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マネーコラム

Vol.65

おひとり様が不安なく楽しい老後を過ごすには?

2019.06.01

高齢のおひとり様が増えているというデータがあり、不安に思う人もいることでしょう。未婚の人に限らず、今は家族と住んでいても、いずれはおひとり様になる可能性はあります。不安をなくして、おひとり様ライフを楽しめるようにするポイントを整理してみました。

■高齢おひとり様は右肩上がりに増える

国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計」(2018年推計)によると、今後、高齢おひとり様は右肩上がりに増えていくようです。

図表1は人口に占める65歳以上のおひとり様(男女別)の割合ですが、65歳以上のおひとり様は、男女共に今後右肩上がりに増えていくことが予想されます。男性より平均寿命が長い女性の方がおひとり様の割合が高いものの、男性のおひとり様の割合は今後急速に増えていくことがわかります。65歳以上の男性では2015年の14.0%から2040年の20.8%、女性も21.8%から24.5%まで上昇すると見込まれています。

65歳以上世帯の独居率の推移予想

■「おひとり様ライフ」を楽しむのに必要なものは?

おひとり様が当たり前になる時代が来るのであれば、それを楽しめるようにしたいもの。まずは、おひとり様ライフを楽しむために必要なものを6つ挙げてみます。

1・友人

一緒に旅行に行ったり、ランチやお茶をしたり。おひとり様ライフを充実したものにするのに欠かせないのは友人でしょう。最近は、SNSで遠距離の友人との交流もでき、連絡を取り合うことでお互いに安否確認をしあったりできます。

2・生きがい

趣味でも、ボランティアでも、仕事でも、あるいは大学での学び直しや留学など、「生きがい」を感じる何かに関わり続けることは大事です。

3・健康

おひとり様ライフを楽しむには、健康は大きな要素。でも、特に問題が無いとお医者様がいっているレベルなら、持病が1つ2つあってもうまく付き合っていきましょう。

4・老後資金

おひとり様として、自分らしいセカンドライフを送るには、やはり先立つものが必要です。少しでも長く働き、手元の老後資金を温存する、あるいは増やすことも1つの方法ですね。

5・保証人

入院するときや、家を借りるとき、あるいは介護施設に入るときなど、通常は保証人が求められます。最近は、保証金を支払えば保証人が免除される病院も増えてきました。保証人を頼めるような親戚や友人を作っておくか、民間や一部の自治体で保証代行サービスなども始まっているので、そうしたサービスを調べておくこともおひとり様には大事です。

6・セキュリティ(住まい)

高齢者は犯罪に巻きこまれやすく、防犯にも気を遣う必要があります。住まいのセキュリティについても1度厳しい目でチェックし、できる対策は取りましょう。また、高齢の単身者に対し、自宅で何かあったときにセキュリティ会社に連絡をする「緊急通報システム」を貸与したり、設置費用を補助する自治体もあります。住んでいる自治体で確認してみましょう。

■おひとり様のサードライフの不安を解消するには?

「サードライフ」とは介護が必要になる時期を指します。前項で挙げたものは、どちらかというと元気で認知機能にも問題がない時期の条件ですが、誰かのサポートが必要になってからは次のような不安も考えられるのではないでしょうか。

1・体が弱ってきたら誰が身の周りの世話をしてくれる?

最近はネットスーパーの宅配も増えているほか、自治体によっては弁当の宅配を補助しているところもあります。あるいは、「地域包括支援センター」に相談すると、自治体の生活援助員の派遣を受け、家事のサポートを受けることもできます(1回1時間程度で数百円)。

2・誰が介護をしてくれる?

要介護になったときは介護認定を受け、介護サービスを受けることができます。ケア付き有料老人ホームに入るのか、基本は在宅介護で、重度になったら特別養護老人ホームなどに入るのかなど、大まかな方向性だけは事前に考えておきましょう。

3・意思能力を失ったときの財産管理は?

認知症などで判断能力が十分でなくなったときなどのため、元気なうちに後見人を選んで契約しておく「任意後見制度」を利用するといいでしょう。任意後見人として契約するのは、成人であれば親戚でも友人でも、弁護士や司法書士、社会福祉士、法人(社会福祉法人など)も可能です。任意後見人の役割は、財産をきちんと管理し、介護や生活面をサポートすることです(介護を担う人ではありません)。
公的なサービスもあります。社会福祉協議会の「日常生活自立支援事業」を活用すると、「生活支援員」の方が預貯金の出し入れや支払いなどもしてくれます(有料)。また、通帳・印鑑、権利証などの書類を貸し金庫で預かるサービスなどもあります。

4・葬儀や死後の片づけ、死後事務等は誰に頼む?

成年後見人は契約した人が亡くなると契約は終了です。亡くなった後の死亡届に始まり、各種手続きなどを代理人に依頼しておくのが「死後事務委任」です。葬儀や遺品整理、各種事務の内容を事前に指定して契約をしておきます。民間業者のほか、自治体でも取組み始めたところもあります。

5・財産が残ったらどうする?

財産が残ったときに誰にあげるのかなどについては、遺言で指定しておきましょう。生前お世話になった特定の団体や自治体などに寄付をするのも、1つの方法です。

■おわりに

ずっとおひとり様ライフを楽しむには、高齢期や要介護期の不安要因を少しでも解消しておくことが大事です。早めに必要な手続きを済ませておけば、かなりすっきりすることでしょう。

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