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マネーコラム

Vol.63

住宅ローン控除の拡大などで住宅取得はいつが有利に?

2019.04.01

政府は、消費増税をきっかけに景気がダウンすることがないようにと、大きな買い物である「住宅」に関して、手厚い対策を用意しています。これらを踏まえると住宅取得はいつが有利になりそうか、考えてみましょう。

■住宅ローン控除が3年延長

住宅ローン控除は、消費税増税前までは、年末残高に応じて最大で年間40万円(長期優良住宅などは最大50万円、消費税がかからない中古で売主が個人の場合は最大20万円)の減税が10年間受けられます。

増税後は、消費税率10%が適用される場合のみ、住宅ローン控除期間が3年延長されます。11年目以降は、ローン残高の1%か、建物購入価格(一般4,000万円、認定住宅等5,000万円まで)の2%を3年で割った額のいずれか低い方が控除額となります。

ただし、13年に延長されるのは居住開始が2020年12月まで。また、消費税8%適用分や課税がない場合は現状と変更はなく、2021年は消費税10%適用分も増税前の内容に戻ります。(表1参照)

表1 住宅ローン控除

■拡充される「すまい給付金」

すまい給付金は、原則住宅ローンを利用して住宅取得をした人が対象ですが、50歳以上で一定要件を満たせば、現金で購入した場合も対象になります。
増税前の2019年9月までは、年収510万円以下の人に最大30万円給付、増税後は年収775万円以下の人を対象に最大50万円と拡充されます。ただし、2021年12月31日までに引き渡された住宅が対象です。
なお、消費税が非課税となる個人間売買の中古住宅は対象外です。

表2 すまい給付金の拡大(2021年12月31日まで)

■次世代住宅ポイント制度

もう1つ、エコ住宅や耐震住宅などの新築住宅を購入したり、所定のリフォームをした場合にポイントが付与される「次世代住宅ポイント制度」も設けられます。

消費税率10%が適用された一定性能を備えた住宅の新築・リフォームを行うと、新築で最大で35万ポイント、リフォームで30万ポイントが付与されます。ポイントは省エネ・環境配慮に優れた商品、健康関連商品、子育て関連商品、防災関連商品、家事負担軽減に資する商品、地域振興に資する商品などに交換できる予定です。

なお、新築は貸家は対象外ですが、リフォームは貸家も対象です。リフォームは改修や設備設置に応じてポイントがもらえます。中古住宅の購入に伴うリフォームの場合はポイント2倍になります(最高30万ポイント)。

表3 次世代住宅ポイント制度(新築の場合)

■マイホームを買うならいつが有利?

消費増税に関わる3つの制度を見てきましたが、これを踏まえて考えると、住宅取得はどのタイミングがベストでしょうか。

表4は増税後の物件の種類や適用税率で整理をしたものですが、増税分が住宅ローン控除で相殺されるなら、すまい給付金の拡大分や次世代住宅ポイントの分はプラスと考えられます。

また、表にはありませんが、住宅取得資金の贈与についても限度額が拡大されます。父母や祖父母など直系尊属から自宅を新築・増改築等する資金の贈与を受けた場合、要件を満たせば非課税になる制度です。2019年3月までの非課税枠は一般住宅700万円(基準を満たす省エネ等住宅1,200万円)ですが、4月以降2020年3月31日までは2,500万円(3,000万円)に拡大されます。

なお、注意すべきは各制度に「期限」がある点です。住宅ローン控除とすまい給付金は2020 年12月31日までですが、次世代住宅ポイント制度は「2020年3月に請負契約・着工」「2018年までに完成済み新築は2019年12月までに売買契約」などと早めに設定されています。

表4 2019年10月1日~2020 年12月31日の住宅関係制度

一定期間は増税後の方が制度が整っていますが、いくらの物件を購入するのか、いくらの借り入れをするのかなどによっても有利・不利は異なってきます。

■金利の動きや不動産価格の動きなどにも注意!

その他、住宅ローンの金利や不動産の価格も購入の有利・不利に影響します。

金利については、例えば、住宅ローンを3000万円、35年返済、全期間固定で金利1.5%、元利均等返済、ボーナス払いなしで借りると、返済額は月91,855円(総返済額3,857.9万円)です。これが0.1%金利が上がって1.6%になるだけで月93,331円(総返済額3,919.9万円)となり、総額で62万円も違ってしまいます。

また、物件価格の値動きも気になります。物件価格が上がっていくなら早めに買った方がいいでしょうし、値下がりに転じた場合は保有するタイミングを本気で考えるべきかもしれません。

いずれにしても、資金計画をしっかりたてて、無理のない予算の範囲で検討しましょう。税制の変化などにあまり振り回され過ぎずよい物件に出会えることが一番大切なことなのです。

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