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マネーコラム

Vol.74

「家計の金融行動に関する世論調査」でわかる年代別平均貯蓄額は?

2020.03.01

日本人はどれくらいの金融資産を持っているのでしょうか。また、どのような資産を持っているのでしょう。「家計の金融行動に関する世論調査(2019)」から、家計に関するデータを見てみましょう。

■年代別に見た平均貯蓄額

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2019)」によると、金融資産保有額(非保有世帯含む)は、2人以上世帯で1,139万円(中央値は419万円)、単身世帯で645万円(中央値45万円)でした。中央値とは、金額順に並べたときにちょうど中央に来る金額を言います。

金融資産保有世帯に限れば、60代の金融資産額は、2人以上世帯で2,203万円(中央値1,200万円)、単身世帯で1,930万円(中央値845万円)と高く、保有額の格差があることが感じられます。

それぞれ年代別に見たデータが表1です。2人以上世帯も単身世帯も、60代が最も金融資産額が多くなっています。なお、2人以上世帯は70歳以上のデータもあり、60代よりも少なくなっています。会社員なら定年を迎える60代に向けて資産形成をし、また退職金がある人は60代で受取り、その後、取り崩していくライフサイクルを考えると当然のことでしょう。

表1 年代別金融資産保有額(非保有世帯含む、万円)

■どのような貯蓄・投資をしているか

では、どのような金融資産を保有しているのか、その内訳を見てみましょう。

2人以上世帯では、多い順に、預貯金、生命保険、株式、個人年金保険、投資信託となっています。この5商品で全体の約9割を占めます。単身世帯では、多い順に、預貯金、株式、投資信託、生命保険、個人年金保険となっていて、この5商品で同様に約9割を占めています。

2人以上世帯で、預金に次いで生命保険が多いのは、子どもがいれば低解約返戻金型終身保険や学資保険などに加入しているためと考えられます。老後の備えのための、個人年金保険も平均額は高めです。一方、単身世帯では、預貯金に次いで多いのは株と投資信託です。

表2 種類別金融資産保有額(非保有世帯を含む、全年代の平均、万円)

■「金融資産なし世帯」の割合

このデータでは、金融資産のない世帯の割合についてもよく話題になります。2人以上世帯の23.6%、単身世帯の38.0%が該当します。

年代別で見ると、金融資産非保有世帯の割合が高いのは、2人以上世帯では70歳以上、60代、20代の順です。20代は収入も低いので仕方がないとしても、60代で4世帯に1世帯弱、70歳以上で3世帯に1世帯弱が貯蓄がないというのは大きな問題です。

それ以上に問題なのが単身世帯です。20代、40代、50代の順に高く、最も高い20代では半数近くが金融資産非保有世帯です。最も低い60代でも3世帯に1世帯弱。70代のデータはありませんが、貯蓄を取り崩す年代であることを考えると、単身世代でも金融資産非保有世帯の割合は高くなっていると思われます。

表3 金融資産非保有世帯の割合

■老後における生活資金源は?

最後に、老後における生活資金源を見ておきましょう。2人以上世帯では60代と70歳以上、単身世帯では60代の方の生活資金源となっているものの割合です。

2人以上世帯のうち60代のTOP3は、多い順に「公的年金」、「就業」、「企業年金、個人年金、保険金」です。就業が2位で、しかも5割近くの人が働いています。これが70歳以上になると、TOP3は「公的年金」、「金融資産の取り崩し」、「企業年金、個人年金、保険金」となり、「就業」は2割程度にとどまります。

単身世帯・60代のTOP3は、2人以上世帯と同じで、多い順に「公的年金」、「就業」、「企業年金、個人年金、保険金」。ただし、働いている割合は36.0%と2人以上世帯よりも少なくなっています。公的援助を受ける割合が、単身世帯では10%と高めになっていることも気になります。

表4 老後における生活資金源(3つまでの複数回答)

■まとめ

金融資産のデータを見て、どのように感じられたでしょうか。危機感を感じた方もいれば、私は大丈夫という方もいるかもしれません。

いずれにしても、老後も含め、自分らしい人生を送るためには、しっかり貯蓄はしておきたいものですね。

(執筆者:豊田眞弓)

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