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マネーコラム

Vol.109

公的制度を上手に活用 仕事と介護の両立を目指す

2023.2.01

高齢化の進展を反映して要介護(要支援)認定者も増加しており、2022年9月末現在で約684万人(65歳以上の第1号被保険者のみ)と、10年前に比べて150万人以上増えています。(※1)一方、要介護者などを介護する家族の側にも介護のために離職を余儀なくされる人が発生しており、介護・看護を理由に離職した人の数は年間約10万人に上っています。(※2)

  • ※1出典:厚生労働省「介護保険事業状況報告 月報(暫定版)」
  • ※2出典:総務省統計局「2017年就業構造基本調査」

介護はお金がかかるものです。公益財団法人生命保険文化センターの調査では一時費用(初期費用)が平均74万円、月々の費用が平均8.3万円必要という結果が出ています。介護される親自身の蓄えや年金などの収入でまかなうのが原則ですが、先々どんなことが起きるかわからないため、拙速に仕事を辞めてしまうのは避けたいところです。仕事をしながら介護をする人を支援する公的制度を利用しして仕事を続ける道を模索しましょう。

介護のための休業・休暇は下記のとおり、比較的長期の休みを取得できる介護休業と短期のニーズに対応した介護休暇があります。介護休業は対象家族が1人の場合、通算93日間の休みを、最大3回に分けて取得が可能。介護休暇は対象家族が1人の場合、年5日まで取得でき、時間単位でも取得できます。どちらも日々雇用を除く労働者が取得対象です。

一方、介護休業の場合、休業中の無給や給与減額への所得補償を目的に介護休業給付金が支給されます。ただし、職場復帰を前提として支給されるため、介護休業当初から退職を予定している場合は支給されませんし、給与の支給がある場合は減額や支給されない場合があります。一定の要件を満たす場合、給付額は休業開始時賃金月額の67%です(上限あり)。毎年8月1日に見直し予定なので、合わせて確認しましょう。

介護にかかる費用・期間は?

かづな先生の今月のおさらい

親などの介護が必要になっても慌てて仕事を辞めるのは極力避けるべきです。親がリタイアしている場合、収入が親の年金頼りになりかねませんし、介護が終わった後の自らの生活設計も成り立たなくなる可能性があるからです。介護休業終了後に会社に申請すると、介護休業給付金を受け取ることができます。注意点は通常どおり社会保険料を負担することです。育児休業ほど普及していませんが、公的制度を上手に活用して仕事と介護の両立を目指しましょう。

田中 香津奈

田中 香津奈

株式会社フェリーチェプラン代表取締役。ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士。テレビ・ラジオ出演、雑誌への執筆、講演・セミナーなど多彩な活動を展開。

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