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マネーコラム

Vol.101

10月から「106万円の壁」の適用範囲が拡大

2022.06.01

短時間労働の方は働き方を考える好機

パートやアルバイトなどの短時間労働者に対する社会保険(厚生年金保険と健康保険)の適用拡大が進められています。これまで501人以上だった勤務先企業の規模要件が、この10月には101人以上に引き下げられ、さらに2年後の2024年10月には51人以上まで引き下げられます。これに伴い、いわゆる「106万円の壁」と呼ばれる基準が適用される短時間労働者が増えることになります。

10月から社会保険の適用になるのは以下の5条件を満たす場合です。

  • ①勤務先の従業員数が101人以上
  • ②週の所定労働時間が20時間以上
  • ③月額賃金が8万8000円以上
  • ④雇用期間が2か月超の見込み
  • ⑤学生でないこと

実際にはより細かな要件がありますので、厚生労働省の「社会保険適用拡大特設サイト」で確認してください。また、現在の規模要件(9月までは501人以上)を満たした事業所かどうかは、日本年金機構のサイト「厚生年金保険・健康保険適用事業所検索システム」で確認可能です。

配偶者の扶養の範囲内で短時間勤務している人は従来、年収が130万円を超えると、社会保険の保険料負担が発生する「130万円の壁」を意識していましたが、新たな適用要件では年収ラインが106万円に下がります。ただし、従来は国民年金と国民健康保険への加入でしたが、今回の要件に該当すれば、厚生年金保険と健康保険へ加入することになり、老後や障がい、死亡時の年金による保障が充実し、健康保険から傷病手当金や出産手当金が支給されるなど、保障内容が充実します。

配偶者の扶養の範囲内で働いている人は保険料を負担して保障を厚くするか、収入を減らして負担を回避するか、改めて検討する好機といえそうです。

社会保険(厚生年金・健康保険)の適用案件

かづな先生の今月のおさらい

配偶者の扶養の範囲内で短時間働いている人にとって、保険料負担は悩ましい問題でしょう。「106万円の壁」を少し超える程度の収入の場合は保険料負担が重く感じられるでしょうが、一方で老後の年金が上乗せ(厚生年金)されたり、病気やけがで働けなくなった時に健康保険から手当(傷病手当金)が支給されたりする保障の充実は魅力です。こうありたいと願う暮らしや働き方のスタイルは人それぞれですので、自分らしい生き方をするために最適な選択をしてください。

田中 香津奈

田中 香津奈

株式会社フェリーチェプラン代表取締役。ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士。テレビ・ラジオ出演、雑誌への執筆、講演・セミナーなど多彩な活動を展開。

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