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マネーコラム

Vol.105

変わる葬儀のスタイル
家族葬が増加 費用は低下傾向

2022.10.01

65歳以上の人が人口に占める割合(高齢化率)が28.9%※1と、世界最速で高齢化が進む日本。死亡者数も増加しており、2019年の年間死亡者約138万人(1日あたり約3800人)が、2040年には約168万人(1日あたり約4600人)に増えると予想されています※1。

そんな「多死社会」で、死と切っても切れない関係にある葬儀のあり方を考えておくことは重要です。身近な人をどんな形で送ってあげればいいのか、また自分はどんな葬儀のスタイルを望んでいるのか。

葬儀相談・依頼サイト「いい葬儀」を運営する株式会社鎌倉新書が実施した「第5回お葬式に関する全国調査(2022年)」は、新型コロナ禍で葬儀のスタイルが変化しているようすを浮き彫りにしています。前回2020年の調査で最多だった一般葬が48.9%から25.9%に激減し、家族葬が40.9%から55.7%に増えてトップに立ったのです。ちなみに一般葬が地域や職場の人たちを含む幅広い人たちが参列するのに対し、家族葬は参列者が親族や近親者(および一部の友人・仲間)に限定されるのが大きな違いです。

また、通夜を省略して1日で葬儀を終える一日葬や宗教儀式なしの「直葬・火葬式」など、簡易な葬儀も増加しています。

こうした傾向を反映して葬儀の平均価格は前回の184.3万円から過去最少の110.7万円に下がりました。この価格には基本料金(斎場や火葬場の利用料、葬儀を行うための一式など)と飲食代(通夜ぶるまい、告別料理など)、返礼費(香典に対するお礼)を含み、お布施(寺院・教会などへのお礼)は含んでいません。一般的に、一般葬・家族葬・一日葬・火葬式と簡素になるほど費用は安くなります。時代の変化と自分の希望を考慮して葬儀スタイルを検討してみてはいかがでしょうか。

  • ※1内閣府『2022年版高齢社会白書』 ※2厚生労働省『2020年版厚生労働白書』

かづな先生の今月のおさらい

死亡届は7日以内に提出する必要があり、同時進行で葬儀を手配します。並行して金融機関へも連絡するため、遺産分割協議書などの必要書類がそろわない限り、原則的に亡くなった人の預金は引き出せません。「相続預貯金払戻し制度」もありますが、煩雑な要件と限度額がありますので、葬儀代は残された家族が立て替えるのが一般的です。万一のときに残された家族が困らないよう、葬儀スタイルは生前に考えて伝えておきましょう。

田中 香津奈

田中 香津奈

株式会社フェリーチェプラン代表取締役。ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士。テレビ・ラジオ出演、雑誌への執筆、講演・セミナーなど多彩な活動を展開。

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