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マネーコラム

Vol.118

離婚することになったとき決めておくべき 3つの重要事項

2023.11.01

厚生労働省の「人口動態統計月報年計(概数)」によると、2022年の婚姻件数約50.5万組に対し、離婚件数はその3分の1強の17.9万組に上ります。婚姻、離婚ともピーク時に比べると減っていますが、一方で同省の2022年度「離婚に関する統計」は2020年の年齢別婚姻率・離婚率を基に「およそ結婚した3組に1組が離婚している」と推計しており、決して少ない数字ではありません。どうしても結婚を継続できない問題が起きる可能性は誰にでもありますので、仮に離婚することになった場合、どんな問題に直面するかを知っておくことも大切です。

夫婦で決めておくべきことの第1は子どもの親権者・養育費・親子交流(面会交流)の3つです。いずれもまずは父母で話し合って決めますが、決まらない場合、話し合い自体ができない場合などは、家庭裁判所の調停や裁判で決めることになります。このうち、養育費の額については東京と大阪の家庭裁判所の裁判官による研究報告である「算定表」が公表されており、参考にできます。

第2は財産分与です。対象財産には現預金、不動産、自動車、家具・家財、有価証券、保険などが含まれ、仮に夫婦いずれかの名義になっていても夫婦の協力によって形成されたものなら対象となります。当事者間の協議か、家庭裁判所の調停・審判で決定できますが、離婚から2年が経過すると、家庭裁判所への申し立てができなくなりますので、注意が必要です。

第3は年金分割。これは婚姻期間中の保険料納付額に対応する厚生年金を分割して、それぞれ自分の年金とする制度です。「合意分割」と「3号分割」(分割割合は2分の1ずつ)の2つの方法がありますが、離婚日の翌日から2年を経過すると請求できなくなります。

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養育費を決める場合、一定の要件を満たす公正証書(執行証書)を作成しておけば、仮に払ってもらえない場合、速やかに強制執行手続を利用することができます。家庭裁判所の調停や審判で決められた場合も強制執行を利用できます。なお、一般にひとり親家庭は経済的に困窮しやすく、所得税・住民税の優遇、児童扶養手当、医療費助成といった公的支援を受けられます。請求しないと受けることができませんので、お住まいの市区町村に相談しながら確認しましょう。

田中 香津奈

田中 香津奈

株式会社フェリーチェプラン代表取締役。ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士。テレビ・ラジオ出演、雑誌への執筆、講演・セミナーなど多彩な活動を展開。

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