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マネーコラム

Vol.45

雇用保険の教育訓練給付制度で退職後の武器をつくろう!

2017.10.01

人生100歳時代を生き抜くには、本気で生涯現役を考えていかなくてはいけない時代といえそうです。そのための武器として、会社員の方なら雇用保険の教育訓練給付制度を上手に活用し、退職後の仕事につながる武器を身に付けることを考えてみては?

■副業解禁?生涯現役の準備を

政府は、「働き方改革」の中で、正社員の副業や兼業を後押しする方針を打ち出しています。これまでは「原則禁止」だったものを「原則容認」に方向転換し、副業・兼業がしやすくなる環境整備を進めています。
以前から自由時間を制限することは憲法違反だとする指摘もありましたが、未だに就業規則で「副業禁止」が打ち出されている企業も少なくありません。厚生労働省の「モデル就業規則」の中でも、「原則容認」に改定することが検討されています。雇用保険の対象も、月20時間以上で加入できるところを、副業・兼業で合計20時間を超えれば対象となるようにすることも検討されているようです。
副業が解禁されることのメリットとして、現役時代の収入アップが挙げられます。また、現役時代から老後につながる収入源を確保することにもつながります。人生100歳時代には、年金以外にも収入源を確保することは必須になると思われます。
生涯現役につながる仕事を確保する中で、雇用保険加入者であればぜひ活用してほしいのが、教育訓練給付制度です。

■教育訓練給付制度ってどんなもの?

教育訓練給付制度とは、「雇用の安定と再就職の促進を図る」という目的で設けられた、中長期的なキャリア形成に役立つ雇用保険の制度です。労働者や離職者が、自分で費用を払って厚生労働大臣が指定する教育訓練講座を修了した場合に、支払った費用の一定割合(上限あり)について、ハローワークを通じて給付を受けられるものです。在職中の会社員や退職後1年以内の人などで、雇用保険加入期間などの条件が該当すれば利用できます。
教育訓練給付制度は、2014年10月に拡大され、雇用保険加入期間が原則3年以上(初回1年以上)で利用できる一般教育訓練と、原則10年以上(初回2年以上)で利用できる専門実践教育訓練の2本立てになっています。
対象となる講座もさまざまなものがありますが(図表参照)、これはあくまでも一部。実際には厚生労働省の講座検索専用サイトで検索したり、ハローワークで閲覧したりできます。ただし、厚生労働大臣が指定した教育訓練施設(学校等)で受講した場合しか対象にならないので注意しましょう。一般教育訓練も専門実践教育訓練も、いずれも通学(昼間・夜間・土日)のほか、通信講座やeラーニング講座もあります。

図表 教育訓練給付制度の概要

■教育訓練給付の対象と支給額

対象になる資金は、入学金や受講料(教科書代等含む)が挙げられます。割引がある場合は割引後の額です。対象にならない費用は、検定試験の受験料や補助教材費、補講費、交通費、パソコン等器材などが挙げられます。
教育訓練給付金として給付される額は、一般教育訓練か専門実践教育訓練かで異なります。まず、一般教育訓練では、入学金・受講料の20%で、上限は10万円(4,000円超で支給)。受講開始日前1年以内にキャリアコンサルタントのコンサルを受けた場合は、その費用も教育訓練経費に加えることができます(上限2万円まで。平成29年1月1日以降に受けた場合)。
金額として大型なのは専門実践教育訓練で、入学金・受講料の40%が対象。1年の上限額は32万円で、訓練期間は最大3年間のため、最大96万円(4,000円超で支給)。この専門実践教育訓練を修了後、定められた資格等を取得し、受講修了日の翌日から1年以内に雇用されたかすでに雇用されている人には、20%分が追加で支給されます。
それぞれちょっと試算してみると、例えば、一般教育訓練で30万円かかった場合は、20%なので、教育訓練給付金は6万円給付されます。専門実践教育訓練で50万円の講座に2年通った場合は、50万円×40%×2年=40万円の給付です。60%に該当する場合は、50万円×60%×2年=60万円。
なかなか使える制度です。上手に活用して、オトクとキャリアをゲットしたいものです。

■まとめ

給付金の請求は、一般教育訓練は修了後1カ月以内が手続きのリミットです。専門実践教育訓練の場合は、修了後だけでなく、受講中にも6カ月のごとの末日から1ヶ月以内が申請期間です。忘れずに、すみやかに手続きをしましょう。
この教育訓練給付制度、さらなる拡大も検討されているようです。条件をクリアすれば複数回の利用も可能ですので、上手に活用しましょう。スキルアップや資格取得をして「働き力」を上げるとともに、老後に通じる収入源を確保する準備もしたいものです。

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