大樹認知症サポートサービス

認知症情報 vol.24 2025.7

2030年には65歳以上の約3人に1人が認知症または軽度認知障がいになると推計されています。認知症は誰もがなり得るものであり、ご家族が認知症になることなども含めて、多くの人にとって身近なものになっています。
認知症の予防に取り組んだり、認知症になった場合に備えるためには、正しい知識と十分な情報が必要になります。大樹生命は、認知症に関する最新の情報をお届けいたします。

『新しい認知症観』 ~認知症になっても自分らしく~

2024年、新たな法律 『共生社会の実現を推進するための認知症基本法』 が施行されました。
一般に “認知症基本法“ と呼ばれるこの法律により、具体的な推進計画を通じて、従来からの認知症のイメージをバージョンアップした 『新しい認知症観』 が打ち出されることになりました。

『新しい認知症観』とは

『新しい認知症観』…それは、認知症基本法に基づく「認知症施策推進基本計画」で、以下のように明文化されました。

認知症の人が、認知症の状況に応じて、最期まで自分らしく暮らせるよう、周囲の人の支えも得ながら、認知症の人の尊厳を保持できるようにすることが重要、と位置付けられています。そして、それは法律の名称にもなっている 『共生社会』 の実現につながることになります。

法律制定の背景

“認知症基本法“が定められた背景を確認しますと、日本の「超高齢社会」の進展、そして認知症患者数の増加が、その特徴として挙げられます。2024年10月1日時点で、65歳以上の人口割合は29.3%と過去最高を更新し、日本は約3.4人に1人が65歳以上の高齢者となりました。
そして、高齢者の割合が高まることは、年齢とともに有病率が高まる“認知症の患者数“も増加することを意味しています。

『令和5年度老人保健事業推進費等補助金「認知症及び軽度認知障害の有病率調査並びに将来推計に関する研究」(研究代表者 九州大学 二宮利治)』より当社にて作成

『共生社会』の実現とは?

上記で示した研究によると、2060年には、認知症およびMCI(軽度認知障がい=認知症の一歩手前の状態)の患者数合計で高齢者人口の約35%を占めると推計されています。これは高齢者のうちの約2.9人に1人に当たります。

つまり、日本において認知症は誰もがなり得るものであり、だからこそ、認知症になっても希望を持って生きていくことができる『共生社会』を実現する必要がある、と『認知症基本法』で定めたのです。

このため、“認知症基本法“ においては、同法の目的として以下のようなことが明文化されています。

  • 認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らすことができるよう、認知症施策を総合的かつ計画的に推進する。
  • 認知症の人を含めた国民一人一人がその個性と能力を十分に発揮し、相互に人格と個性を尊重しつつ支え合いながら共生する活力ある社会=「共生社会」の実現を推進する。
国および地方公共団体が取り組む認知症施策

“認知症基本法“ の目的に従い、以下の8つの施策は、国および地方公共団体が連携して取り組むこととされています。

例えば、『認知症の人に関する国民の理解の増進等』については、学校教育や、社会人に向けた認知症サポーター(*)の養成などが具体策として推進計画に掲げられています。

  • *認知症に対する正しい知識と理解を持ち、地域で認知症の人やその家族に対してできる範囲で手助けする応援者のこと。

「認知症は誰もがなり得るもの」…これには、多くの方が同意されると思います。
さらに、認知症サポーターや認知症の予防・備えなどについて、関心を持たれた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
国や地方公共団体の取組みだけではなく、私たち一人ひとりが 『新しい認知症観』 や 『共生社会』 のイメージを共有し、自分のできる範囲で、自ら行動に移していくことがますます重要になっていると言えるでしょう。

発行:2025年 7月

  • ※医師の診断や治療法については、各々の疾患・症状やその時の最新の治療法によって異なります。当記事がすべてのケースにおいて当てはまるわけではありません。
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