歳) 52 53 59 60 61 62 63 64 65 75 90
花子様 (歳) 49 50 56 57 58 59 60 61 62 72 87
和夫様 (歳) 20 21 27 28 29 30 31 32 33 43 58
【収入】 給与収入 850 854 880 0 0 0 0 0 0 0 0
退職金等 0 0 0 2660 0 0 0 0 0 0 0
公的年金 0 0 0 0 0 0 0 0 236 313 313
万一の場合の保険金等 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
その他の収入 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
収入合計 850 854 880 2660 0 0 0 0 236 313 313
【支出】 税・社保 196 196 202 0 0 0 0 0 24 30 30
保険料 48 48 48 0 0 0 0 0 0 0 0
生活費 356 358 369 400 402 404 406 408 410 431 464
教育費 80 80 0 0 0 0 0 0 0 0 0
住宅費用 171 171 171 171 171 721 171 171 0 0 0
その他の計画資金 0 10 228 10 10 11 11 234 11 11 0
支出合計 851 864 1018 581 583 1135 587 812 444 472 494
家計収支=貯蓄額 -1 -9 -138 2079 -583 -1135 -587 -812 -208 -159 -181
年始金融資産残高 1100 1104 1203 1070 3153 2583 1458 877 68 -1612 -4065
年末金融資産残高 1104 1099 1070 3153 2583 1458 877 68 -140 -1770 -4246
(運用利回りの仮定) 0.4% 0.4% 0.4% 0.4% 0.4% 0.4% 0.4% 0.4% 0.4% 0.4% 0.4%
金融資産残高の推移(現状)

そこで、ファイナンシャル・アドバイザーは、太郎さんが90歳になるまで金融資産がしっかりと残るように以下の対策を盛り込んだファイナンシャル・プランを作成し、お二人にご提案しました。

<主な対策>

    • (1)生活費を年間20万円ほど節約して貯蓄にあてる。
    • (2)太郎さんは定年後も引続き5年間就業。ただし、収入は約半分になります。
    • (3)定期預金の一部をリスクを抑えた長期分散投資に、退職後はさらにリスクを抑えた投資にまわす。
    • (4)60歳時の退職金で住宅ローンを一括返済。
    • (5)車の購入は、太郎さんご希望の5年ごとから7年ごとにする。
    • (6)和夫さんの成長に合わせて過大となっていた保障などを見直し、保険料を削減。
  • 【対策後のキャッシュフロー表】※物価上昇率を0.5%と仮定
  • (万円)
(西暦) 20XX 20XX 20XX 20XX 20XX 20XX 20XX 20XX 20XX 20XX 20XX
太郎様 (歳) 52 53 59 60 61 62 63 64 65 75 90
花子様 (歳) 49 50 56 57 58 59 60 61 62 72 87
和夫様 (歳) 20 21 27 28 29 30 31 32 33 43 58
【収入】 給与収入 850 854 880 416 418 420 423 425 0 0 0
退職金等 0 0 0 2660 0 0 0 0 0 0 0
公的年金 0 0 0 0 0 0 0 0 236 313 313
万一の場合の保険金等 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
その他の収入 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
収入合計 850 854 880 3076 418 420 423 425 236 313 313
【支出】 税・社保 196 196 202 96 96 97 97 98 24 30 30
保険料 28 28 28 0 0 0 0 0 0 0 0
生活費 336 338 348 400 402 404 406 408 410 431 464
教育費 80 80 0 0 0 0 0 0 0 0 0
住宅費用 171 171 171 640 0 550 0 0 0 0 0
その他の計画資金 0 10 10 10 230 11 11 11 11 11 0
支出合計 811 824 760 1146 728 1061 513 516 444 472 494
家計収支=貯蓄額 40 31 120 1930 -310 -640 -91 -91 -208 -159 -181
年始金融資産残高 1100 1181 1798 1987 3993 3835 3341 3377 3414 2309 291
年末金融資産残高 1181 1257 1987 3993 3835 3341 3377 3414 3274 2197 116
(運用利回りの仮定) 3.8% 3.8% 3.8% 3.8% 3.8% 3.8% 3.8% 3.8% 2.0% 2.0% 2.0%
金融資産残高の推移

対策実施後のキャッシュフロー表は、それぞれの対策の効果は小さくても、その積み重ねが劇的な変化をもたらします。もちろん、この表は物価の上昇や給与の将来推移など、いくつかの仮定を前提にしており、実際にこの通り推移するわけではありません。
それでも、将来の生活が具体的な数字で表されると、不透明であった将来のイメージがぐっと頭の中に沸いてきませんか?
このイメージを掴むということが、次の行動を起こすためにも大切なのです。
この表をひとつの基準とし、その後の状況がこれよりも悪化するようであれば、早めに追加の対策を行うことで、将来、最悪の状況に陥ることを避けることができるのです。また、状況が大きく乖離した場合や目標を大きく変更した場合には、あらためて作り直したいものです。

PMMのメリット

ご家族が健康に長寿をまっとうされる場合だけでなく、ご主人もしくは奥さまに万が一のことが起きた場合や将来介護状態になってしまった場合など、多様な想定のもと、どのような状況になっても生活が苦境に陥ることなく夢や希望が満たせるように、プランを作成しアドバイスいたします。また、お客さまのご要望に応じて定期的に状況確認を行い、適宜、対策の修正や追加をアドバイスしていきます。

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