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マネーコラム

Vol.122

雇用保険に注目 リスキリングに手厚い支援

2024.03.01

雇用保険が注目されています。失業したときなどに受けられる給付としての側面に加え、近年は働く人が新たなスキルの習得を目指す「リスキリング」を支援する制度としても脚光を浴びており、使い勝手を良くする制度改正も相次いでいます。

雇用保険の強制加入の主な条件は「所定労働時間週20時間以上」「31日以上の雇用契約見込み」「学生でない」の3つ。厚生労働省は2028年度までに労働時間を週10時間以上に広げる方針を決め、加入者が最大約500万人増える見通しです。

また、自己都合退職の場合、雇用保険の受給手続日から原則として7日経過した日の翌日から2か月間は、基本手当が支給されない制限が設けられています。しかし、これを1か月に短縮し、さらにリスキリングに取り組んでいれば、1週間程度で受け取れるなどの方針も示しています。

リスキリングに関して、国は雇用保険の財源で賄われている教育訓練給付のうち、中長期的キャリア形成に資する講座が対象の「専門実践教育訓練」に力を入れています。指定講座(2023年10月時点で2861)を受講すると、受講費用の50%(年間上限40万円)を教育訓練給付金として受講中6か月ごとに支給。さらに資格などを取得したうえで、訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合は、受講費用の20%(年間上限16万円)が追加支給されるため、最大で受講費用の70%(年間上限56万円)が国から支給される計算になります。

個人の主体的なリスキリングなどへの直接支援をより一層、強化・推進する流れがあります。教育訓練の受講後に賃金が上昇した場合には、現行の追加給付に加えて、さらに受講費用の10%(合計80%)の追加支給が検討されるなど、リスキリングを目指す人たちにとっては朗報です。

出典:「第186回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会」提出資料

  • ※当ページの記載は、当社からファイナンシャルプランナーの田中香津奈先生に依頼し、執筆していただいたものです。

かづな先生の今月のおさらい

雇用保険は公的保険のひとつで、育児休業や失業への給付のイメージが強い制度ですが、在職者がキャリアップするための教育訓練給付もあります。私が2002年にファイナンシャルプランナー資格を取得したときも当時の一般教育訓練給付金を活用しました。その後、専門実践・特定一般教育訓練給付金も創設され、キャリアコンサルティングを受ける必要はありますが、業務独占資格の取得や先端のデジタル関係の講座、専門大学院の課程など、給付の対象が拡充されています。

田中 香津奈

田中 香津奈

株式会社フェリーチェプラン代表取締役。ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士。テレビ・ラジオ出演、雑誌への執筆、講演・セミナーなど多彩な活動を展開。

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