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マネーコラム

Vol.70

消費増税で高齢者に関する介護・年金にどんな変化が?

2019.11.01

2019年10月1日から消費税が10%に引上げられました。増税による増収分は、国の借金でまかなっていた社会保障費の一部に充てられるほか、全世代を対象とする社会保障の充実にも使われます。幼児教育・保育の無償化や高等教育の無償化ばかり話題になっていますが、高齢者に関わる内容もあります。3つを整理しておきましょう。

■低所得高齢者の介護保険料が軽減される!

1つめは、増収分の一部が所得の低い高齢者(65歳以上の第1号被保険者)が支払う介護保険料の軽減に使われます。

介護保険料の基準額は各自治体(市町村)で異なり、所得によってこの保険料基準額に一定割合をかけて、実際の保険料が算出されています。

介護保険料の基準額は3年ごとに見直されています。保険料は利用者が増えるほどアップしますので、団塊の世代が75歳になる2025年に向けてますますアップすると見られています。

じわじわ上がる介護保険料が負担になるのは特に低所得の高齢者です。そのため、新たに公的資金を投入し、低所得の高齢者の保険料軽減を強化されることになったのです。(公的資金の負担割合は、国が1/2、都道府県が1/4、市区町村が1/4です。)

具体的には、住民税非課税世帯の負担割合が所得段階ごとに軽減されます。第1~第3段階に該当すると、それぞれ負担割合が下がります(実際には自治体によって異なりますので、詳細は個々にご確認ください)。これらに該当するのは、65歳以上の約3割と見られています。

保険料基準額に対する負担割合と軽減後の負担割合

■所得が一定以下の方に「年金生活者支援給付金」

2つめは、「年金生活者支援給付金」の支給に使われます。これは所得が一定以下の年金受給者へ給付金を支給するもので、一時的なものではなく、継続的に支払われます。

対象となるのは、年金を含めても所得が一定以下となる老齢基礎年金の受給者です。給付金の基準額は月額5,000円です(実際の給付額は保険料を納めた期間等で異なります)。

なお、支給要件は次の通りです。

また、障害基礎年金や遺族基礎年金の受給者で次の要件を満たす方も、障害等級2級または遺族の方で月額5,000円、障害等級1級の方で月額6,250円の給付金が受け取れます。支給要件は次の通りです。

「年金生活者支援給付金」を受け取るには、認定請求の手続きを行う必要があります。該当者には日本年金機構から書類が届いているはずですので、忘れずに手続きを済ませましょう。

■介護職員の処遇改善で人材を確保

最後の1つが、介護に関わる質のよい人材を確保するための取組に使われます。
原則勤続10年以上の経験やスキルのある介護職員の処遇改善が重点的に進められ、このための費用として公費1,000億円程度が使われます(第169回社会保障審議会介護給付費分科会資料より)。

具体的には、新設された「介護職員等特定処遇改善加算」が介護サービス事業者等に支給されます。これは、「介護福祉士」の資格をもつリーダー級の職員を対象に、月額最大8万円または全産業平均水準の年収440万円までの給与アップのための資金です。

この介護職員の処遇改善によって、介護に関わる人材を確保することで、間接的には、親の介護で仕事を辞める人を減らすことにもつながると見られています。つまり、安心して任せられる介護スタッフの増加によって、親の介護を支える子世代の負担も軽減されることが期待されています。

■おわりに

以上見てきたように、消費増税による増税分は、高齢者のためにも直接的に使われています。ただし、子育ての施策もそうですが、主な対象はいずれも低所得層です。
該当しない人にとっては実感がありませんが、社会保障費の補填にも充てられていることを知っておきましょう。また、介護職員の待遇改善によって介護の質が上がることは、高齢者やその家族にとって大きな安心につながります。

(執筆者:豊田眞弓)

【参考】
知ってほしい!消費税と社会保障のQ&A

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