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マネーコラム

Vol.51

40~50代は「責任世代」。将来も見据えてどんな病気・ケガに備えるべき?

2018.04.01

「責任世代」といわれる40~50代は、背負っているものが多いからこそ、リスクマネジメントも手を抜けません。この年代が気を付けるべき病気・ケガについて、データを見ながら考えてみましょう。

●40~50代は健康の曲がり角?

職場での責任も重くなり、家庭では子どもの教育費が正念場を迎える40~50代。親や義理の親も70代にさしかかり、そろそろ見守りやサポートが必要になってきます。いろいろなものを背負う「責任世代」は、病気やケガで入院・手術となったときのリスクも大きい年代です。

一方で、この年代は健康診断で指摘事項が出始めたり、持病ができたりと、「健康の曲がり角」ともいえるお年頃です。まずは、表1を見てみましょう。厚生労働省「平成26年患者調査」のデータで、入院受療率(10万人中の人数)を男女別に見たものです。

表1 入院受療率(人口10万人対)

これを見て気づく人もいると思いますが、実は、男女で年代ごとの受療率の傾向が異なります。女性は妊娠・出産の合併症や乳がん・子宮がんなど婦人科系の病気による入院もあって、20代・30代は男性よりも入院受療率が高めです。40代で少しなだらかな上昇となったところで男性に逆転され、その後60代・70代と年代が上がるにつれて入院受療率が上がっていくのがわかります。

一方、男性の場合は、40代半ば頃から入院率が上がり始め、50代以降は右肩上がりに増えていきます。80代くらいまで女性より入院受療率が高くなっています。

女性は早くから医療保障に備える必要がありますが、全体の傾向としても、40~50代を超えると入院受療率が急激に上がり始める傾向があります。背負っている責任が大きい分、入院・手術などのリスクに備える優先順位も高いといえます。

●責任世代で多い入院の原因と平均入院日数が長い病気・ケガ

40代以降はどのような原因で入院するのでしょうか。参考データとして、入院受療率が高い病気・ケガと、平均在院日数が長くなる病気・ケガについて見ておきましょう。年代としては、35~64歳とそれ以上という2区分のデータのみ取り上げています。

表2は入院受療率の高い傷病を示したもの(主に大区分)ですが、35~64歳では、「精神及び行動の障害」、「新生物(がん等)」、「循環器系の疾患」、「神経系の疾患」、「損傷・中毒等」の順になっています。入院の原因として最も多いのは、がんよりも統合失調症等の「精神及び行動の障害」だという点は少し驚きです。65歳以上になると、脳血管疾患などの循環器系の疾患がトップに躍り出ることや、骨折なども見過ごせないリスクとなります。

表2 入院受療率が高い病気・ケガ(大区分)

表3の平均在院日数を見ると、35~64歳では、「統合失調症等」「血管性及び詳細不明の認知症」「アルツハイマー病」「気分障害(躁うつ病含む)」「脳血管疾患」と続きます。65歳以上は日数が伸びるものの、入院日数が長期化しがちな傷病はほぼ同じです。がんは決して長くはないのですが、再発・再入院も少なくない病気であることも念頭に置く必要があります。

表3 平均在院日数が長い病気・ケガ(病名)

もう1つ、死因につながる傷病についても見ておきましょう。表4は厚生労働省「平成28年度人口動態統計」のデータで、死因となる病気・ケガを5位まで示したものです。これを見ると、40~50代の男女ともに、「悪性新生物(がん)」「心疾患」「脳血管疾患」「不慮の事故」で亡くなる方が多い傾向が見られます。これらに備えることの重要性がわかります。

表4 死因となる病気・ケガ

●将来は「在宅医療」が広がる可能性も!?

厚生労働省は、団塊世代が75歳になる2025年の大介護時代に向けて、住み慣れた地域で老後を送る体制づくり(地域包括ケアシステムの構築)を推進しています。その柱になるのが「かかりつけ医」です。

2018年度の診療報酬改定でも、「かかりつけ医」を促進する内容になっているほか、自宅や介護施設での「看取り」に対する報酬が加算されるなど、介護サービスとの連携が強化され、今後は、特に高齢者に対する在宅医療が増えるとみられています。

表5を見ても、在宅医療が増える傾向が見られます。在宅医療には往診と訪問診療があります。「往診」は患者や家族に求められて家に出向いて診療すること、 「訪問診療」は自宅療養中で通院が困難な患者に対し、計画的な医学管理の下で定期的に訪問診療を行うことをいいます。今後さらに増えることが見込まれます。

表5 在宅医療を受けた推計外来患者数

●責任世代は医療保障やがん保障をしっかりと!

ただでさえ責任が重い40~50代の方は、病気やケガで入院する経済的リスクが小さくはありません。死亡保障はもちろんのこと、医療保障や就労不能保障などにもしっかり備えておくと安心です。入院時のリスクが高いことから医療保障にもしっかり備えておきたいもの。医療保障の備え方としては、保険+貯蓄の2本立てで備えるのが理想でしょう。

また、データで見てきたように、40~50代以降はがんや心疾患、脳血管疾患などのリスクが高いことから、がんや三大疾病などの保障を厚めにカバーするのも意味があります。

もう1つ、40~50代は、人生後半に向けた保障の見直しをする年代でもあります。健康で自由に見直しができるうちに、高齢期を見据えた保障にしておきたいものです。この機会に、医療保障の総点検をすることをお勧めします。

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