Vol.26
健康のための旅行とその備え
2016.08.01
いよいよ8月。夏季休暇を利用して旅行に出かけるという人も多いのではないでしょうか?子どもがいるご家庭の場合、どうしても子ども中心の旅行になりますよね。そして、大人はというと、休みが終わる頃には疲れ切っている……
そんなことはありませんか?
大人こそ、自分の健康のために休んでほしい。旅行の効果や、万が一の備えを知って、健康を意識した旅行をしてみませんか?
■ストレスとは
ストレス社会」と呼ばれる現代社会ですが、ストレスは悪者というわけではありません。私たちはストレスを感じることで、思考や行動、生活習慣などを修正しながらたくましくなっていくのです。
しかし、ストレスが慢性化すると、心身の健康に悪影響を及ぼします。
働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト『こころの耳』」(厚生労働省受託事業として一般社団法人日本産業カウンセラー協会が開設)の中で、ストレスについて分かりやすく説明されているのでここに引用します。
「ストレスを風船にたとえてみると、風船を指で押さえる力をストレッサーと言い、ストレッサーによって風船が歪んだ状態をストレス反応と言います。」
私たちの暮らしにも外部からの刺激(ストレッサー)が溢れていて、それに対応しようと心身に様々な反応が起こるのです(下表参照)。
■旅行でストレスは軽減できる?
私はストレスを感じると旅に出たくなります。雄大な自然に触れたり、知らない土地で知らない人と話したりすると、思い悩んでいたことがちっぽけに感じるのです。
一般社団法人日本旅行業協会「旅と健康に関する調査研究プロジェクト」が2001年に行った2泊3日のモニターツアーでも、旅行のストレス軽減効果が実証されています。
モニターの旅行前中後の生理反応(血液、採尿、唾液、脳波)及び心理状態を分析したところ、旅行によって日常的な悩み(家族関係や仕事など)は全体的に解消されることがわかりました。また、ストレス反応は和らぎ、精神的健康感(達成感や幸福感)も高まり、それらの効果は旅行後も数日間持続するということもわかりました。
■ヘルスツーリズム
ここまで、旅行とストレスの関係を見てきましたが、次は、旅行を健康のために積極的に利用している例を見ていきたいと思います。
みなさんはヘルスツーリズムという言葉を聞いたことがありますか?
国土交通省観光庁のホームページにある説明を借りると、「自然豊かな地域を訪れ、そこにある自然、温泉や身体に優しい料理を味わい、心身ともに癒され、健康を回復・増進・保持する新しい観光形態」のことをヘルスツーリズムと呼ぶそうです。
いくつか具体例をあげましょう。
・ウォーキングツアー
ウォーキングの専門家が同行するなどして、安全安心かつ健康的に歩く旅行。
・宿坊ツアー
宿坊と呼ばれるお寺の中の宿泊施設に泊まり、精進料理を食べ、写経や座禅をすることで、心身を浄化する旅行。
・花粉症疎開ツアー
花粉症がピークとなる3月頃に、スギ花粉がほとんどない沖縄や北海道に数日間滞在するというもの。花粉症に効果があるとされる食事や、専門家によるアドバイスなどもあり、旅行後に症状が改善する例も多く見られるそうです。
自分に合ったヘルスツーリズムを見つけてみてはいかがですか?
■旅行中のリスクに対する備え
このように、一定の健康効果が期待される旅行ですが、心配なのは旅行中のケガや病気。
そこで最後に、旅行の備えの一つである「保険」についてまとめておきます。
保険料は補償内容や期間によって異なりますが、数百円から数千円。大きな額の旅行代金の数字を見た後は安く感じてしまうかもしれませんが、見るべきものは保険料ではなく補償内容です。
自分の旅行で「どんなときに誰がどういうふうに困るのか」を考えておくことが重要です。
・国内旅行保険について
日帰り旅行から1ヶ月程度の期間の損害を補償してくれます。
登山やマリンスポーツなどのようにケガと隣り合わせの旅行の場合、レスキュー費用や駆けつけてくれる家族の渡航費用などが補償内容に含まれているかチェックしておくとよいでしょう。
また、すでに旅行保険に入っていないか確認することも大切です。よくあるのが、クレジットカード付帯の旅行保険に入っているケース。
これで補償が十分な場合もあります。
・海外健康旅行について
海外旅行の場合、健康保険証を見せれば治療費用が原則3割負担の日本国内と違い、ほとんどの国で全額自己負担となります。帰国後、支払った費用が戻ってくる場合でも、高額な場合は立替払いも大変。たとえば、入院や手術が伴うような場合は治療費用が高額になりがちです。
さらに、本人の移送や、家族の渡航が加わる可能性もあります。
治療費用と救援者費用の補償が十分かチェックしておきましょう。
事前の準備がしっかりできていれば、旅行の効果も高まるでしょう。
また、旅行中の健康効果だけでなく、旅行をきっかけとして、旅行後の暮らしにも潤いが増すことでしょう。
これを読んで旅行に出かけたくなった人は、ぜひ自分の健康のために旅行計画を立ててみてはいかがですか?
ファイナンシャルプランナー 萩原 有紀
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