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マネーコラム

Vol.98

高校の新学習指導要領始まる 家庭科の授業で投資信託を学ぶ

2022.03.01

2022年度(2022年4月~)にスタートする高校の新たな学習指導要領で、「金融」に関する教育内容が充実します。公民科に新設される科目「公共」では、金融市場の仕組みと金利の働き、金融機関の役割を、また、家庭科の2科目(家庭基礎・家庭総合)では「家計管理」の基本を教えます。とくに家庭科では、預貯金・民間保険・株式・債券・投資信託といった金融商品のメリット・デメリットにも触れることになっており、より踏み込んだ内容です。

公共で教える内容は、経済社会における金融の意義や役割です。資金を必要とする企業は銀行借り入れだけでなく、株式や社債の発行によっても資金調達ができ、その一方で企業側には法に基づく適正な企業会計に関する情報開示が求められていることなどを教えるとしています。

一方、家庭科で教えるのは、家計にまつわる内容が中心です。まず、家計管理は収入と支出のバランスをとることが重要であるという基本を押さえ、そのうえで、教育資金や住宅取得、老後などに備えるとともに、事故や病気、失業といったリスク対応も踏まえる必要があることを取り上げ、前述した各種金融商品の特徴とそれをベースにした資産形成の視点にも触れることとしています。

従来の家庭科でのお金にまつわる内容は、消費者被害の予防や消費者の権利などにとどまっていたので、大きな変更といえるでしょう。学習指導要領改訂に込められた思いは、生徒たちの「生きる力」を育むこと。選挙権年齢が18歳以上に引き下げられたのに続き、この4月には民法の改正で成人年齢も18歳に引き下げられます。18歳になったら親の同意なしにお金を借りる契約などができるようになり、そうした事情も高校生への踏み込んだ金融教育の背景にあるものと思われます。

高校の新学習指導要領に含まれる「金融教育」の概要

かづな先生の今月のおさらい

これまで学校ではあまり教えることがなかった「資産形成」や「投資」。そうした分野の専門家ではない先生側にも戸惑いがあるとみられ、金融庁は職員を派遣して出前授業を開催するなどして後押しをしてきました。また、金融庁をはじめ、金融広報中央委員会、日本証券業協会、生命保険協会、日本損害保険協会などの金融関連団体は、生徒や教師、保護者などに向けた副教材や動画を公開しています。この機会に、保護者の皆さんも一緒に学んでみてはいかがでしょうか。

田中 香津奈

田中 香津奈

株式会社フェリーチェプラン代表取締役。ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士。テレビ・ラジオ出演、雑誌への執筆、講演・セミナーなど多彩な活動を展開。

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