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健康コラム

Vol.107

食事と運動が高血糖改善の2本柱

2023.5.01

野菜→肉・魚→ご飯 食べる順番にも留意

糖尿病の治療・高血糖の改善の基本は食事療法と運動療法です。この2つを実行しても血糖値が改善しない場合に薬物療法を検討します。

まず食事療法の第一は適正なエネルギー量の食事を摂ること。適正な体重を保ちながら、日常生活に必要なエネルギー量の確保を目指します。自分の体重が適正かどうかはBMIと呼ばれる指標を使うのが有効。これは【体重(キログラム)】÷【身長(メートル)の2乗】で求められます。体重65キログラム、身長1メートル72センチの人なら【65】÷【1.72の2乗】で、BMIは22.0です。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」ではBMIの目標数値を18~49歳は18.5~24.9、50~64歳は20.0~24.9、65歳以上は21.5~24.9と定めています。自分の体重がこの範囲内に収まっているかを確認しましょう。

そのうえで、適正なエネルギー量は決まりますが、1日の身体活動量や性別、年齢、血糖目標値などによって左右されますので、主治医などとご相談されることをおすすめします。食事療法の第二は栄養バランスの整った食事を摂ること。3大栄養素の理想的な摂取比率は炭水化物50~60%、たんぱく質15~20%、脂質20~25%とされています。

食事療法の第三は規則正しく食事を摂ること。基本は、①3食の食事量を均等にする、②食事の時間をなるべく一定にする、③早食い・まとめ食い・間食はしないの3点です。食事療法の第四は食べる順番に留意すること。最初は野菜や海藻、きのこなどの食物繊維を重点的に、次に肉や魚、卵、豆腐などのたんぱく質、そして最後の方でご飯やパンなどの炭水化物を食べることで、食後の血糖値急上昇を抑えることが期待できます。

もうひとつの運動療法については、最初に十分なストレッチを行うこと。けがの予防に加え、ストレッチ自体も血糖値改善につながります。

そのうえで、ウオーキングやジョギング、水泳など(有酸素運動)と筋力トレーニング(レジスタンス運動)を組み合わせて行いましょう。有酸素運動は「楽」と「ややきつい」の間くらいの負荷の運動を1日20分以上、週3~5回行うのが目標。筋力トレーニングは1種目10~12回×3セットの運動を1日4種目ほど、週3~5日を目標に、無理のない範囲で継続を目指してください。

糖尿病の治療の基本は「食事療法」と「運動療法」

塚本 和久

監修/塚本 和久

帝京大学医学部内科学講座主任教授、附属病院内分泌代謝・糖尿病科長。専門は糖尿病・脂質異常症・代謝疾患。

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