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マネーコラム

Vol.106

会社勤めの冬の風物詩
年末調整って 何だろう?

2022.11.01

会社勤めの皆さんは恒例の年末調整の申告書をすでに提出し終えましたか。漏れなく、正確に記入できたでしょうか。
毎年行っているこの年末調整は何のために存在する制度か、ご存じですか。
日本では会社に勤めている従業員の場合、所得税は社会保険料や住民税などと合わせて給与や賞与から天引きされています。しかし、年間を通じての給与額や家族構成の変動などを考慮して算出されているわけではなく、「仮計算」によって所得税を前払いしている形です。

あくまで仮計算に基づく仮払いですから、実際の所得税額とは差が生じます。このため、後で所得税の正確な額を計算してその差を調整する作業が必要になり、これを年末調整と呼んでいるのです。

給与が大幅に上がるなどして課税所得が増え、追加で税負担を求められることもないわけではありませんが、一般的には払い過ぎた税金が戻ってくる(還付される)ケースが多く発生します。これは、所得税が給与の総支給額にかかるわけではなく、そこから各種控除を差し引いた課税所得にかかるためです。年末調整時に会社を通じて提出する申告書はまさにこの各種控除を申請して所得税の計算をし直すことが大きな目的のひとつです。

提出する主な書類と、それによって受けられる可能性がある主な控除の種類は下に記載したとおり。このうち、基礎控除は、以前は合計所得金額にかかわらず、一律38万円の控除を自動的に受けることができましたが、現在は合計所得金額が2500万円以下の場合に、その金額に応じて控除額が決まるため、勤務先に基礎控除申告書を提出する必要があります。

下記以外にも、たとえば住宅借⼊⾦等特別控除の適用を受ける場合は別途申告書を提出する必要があります。

かづな先生の今月のおさらい

上記の年末調整によって再計算された正しい所得税額や1年間の給与・賞与の額などが記載された書類が源泉徴収票で、通常は12月~1月ごろに渡されます。また、会社を退職した場合は退職後1か月ほどで発行されます。会社を退職して転職する場合や確定申告をする際に必要になるほか、住宅ローンを組む際や住宅の賃貸契約をする際、子どもを保育園に入園させる際などの収入証明としても利用できますので、捨てずに大切に保管しておいてください。

田中 香津奈

田中 香津奈

株式会社フェリーチェプラン代表取締役。ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士。テレビ・ラジオ出演、雑誌への執筆、講演・セミナーなど多彩な活動を展開。

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