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マネーコラム

Vol.41

日本人の平均貯蓄額は
1,600万円ってホント?

2017.06.01

今回は、貯蓄に関するデータを見てみましょう。
貯蓄額の平均値や中央値を見て、高いと感じますか?低いと感じますか?
貯蓄のない世帯がじわじわ増えている現状を、統計データで見てみましょう。

■平均貯蓄額と中央値

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2016年)」より、貯蓄関連のデータを見てみましょう。

まずは、どれくらい金融資産があるかですが、金融資産保有世帯だけで見た場合、2人以上世帯の平均値は1,615万円、中央値は950万円、シングル世帯では平均値1,590万円、中央値600万円です。
なお、「中央値」とは、数値を小さい順に並べたときに真ん中にくる金額です。とびぬけて高額な人が1人いると平均値は高くなってしまうため、この中央値も含めてデータを見ることが大事です。

金融資産を持たない人も含めた平均額となると金額は大きく下がります。
2人以上世帯の平均値は1,078万円、中央値は400万円、シングル世帯では平均値822万円、中央値20万円。同じデータでも、どの数字を参照するかで金額の印象が違ってきます。

年代別の分を含め、2人以上世帯とシングル世帯の金融資産の状況を整理したものが図表1です。
貯蓄目標を立てるための発奮データにするのであれば、金融資産がある世帯のデータを参照するといいかもしれません。

表1 金融資産はいくらある?(単位:万円)

■どのような金融資産で貯めている?

では、どのような金融資産で貯めているのでしょうか。内訳をみると、図表2のようになっています。ここでは金融資産がある世帯に限っています。

表2 何で貯めている?(単位:万円)

最も多いのは預貯金ですが、次に多いのは個人年金保険など貯蓄型の生命保険です。
最近増えてきた外貨建ての終身保険や年金保険などもこのカテゴリーに入っていると思われます。

金融資産の組み合わせのことを「ポートフォリオ」といいますが、皆さんのご自身の金融資産も書き出し、ポートフォリオを整理してみるといいでしょう。

■毎月の貯蓄割合は?

手取り収入から貯蓄に回している割合の平均はどれくらいだと思いますか?

表3 手取り収入からの貯蓄割合は?(金融資産保有世帯)

手取り収入から貯蓄に回している割合は、2人以上世帯で9%、シングル世帯では14%です(金融資産保有世帯)。貯蓄型の保険であれば、保険料も含まれます。
皆さんの貯蓄割合はどれくらいでしょうか。

■シングル世帯で5割近くが貯蓄ゼロ

大きな問題なのが、金融資産がない世帯の増加です。
2人以上世帯で3割強、シングル世帯に至っては、5割近くは金融資産がありません。
この割合はじわじわ増え続けています。

表4 貯蓄ゼロの割合の推移(全年齢)

金融資産がない人の中で特に多いのは「収入がない」世帯で、次が「300万円未満」の低所得世帯です。収入がない、少ないから貯蓄ができないのは理解できますが、一方で、2人以上世帯の例ですが、「1,000万~1,200万円未満」の層でも20.3%、「1,200万円以上」でも8.7%が金融資産ゼロ。
高所得でも家計のコントロールができないと、貯められない場合もあるのです。

図表5 貯蓄ゼロの人の収入の分布

■おわりに

しかし、データで見てきたように貯蓄がない世帯も増えていて、実際には、「貯蓄格差」が広がっていることがわかります。

貯蓄がないまま改善できないと、自分らしい人生を送ることが難しくなるばかりか、望むような老後の暮らしもできなくなってしまいます。もし今、貯蓄が十分にできていないと気づいた人は、早めに改善するようにしましょう。
人生をデザインするには、その裏づけになるマネープランは欠かせません。
目的に合った方法でしっかり貯蓄して、しっかり備えたいものです。

ファイナンシャルプランナー 豊田眞弓

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