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マネーコラム

Vol.36

ご存知ですか?介護費の一部も医療費控除の対象です

2017.01.01

あまり知られていませんが、実は、介護費の一部も医療費控除の対象になります。
同居の家族に要介護者がいる場合や、扶養している親族が要介護になった場合など、医療費控除の手続きを忘れずに行いましょう。

■医療費控除とは?

1月1日から12月31日までの1年間に一定以上の医療費を支払った場合、その超えた分を所得から控除することができ、確定申告を行って税金の還付を受けることができます。これを医療費控除といいます。
対象となるのは、1年間に支払った医療費の合計が10万円(所得200万円以下なら、所得の5%)を超えた分です。
医療費控除の対象は「生計を一にする親族」(=6親等内の親族+3親等内の姻族)」で、扶養しているかどうかは問いません。配偶者や子ども、あるいは別居の親族でも仕送りをしているなど「生計を一」にしていれば、医療費の合算ができます。

※「配偶者や子ども、あるいは別居の親族でも仕送りをしているなど「生計を一」にしていれば、医療費の合算ができます。例えば、勤務、修学、療養費等の都合上別居している場合でも、余暇には起居を共にすることを常例としている場合や、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合には、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。
例えば、勤務、修学、療養費等の都合上別居している場合でも、余暇には起居を共にすることを常例としている場合や、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合には、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。」(国税庁)

ただし、次のようなものは差し引いて、実際にかかった分だけを計算します。

  • ・生命保険・損害保険からの給付金・保険金
  • ・公的医療保険で高額療養費として戻る分
  • ・公的介護保険の高額介護サービス費として戻る分
  • ・出産育児一時金など

医療費控除の対象になるのはあくまでも「治療に必要なもの」です。
そのため、たとえば人間ドックのような健康診断は対象になりません。

医療費控除の対象になる?

■医療費控除でいくら戻る?

仮に、一家で医療費が1年で20万円かかったとします。
この場合、20万円-10万円=10万円が医療費控除の額です。

確定申告で医療費控除の手続きを行うと、1か月後くらいに、所得税率が10%の人なら1万円、20%の人で2万円の所得税が還付されます。また、医療費控除を行うことで翌年の住民税が下がる場合もあります。

確定申告は通常、2月16日~3月15日に行いますが、還付申告なら1月中旬から受け付けてくれるので、混まないうちに手続きを済ませるのもいいでしょう。
還付申告は5年間遡れるので、きちんとレシートが残っていれば申告して還付を受けましょう。
生活の様子や病気、通院などの状況を把握しておくこと、認知症などの兆しがないかなどに注意しながら雑談を。
携帯電話の無料通話などを上手に利用するのもいいですね。

■実は親の介護費も医療費控除の対象に!

あまり知られていませんが、介護費の一部も「医療費控除」の対象になります。

1.居宅サービス
「居宅サービス」では、「医療費控除の対象になるもの」、「ならないもの」、「医療費控除の対象となるサービスと一緒に利用すると対象になるもの」の3つに分けられます。

医療費控除の対象になるかどうかを見分けるのは、実は難しくはありません。事業者が発行する領収書をチェックすれば、対象となる医療費の額が明記されています。
ただし高額介護サービス費の払戻しを受けた場合は、その分を差し引いた分になります。

訪問看護や訪問リハビリ、ショートステイなどは対象になるものの、グループホームや有料老人ホームでの介護サービスは対象外です。医療費控除の対象となる居宅サービスと一緒に受ける場合は、夜間対応型訪問介護や訪問入浴介護なども医療費控除の対象になります。

通所リハビリやショートステイなどへの往復の交通費も医療控除の対象ですので、記録をつけておきましょう。

医療費控除の対象となる居宅サービス費の例

参照:医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービス等(国税庁)

2.施設介護費
「施設介護費」では、「所定の施設サービスの自己負担額(一部の施設は1/2相当額)」は医療費控除の対象となりますが、「日常生活費」や「特別なサービス費用」は対象外となります。

おむつ代も介護保険の対象となるため、自己負担額が医療費控除の対象になります。また、介護老人保健施設や介護療養型医療施設の個室等の費用も医療費控除の対象(治療を受けるためにやむを得ず支払うものに限る)となります。

医療費控除の対象になる施設介護費の例

参照:医療費控除の対象となる介護保険制度下での施設サービス(国税庁)

働きながら親の医療・介護をサポートしている場合は、少しでも経済的な負担を軽減できるよう医療費控除を上手に活用しましょう。医療費控除の対象かどうか迷ったときは、とにかく領収書やレシートを取っておいて、申告時の税務相談などで確認するといいでしょう。

ファイナンシャルプランナー 豊田眞弓

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