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特設コラム

Vol.13

坐禅で“自分”と向き合う時間を作りませんか?

2015.02.06

年末年始の慌しさも通りすぎ、新しいことに目を向ける余裕もでてきた、こんな時だからこそ“坐禅”に取り組んでみてはいかがでしょうか。
日常から自分を切り離す時間は、頭や心をリセットし、自分を癒すものとなるでしょう。

●坐禅の効果とは

坐禅を体験した方、日常的に行われている方にお話を伺うと、以下のようなことを感じられている方が多くいらっしゃるようです。

  • ・気持ちをスッキリ切り替えることができる
  • ・緊張を解いてリラックスできる
  • 集中力が鍛えられ、感覚が研ぎ澄まされる気がする
  • 自分や他人を赦すことができるようになった
  • ・姿勢をよい状態で保てるようになり、内臓の調子がよくなった etc.

坐禅では腹式呼吸を行うのですが、その精神安定効果はよく知られています。
腹式呼吸を一定のリズムで数十分に渡って続けていると「平常心」をもたらしてくれるセロトニンという活性物質が脳から分泌されると言われています。
セロトニンは精神だけでなく、姿勢をよくしたり、寝つきをよくしたり、体を健やかに保つ効果もあることが知られています。

●坐禅をやってみたい!用意するものは?

体を締め付けないゆったりした服装で行いましょう。
まず、座るための座布団を用意しましょう。座布団は自宅にあるもので大丈夫です。坐禅会を行うお寺などでは用意されています。また、坐禅が組めない人のために椅子が用意されているところもあるようです。
自宅で行う場合は座布団を2枚用意し、1枚は普通に敷いてその上に胡座をかき、1枚は2つに折って、お尻の下に当てるとよいでしょう。

  • ・足の組み方と手の位置について
    組み方は2種類あります。「結跡朕坐(けっかふざ)」と「半跡朕坐(はんかふざ)」です。
    「結跡朕坐(けっかふざ)」が難しい場合には「半跡朕坐(はんかふざ)」で大丈夫です。

<結跡朕坐~けっかふざ~>
右の足を左のももの上にのせ、左の足を右のももの上にのせます。

<半跡朕坐 ~はんかふざ~>
右の足を左のももの上にのせます。

手の位置は、両手のひらを上に。右手は組んだ足の上に置き、その右手の上に軽く左手をのせます。そして、両手の親指の先が軽く触れるように、ふんわりと輪をつくる感じにしましょう。これが「法界定印(ほっかいじょういん)」です。

・姿勢
上半身はまっすぐに。少しあごを引いて、頭がぐらぐらしないように。そのまま、体を前後左右に揺らして、重心を安定させてください。
それから肩の力を抜き、背骨はまっすぐに立てるイメージで。
口の中では、上あごに舌先をつけて、上下の唇・上下の歯は軽く合わせておくとよいでしょう。眼は半開きにする感じで、斜め下45度の角度、80cm~1mほど先をみつめます。

・呼吸
姿勢が整ったら、呼吸を調えます。これを「調息(ちょうそく)」といいます。
腹式呼吸を繰り返しながら、おへそから数㎝~10cm下くらい(丹田(たんでん)という位置)に力をこめる感じで、徐々に呼吸そのものを穏やかにしていきます。
深呼吸のように勢いよくスーッと吸い込んで吐くのではなく、フーッと長く静かにゆっくり吐いて、穏やかに吸います。

・心を整える
最後に、心を穏やかにしましょう。
何も考えないようにしていても、さまざまな思いが心をよぎってくると思います。これが「雑念」です。雑念は坐禅を組む上で邪魔になりますので追い払いましょう、といいたいところですが、初心者の方には難しいかもしれません。
そこで、初心者の方でも比較的トライしやすいのが「数息観(すうそくかん)」です。これはまず、組んでいる手のあたりを意識して、おなかの下のほうで数をかぞえるイメージをつくります。声に出さずに、心の中でかぞえます。
「ひとー」でふーっと長く静かに息を吐く、「つー」でゆっくりと穏やかに息を吸う。「ふたー」でまた長く息を吐き、「つー」でゆっくりと穏やかに息を吸う。これを「とお(十)」まで続けて、また「ひとー」「つー」に戻ります。
これを集中して繰り返していくと、雑念が消えていることにあとから気がつきます。
※宗派によって多少の違いがあります。

●坐禅は瞑想とは違う

ところで「坐禅と瞑想はどう違うの?」と思う方もいらっしゃるでしょう。
一般的に、瞑想とは心の集中をはかることで、自然や地球との一体感を感じ、深いリラックスを得たり、隠れていた願望=深層心理にたどり着くことを目的としています。
それに対し坐禅は、徹底的に頭を空っぽ(無)にして、自分の意識・意図を無くすことで見えてくるものと対峙することを目的としています。

●自分のために坐禅の時間をつくろう

坐禅は、自分のためだけの時間。週に1回、日に1回でももつようになると、自分や自分の周りの物事を違う角度で見られるようになります。何歳になっても、成長し続ける自分でありたいものです。

ライター(教育) 石井悦子

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