認知症になった時の備えとして、以下のような資金を準備しておく必要があります。
【詳しくはこちら】
- ①医療費の準備
- ②介護にかかる費用の準備
- ③他人に対する賠償の準備
- ④資産凍結を防ぐ準備
社会保障制度からの給付と、それだけでは不足する部分を自助努力で備える必要がありますが、ここでは社会保障制度の一つ、「公的年金制度」の内容を確認しましょう。
- ※本ページの記載内容は2024年4月現在の公的制度に基づいており、今後変更されることがあります。
公的年金制度
日本の公的年金制度には、国が運営する強制加入の公的年金として、国民年金(基礎年金)と厚生年金保険の2種類があり、日本国内に住所のあるすべての人が、加入を義務付けられています。
公的年金では、老齢、障害、死亡の3つが給付の要因となり、それぞれ「老齢年金」「障害年金」「遺族年金」が支給されます。
老齢基礎年金
老齢基礎年金の受給資格期間
老齢基礎年金は、原則として、①保険料納付済期間、②保険料免除期間、③合算対象期間(※)を合算した期間(受給資格期間)が10年以上ある人が65歳に達すると支給されます。
※合算対象期間とは、受給資格期間には反映されるが、年金額には反映されない期間で、第2号被保険者期間のうち20歳前と60歳以降の期間、昭和61年4月前の国民年金に任意加入の対象であるが任意加入しなかった期間などが該当します。
老齢基礎年金の支給額
保険料を納付した期間が40年(480月)を満たしていれば、老齢基礎年金は満額支給されます。納付期間が40年に満たない場合は、月数で按分した金額が支給されます。
なお、2024年度の満額支給額は年間で816,000円
(前年度プラス21,000円)となっています。
老齢厚生年金
厚生年金に加入していた人は、老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金が受給できます。
老齢厚生年金の支給開始年齢
老齢厚生年金と老齢基礎年金の受給は原則として65歳からです。
なお、現在は65歳からの受給に移行中で、昭和36年4月1日以前生まれ(女性は昭和41年4月1日以前生まれ)の人は、生年月日に応じて60歳代前半より特別支給の老齢厚生年金が受け取れます。
老齢厚生年金の支給額
老齢厚生年金は、厚生年金に加入していた期間だけでなく、その間の報酬(平均標準報酬額)により算定されるため、人によって支給額が異なります。
なお、厚生労働省のモデル試算では、平均的収入(平均標準報酬額(賞与含む月額換算)43.9万円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と夫婦2人分の老齢基礎年金(満額))の月額は約23万円となっています。
障害基礎年金
障害給付は、病気やケガなどで障害が残った場合に受給できる年金です。受給資格期間を満たせば一定の年齢から受け取れる老齢給付と違い、受給要件(※)があります。
※初診日の前々月までの被保険者期間のうち、加入期間が3分の2以上納付または免除であることなど。
障害基礎年金の年金額
障害基礎年金には、障害等級1級と障害等級2級があります。
障害等級1級 : 816,000円 × 1.25
障害等級2級 : 816,000円
障害基礎年金には子の加算があり、該当する子どもがいる場合2人目までは1人あたり234,800円、3人目からは78,300円が加算されます。(金額はいずれも2024年度の年金額)
障害厚生年金
障害厚生年金には、障害等級1級から3級までの年金があります。
障害等級1級 : 報酬比例部分の年金額 × 1.25 + 配偶者加給年金額
障害等級2級 : 報酬比例部分の年金額 + 配偶者加給年金額
障害等級3級 : 報酬比例部分の年金額
老齢厚生年金の計算と同様に、厚生年金に加入している間の報酬(平均標準報酬額)により年金額は異なります。また、1級または2級の場合、生計を維持されている配偶者(65歳未満)がいるとき配偶者加給年金が加算されます。
※厚生年金保険の被保険者が該当した場合、被保険者期間が300月未満であれば300月とみなして計算します。
遺族基礎年金
遺族基礎年金の受給要件
被保険者または老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡したとき。(ただし、死亡した者について、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が加入期間の3分の2以上あること)
遺族の範囲
遺族基礎年金を受給できる対象者は、死亡した人によって生計を維持されていた、「子のある配偶者」と「子」です。「子」とは、18歳に達する日以降の最初の3月31日までの間にある子(障害等級1級、2級に該当する場合は20歳未満)です。
遺族基礎年金額の年金額
2024年度の遺族基礎年金額は、816,000円に子の加算(子ども2人目までは1人あたり 234,800円、3人目からは78,300円)を加えた金額です。
なお、子が遺族の範囲から外れると年金額が再計算され、すべての子が遺族の範囲から外れると遺族基礎年金の支給はなくなります。
寡婦年金・死亡一時金(第1号被保険者の独自給付)
国民年金の第1号被保険者だった人が、老齢基礎年金も障害基礎年金も受給せずに死亡した場合、独自の給付として、遺族に寡婦年金や死亡一時金が支給される場合があります。
遺族厚生年金
遺族厚生年金の受給要件
- 1.被保険者が死亡したとき、または被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡したとき。(但し、遺族基礎年金と同じ保険料納付要件を満たすこと)
- 2.老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上あるものが死亡したとき。
- 3.1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けられるものが死亡したとき。
遺族の範囲
遺族厚生年金を受給できる遺族は、死亡した人に生計を維持されていた ①配偶者・子 ②父母 ③孫 ④祖父母で、上位順位者が受給できます。
但し、夫、父母、祖父母は、本人の死亡日に55歳以上である人に限られ、60歳以降に受給できます。
なお、子のない30歳未満の妻は、5年間の有期給付となります。
遺族厚生年金の年金額
遺族厚生年金の年金額※=老齢厚生年金の報酬比例部分の額 × 3/4
- ※厚生年金保険の被保険者が死亡した場合、被保険者期間が300月未満であれば300月とみなして計算します。
中高齢寡婦加算
夫の死亡時に、40歳以上65歳未満で子がいない妻(夫の死亡後40歳に達した当時には子がいた妻も含む)が受け取る遺族厚生年金には、40歳から65歳になるまで中高齢寡婦加算(2024年度は年額612,000円)が加算されます。