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マネーコラム

Vol.97

病気やけがで障がいが残ったら 程度に応じて年金・一時金が受給可能

2022.02.01

前回の「傷病手当金」に続き、今回は病気やけがで働けなくなったときなどに受け取り可能な「障害年金」をご紹介します。傷病手当金が健康保険から支給される保障だったのに対し、「障害年金」は公的年金制度から支給される保障です。また、傷病手当金が病気やけがによる欠勤期間を通算して最長1年6か月、支給されるのに対し、障害年金は原則としてその病気やけがの初診日から1年6か月を過ぎた後に受け取れる保障。つまり、傷病手当金を受けた後もその病気やけがを原因とする障がいが残り、仕事や生活が制限される場合に受給できる年金制度なのです。

老後に支給される老齢年金と同様、基礎年金(障害基礎年金)と厚生年金(障害厚生年金)に分かれ、厚生年金に加入している会社員や公務員は両方を受給できます。一方、傷病手当金では受給資格がなかった自営業者なども障害年金に関しては基礎年金のみ受給が可能です。

受け取れる障害年金の額は、法令で定められた障がいの程度1~3級に応じて定められており、基礎年金は1・2級に、厚生年金は1~3級にそれぞれ支給されます(金額などは下表を参照)。病気やけがの初診日から1年6か月がたった時点では法令に定める障がいの程度に達していなかったものの、その後病状が悪化して法令に定める障がいの状態になった場合(事後重症)も年金の受け取りが可能です。

また、人工関節をそう入置換した当日や、人工透析療法を初めて受けた日から3か月を経過した日などは1年6か月を待たずに障害年金を請求できます。

なお、病気やけががその初診日から5年以内に治り(症状が固定し)、障がいの程度が障害厚生年金を受け取れる状態よりも軽い場合は、一時金である障害手当金を受け取れる可能性があります。

障害年金・障害手当金の額

かづな先生の今月のおさらい

傷病手当金と同様、障害年金も請求しないと受給できません。請求にあたって大切なことは、原因となった病気やけがの「初診日」を確認すること。原則として初診日から1年6か月を過ぎた日が「障害認定日」とされ、基準日となるためです。また、初診日に国民年金の被保険者だったか、厚生年金保険の被保険者だったかもポイント。初診日が国民年金だった場合、1級と2級のみの対象となります。病気やけがで治療を受けるときは初診日を記録に残しておきたいものです。

田中 香津奈

田中 香津奈

株式会社フェリーチェプラン代表取締役。ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士。テレビ・ラジオ出演、雑誌への執筆、講演・セミナーなど多彩な活動を展開。

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