Vol.25
休み上手になって稼ぎ力アップ!
2016.07.01
日本人はとても勤勉で我慢強く、よく働きます。にもかかわらず、労働生産性が低い国民と噂されているのをご存知ですか?
今回は、「日本人の労働生産性の低さ」と「日本人の休み下手」とが関係しているのではないかという仮説に基づき、労働生産性を上げる休み方について考えていきたいと思います。
■スーパーマーケットの店員さんで見る労働生産性
私たち日本人の感覚では、スーパーマーケットのレジ係は立っているのが当たり前です。見た目の問題もあるでしょうが、座ってレジを打つより立ってレジを打つ方が効率的です。
筆者も学生時代にレジ打ちのアルバイトをしたことがありますが、立っている方がリズミカルに手際よく仕事ができるのです。ところが、欧米人の感覚は違います。
筆者はドイツの親戚宅に遊びに行くことがあるのですが、ドイツのスーパーマーケットでは、椅子に座ったレジ係が、時にはほかの店員さんとおしゃべりしながら、時にはコーヒーを飲みながら、ベルトコンベアに乗った商品を通していきます。
そして、閉店時間になると、店内に客がいたとしてもルール通りにレジを閉め、時間ぴったりに仕事を終えて帰ります。
私語を慎み、コーヒーも飲まず、とても正確で手際が良い日本のレジ係を見ると、日本の労働生産性はとても良いと思われますが、実は、ドイツは日本よりも労働生産性が上回っているのです。
そもそも、労働生産性とはどのように測られているのでしょうか?
■労働生産性を詳しく見てみよう
労働生産性とは、「付加価値額または生産量などのアウトプットを、インプットである労働投入量(労働者数または、労働者数×労働時間数)で割った額」のこと。
つまり、労働者がいかに効率的に成果を生み出したかを数値化したものを指します。
公益財団法人・日本生産性本部がまとめた「日本の生産性の動向 2015年版」によると、就業1時間あたりの日本の労働生産性は41.3ドルで調査対象国34か国中21位。対して、ドイツの労働生産性は63.4ドルで9位。労働生産性をデータで見ると、日本よりドイツの方が断然高いといえます。
労働生産性が上がると、会社の業績も上がり、お給料も上がるかもしれません。
労働者は、根性論ではなく、いかに効率的に成果を生み出せるかを考えながら仕事をしなければ、労働生産性を上げることはできないのです。
■休むことは「悪」か?
勤勉に、我慢強く、長時間働くことによって、うつ病や過労死などを招いてしまっては元も子もありません。
そうなると逆に労働生産性を下げることになります。厚生労働省は、うつ病や過労死、過労自殺につながる大きな要因として、日本の労働者における年次有給休暇(賃金が支払われる休暇日のこと。
以後「有休」という)の取得率の低さを問題視しています。
ある調査結果をご紹介します。
オンライン旅行会社エクスペディアが調査している「世界26カ国 有給休暇・国際比較調査2015」によると、日本の有休取得率は60%で世界ワースト2位!
ちなみに、ワースト1位は40%の韓国で、前半で例を挙げたドイツは100%(Expedia’s 2015 Vacation Deprivation参照)。
そして、驚くべきは、自分の有休支給日数を知らない人の割合が53%と日本が群を抜いてワースト1位ということ。
ここで、有休についてまとめておきます。
ちなみに、有休取得率100%のドイツには休暇法というのがあり、最低24日間の有休取得は義務です。
日本の有休は今のところ義務ではなく権利という位置付けですが、実は今(平成28年6月15日現在)、年5日間の有休取得を義務とする方針で、労働基準法の改正作業が進められている真最中なのです。
心身の健康を保ち、労働生産性を上げるためにも、休みを強制的に取るという方法も必要となるでしょう。
■「静」かに休み、「動」いて休む
休みを取ってはみたものの、どのように休んだらよいのか分からないという人もいるでしょう。おすすめは、「セロトニンを活性化する休み方」です。
セロトニンとは、不安やうつを和らげる脳内神経伝達物質のひとつ。
記憶力や学習能力もサポートしてくれる物質なので、資格取得や昇進試験などに役立ち、キャリアアップ効果も狙えます。
このセロトニンは、ゆっくり休むことによって活性化しますが、運動によっても活性化します。セロトニンを活性化させるのに効果的な運動はウォーキングなどの有酸素運動です。
また、ワクワクするような体験や遊びもセロトニンを活性化させます。
日本人は休むということにマイナスイメージ(不安や罪悪感など)を持っています。
自分が休むことで同僚や顧客に迷惑をかけているのではないかと気に病みながら休んでいるのです。そして、休暇中の旅先でも、仕事のメールチェックは欠かしません。会社へのお土産も忘れません。
これではセロトニンも活性化しないでしょう。
日本の場合は、休みに関する法的整備と同時に、人々の休みに対する意識改革が急務です。休みを心から楽しむことで、労働生産性が上がれば、企業業績も上がり、結果、お給料が上がる!
休み上手になって稼ぎ力をアップしましょう。
ファイナンシャルプランナー 萩原 有紀
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