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マネーコラム

Vol.94

知っておいてほしい 専業主婦(夫)の年金事情

2021.11.01

公的年金の加入者は3つのグループに分かれています。自営業者などが加入する「第1号」、会社員や公務員などが加入する「第2号」、そして第2号に属する人に扶養されている配偶者=専業主婦(夫)が加入する「第3号」です。日本では20歳以上60歳未満の人が国民年金に加入することを義務付けられており、上記3グループに属する人はすべて国民年金の加入者。ただし、第3号の人は自分で保険料を納付する必要はありません。

では、そうした専業主婦(夫)を続けてきた人たちが受け取れる年金の額はいくらくらいでしょうか。第3号の人が受け取れるのは国民年金のみで、2021年度は満額で月額6万5075円。これだけで生活していくのは楽ではありませんが、夫(妻)の国民年金や厚生年金を合わせると20万円を超える水準になります(下表参照)。

注意しなければならないのは、夫(妻)の扶養からはずれるなどして第3号の資格がなくなった場合。ひとつは自身の年収が130万円以上(従業員数501人以上の事業所の場合は106万円以上)になったときで、自らの勤め先の厚生年金に加入する必要があります。

また、夫(妻)と離婚した場合は離婚後働かないなら第1号への切り替え手続きをお住まいの市区町村で行い、その後60歳まで保険料は自分で負担する必要があります。また、離婚後すぐに会社に勤める場合は第2号になります。

夫(妻)が退職した場合も配偶者は第1号への切り替えが必要です。この場合も自分が60歳未満の場合、切り替え手続きをしたうえで、60歳になるまでは第1号の保険料を支払う必要があります。これを怠ると、受け取る年金額が減ってしまうケースがありますので、注意してください。

夫婦2人分の公的年金額の例(月額)

かづな先生の今月のおさらい

専業主婦(夫)が将来受け取れる年金は決して満足できる額とはいえません。パートナーと一生、生計をともにし続けるなら問題は少ないかもしれませんが、今や「人生100年時代」、長い老後は何が起きるかわかりません。離婚を推奨するわけではありませんが、その可能性もゼロではありませんから、離婚しても生活していける年金や蓄えがベースにあったほうがよいかもしれません。専業主婦(夫)の人は「今」だけでなく、「将来」の年金にも着目してほしいと思います。

田中 香津奈

田中 香津奈

株式会社フェリーチェプラン代表取締役。ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士。テレビ・ラジオ出演、雑誌への執筆、講演・セミナーなど多彩な活動を展開。

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