2025年には65歳以上の約5人に1人が認知症になると予想されています。認知症は誰もがなり得るものであり、家族や身近な人が認知症になることなども含めて、多くの人にとって身近なものになっています。
認知症の予防に取り組んだり、認知症になった場合に備えるためには、正しい知識と十分な情報が必要になります。大樹生命は、認知症に関する最新の情報をお届けいたします。
自分が、家族が、「認知症かな?」と思ったら…
高齢化の進展により急増が見込まれる認知症は、その予防が社会の大きな課題となっています。
厚生労働省によると、2012年の時点で65歳以上の高齢者の7人に1人だった認知症患者の割合は、2025年には5人に1人になると推計されています。
さらに高齢者だけではなく、65歳以下の人がかかる若年性認知症を含めると、認知症は年代を問わず発症の可能性がある、誰にとっても身近な病気なのです。
とはいえ、認知症は突然発症するわけではありません。
段階を踏み、時間をかけてゆっくりと進行していきます。
そのため、発症の前段階であるMCI(軽度認知障がい)の状態で兆候に気付き、治療や生活改善をすることが、認知症の発症を食い止めたり、遅らせることに有効になります。
大切なのは、まずMCIの段階で認知症のサインに気付くこと。自分や家族、身近な人が「認知症かな?」と思ったら、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

MCIは認知症になる一歩手前、予備群の状態
MCIは、認知症の軽症段階と思われがちですが、あくまで手前の予備群であって、まだ認知症ではありません。物忘れが多いものの日常生活への影響はほとんどなく、認知症とは診断できない、正常と認知症の中間ともいえる状態です。
【厚生労働省が定めるMCIの定義】
- ● 年齢や教育レベルの影響のみでは説明できない記憶障がいが存在する。
- ● 本人または家族による物忘れの訴えがある。
- ● 全般的な認知機能は正常範囲である。
- ● 日常生活動作は自立している。
- ● 認知症ではない。
- ※厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト「e-ヘルスネット」より
認知症の最大の予防は、MCIに気付くこと!
認知機能はMCIという段階を経て低下していきます。認知症の診断の多くは、認知症の症状が進行してから行われています。認知機能が低下したMCIを「まだ分からない」からと放っておくと、やがて認知症になる可能性が高まります。
認知症の予防については、生活習慣の改善などさまざまな方法が提唱されています。しかし、認知症の発症を防いだり、遅らせたりできる最も具体的で効果的な方法は、MCIに早い段階で気付き、迅速に対処することなのです。
「MCI気付きのチェック表」
自分自身のこと・身近な人のことで「もしかして?」と思ったら、当てはまる項目にチェックしてみましょう。
- □約束したことをよく忘れるようになった
- □物をなくしたり、置き忘れやしまい忘れが目立ってきた (自分で見つけることはできる)
- □好きだった趣味への興味がなくなった
- □物や人の名前が出てこない
- □話題が乏しく限られてきた
- □新しいことに関心がなくなり、覚えようとしなくなった
- □家族や友人との会話が楽しめなくなった
- □水道を出しっ放しにしたり、鍋を焦がしたりするようになった
- □何度も同じ質問をしたり、確認をするようになった(周囲から言われることも含む)
- ※このチェック項目はあくまでも目安です。MCIや認知症を診断するものではありません。
以上のようなサインが多いようであれば、早めにかかりつけ医や「物忘れ外来」などの専門医療機関に相談してみましょう。
新型コロナウイルスの感染拡大以降、外出の機会や家族以外の人との交流が激減することで、認知症への影響が懸念されています。
人との交流や会話は脳を刺激し、認知症のリスクを下げるといわれています。在宅ワークや外に用事のない人でも、日用品の買い出しなどで1日1回は外に出るようにし、メールだけでなく電話やビデオ通話などでリアルタイムに人と交流する機会を増やすことが大切です。
閉じこもりや社会参加の減少によって認知症のリスクが高まることがないよう、自分や家族、身近な人に注意を払いたいものです。
原稿:社会保険研究所©
- ※当記事は、ティーペック株式会社『ティーペック健康ニュース』(2020年7月)より転載して作成しております。
- ※医師の診断や治療法については、各々の疾患・症状やその時の最新の治療法によって異なります。当記事がすべてのケースにおいて当てはまるわけではありません。
- ※当記事の内容は、上記発行年月時点の情報に基づき記載しております。発行後の法令・制度等の改正、医療の状況の変化等は考慮しておりませんのでご注意ください。
掲載記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。
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