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マネーコラム

Vol.87

つみたてNISAやiDeCoにも採用されている
定額購入法の長所と短所

2021.04.01

資産運用のリターン(利益)を安定させる方法として「投資対象の分散」、「投資時期の分散」、「長期的な保有」の3つがありますが、このうち投資時期を分散する手法のひとつとして「定額購入法(ドル・コスト平均法)」があります。国が推進する少額非課税投資制度の「つみたてNISA」や個人型確定拠出年金の「iDeCo」にも採用されている手法です。どんなメリットがあるのでしょうか。

定額購入法は相場の値動きにかかわりなく、定期的に一定金額で金融商品を購入する手法。価格が高いときは少なく、安いときは多く購入することになり、長期的にみると、1回あたりの投資額が平準化されていき、短期的に急な値下がりなどが生じても、生じる損失の程度を軽減することが可能になるとされています。

具体的な事例を下に示しました。投資信託の購入を始めた1月に1口あたりの価格が最も高い10円で、徐々に値を下げて2円まで低下し、最終月の12月には最初の半値の5円まで戻す設定です。1口あたりの価格が下がっているのに、利益が出ているのは、投資の時期を分散したことで、高い価格のとき投資した分の値下がりを、低い価格のとき投資した分の値上がり分がカバーした結果といえます。

定額購入法と異なり、毎回同じ数量の金融商品を購入する手法を「定量購入法」と呼びますが、この相場設定で、仮に毎月2000口ずつ購入する定量購入を行っていたら、損失が出る結果となります。

とはいえ、定額購入法がつねによい結果を残すとは限りません。相場が一貫して下がり続けていた場合は損失が出ます。逆に相場が上がり続けていた場合もいわゆる「高値づかみ」を続けることになり、最初に一括購入した場合と比べれば運用成績は下がることになります。

定額購入法(ドル・コスト平均法)で 投資信託を1年間購入した場合の例

かづな先生の今月のおさらい

資産運用では相場が下がると、損をしたように思えます。しかし、それは「投資の成績=価格」という一括投資の考え方。積立投資は「投資の成績=量×価格」なので、相場の値下がり時は口数が増やせるチャンスなのです。一括投資だと、元の価格以上に戻らないと成績を上げることはできませんが、積立投資は少し価格が戻ったときに売却すれば利益を出すことも可能です。投資商品の「価格」は大切ですが、購入する「量」も同じくらい大切だということを理解できると思います。

田中 香津奈

田中 香津奈

株式会社フェリーチェプラン代表取締役。ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士。テレビ・ラジオ出演、雑誌への執筆、講演・セミナーなど多彩な活動を展開。

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