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マネーコラム

Vol.64

これからの時代とっても大事。金融リテラシーを身に付けよう!

2019.05.01

これからの時代、金融リテラシーは「生きる力」の1つでもあります。実は、リーマンショックをきっかけにして、金融教育の必要性が世界的に叫ばれています。キャッシュレスや金融の多様化が進む中、金融リテラシーを高める努力をしましょう。

■「金融リテラシー」ってどんなもの?

「リテラシー(literacy)」とは、基礎力や理解力、応用力といった意味です。そのため、「金融リテラシー」は、お金に関する知識や判断力のことを指します。今の時代を生きていくには最低でも身に付けておくべきものです。金融リテラシーを高めるために行われている教育のことを「金融教育」といいます。

世界的に金融リテラシー向上の必要性が重要視されるきっかけとなったのが、「リーマンショック」です。2008年、アメリカのリーマン・ブラザーズの破綻が引き金になって起きた世界的な金融危機がリーマンショックですが、金融機関の規制が強化されるとともに、借りる個人の金融リテラシーの問題も指摘され、金融教育への関心が急激に高まったのです。

米国では、不動産バブルだった2000年前後、金融機関が信用力の低い個人に「サブプライムローン」の名称でどんどん貸出しをしました。買う側も、不動産が値上がりしていたので、「不動産を売却すれば返済できるだろう」と甘い見込みで身の丈以上の不動産を買っていたのです。しかし、その後不動産価格が低迷し、住宅ローンを返せない個人が続出しました。しかも、この住宅ローン債権が証券化され、さまざまな金融商品に組み入れられていたため、世界的な金融危機が引き起こされたのです。

リーマンショック後は、OECD(経済協力開発機構)内に金融教育についての情報共有・分析等を行う「金融教育に関する国際ネットワーク」が設けられ、会議が行われています。日本でも、2013年に金融広報中央委員会(事務局は日銀)の中に「金融経済教育推進会議」が設置されました。年代ごとに学ぶべき金融リテラシーを整理した「金融リテラシー・マップ」が作られ、関連団体とともに金融教育が行なわれています。

■「身に付けたい金融リテラシー」とは?

では、社会人はどのような金融リテラシーを身に付けておく必要があるのでしょうか。
金融庁のリーフレット「最低限身につけるべき金融リテラシー」(※)では、次のように、4分野15項目に集約されています。内容としては金融経済教育推進会議で作成されたものです。

最低限身につけるべき金融リテラシー

※最低限身につけるべき金融リテラシー
https://www.fsa.go.jp/news/25/sonota/20131129-1/01.pdf

さらっと整理されていますが、1つひとつは実は奥が深い内容です。

■保険の金融リテラシーとは?

この中で、保険に関する金融リテラシーとしては、2つあります。

【保険商品】

わが家ではどのようなリスクを保険でカバーすべきかを理解することと、必要保障額がどれくらいなのかを理解すること。この2つが、「最低限身につけるべき金融リテラシー」に挙げられています。

「理解する」というのは、単に「知る」ということとは少し異なるように思います。金融リテラシーは「知識」と「判断力」ですので、周辺の知識も含めて知ることで、自分で判断できる力を持つという意味があり、それが「理解する」という表現になっているのだと思われます。

■「相談力」も金融リテラシー

また、「最低限身につけるべき金融リテラシー」には、外部の知見の適切な活用も含まれます。金融商品を利用する際に、外部の専門家の知見を活用することは非常に大事です。

外部の知見の適切な活用

専門家に相談をするのも1つの方法でしょう。
家計やライフプランのことならファイナンシャルプランナー(FP)、住宅ローンのことなら住宅ローンアドバイザー、投資の実際的アドバイスなら投資顧問業を保有しているFP、保険のことなら保険のコンサルなどでしょう。信頼できるコンサルタントを見つけることが大事です。

■高齢者は騙されやすい!?

金融広報中央委員会が18~79歳の個人に対して行った「金融リテラシー調査(2016)」の結果を見ると、正答率について、年代別では次のような傾向が見られました。

  • ・18~29歳が最も低い
  • ・年齢が上がるとともに正答率が上昇
  • ・ただし、70代以降は低下

金融取引の経験を積むほど、あるいは、金融・経済情報を見る人ほど金融リテラシーが高くなるのはうなずけます。その結果として、年代が上がるほど金融リテラシーが向上するのでしょう。

高齢者が悪質商法などで狙われやすいのは「資産があるため」といわれますが、金融リテラシーが決して十分でない点もあるのかもしれません。あるいは軽度認知症などもあるかもしれません。経験を積んで自信があっても、過信しすぎず、誰かに相談することも大事です。

■まとめ

消費税が8%⇒10%に上がるタイミングで、増税の影響を抑えキャッシュレス化を促進する目的でポイント還元が行われるなど、お金が見えなくなっていく傾向があります。このような環境下で、今後はさらに金融リテラシーが求められるようになっていくことでしょう。

「生きる力」の1つに挙げられる金融リテラシーですが、一朝一夕で身につくものではありません。興味を持って新聞やマネー誌を読んだり、セミナーに参加するなど、ちょっとずつでも知識を高めていきましょう。

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