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マネーコラム

Vol.117

1年未納で年に約2万円減 国民年金は満額受け取れますか?

2023.10.01

20歳から60歳までのすべての人に加入が義務付けられている国民年金(基礎年金)は文字どおり、日本の公的年金の「基礎」を成す年金です。老後に老齢基礎年金として受給できるのは保険料の納付期間が10年(120か月)以上ある人。受け取れる額は保険料の納付月数に応じて増減され、40年間支払った場合の満額は月額6万6250円、年額79万5000円です(2023年4月分〜・67歳以下)。

会社勤めで厚生年金に加入していれば、国民年金にも同時に加入していることになりますが、学生時代に国民年金保険料を払っていなかったり(20歳以上の学生に加入が義務付けられたのは1991年4月から)、転職の合間に未払い期間があったりして、60歳まで厚生年金に加入していても満額に満たないケースが少なくありません。そうした人が国民年金を満額に近づける方法がいくつかあります。

通常、未納の保険料を後から納められる期間は2年間に限られていますが、免除や学生納付特例などの承認を受けていれば、10年までさかのぼって納付できます。これが保険料の追納制度です。

また、60歳以降、厚生年金や共済組合に入らない場合は65歳までを上限に、国民年金満額の40年に達するまでの間、「任意加入」して満額を目指すこともできます。

このほか、60歳以降も厚生年金への加入を継続することによって実質的に国民年金を満額に近づけることもできます。国民年金が満額に満たない人の場合、老齢厚生年金の本体にあたる「報酬比例部分」とは別に、「経過的加算」という名の老齢基礎年金相当額が、厚生年金の加入期間が40年に達するまで加算されるのです。

60歳時点であなたの国民年金納付期間は満額の40年に達していますか。この機会にチェックしてみましょう。

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学生の国民年金加入が任意だった1991年3月以前に大学生活を送った人で20歳から会社勤めをするまでの期間が国民年金未加入だったり、配偶者の扶養に入っていた第3号被保険者で、配偶者の退職後に国民年金保険料を払っていなかったりして、国民年金が満額に満たない人は少なくありません。未納期間が1年あれば、老齢基礎年金の受給額は満額に比べて年2万円ほど少ない計算になりますので、少しでも満額に近づけるよう検討してほしいと思います。

田中 香津奈

田中 香津奈

株式会社フェリーチェプラン代表取締役。ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士。テレビ・ラジオ出演、雑誌への執筆、講演・セミナーなど多彩な活動を展開。

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