検索

健康コラム

Vol.27

三世代同居で金持ち元気持ち?!

2016.09.01

三世代同居で金持ち元気持ち?!

夏休みも終わり、お財布の紐を引き締めているご家庭も多いのではないでしょうか?
特に、実家が遠方という場合は帰省費がかったことでしょう。
「親が近くにいてくれたら、帰省費もかからないし、夫婦でもっとバリバリ働けるのに……」と思っている共働き世帯は多いものです。
今回は、親との同居について、経済面と健康面から考えます。

■再び大家族化へ?

昔、家におじいちゃんやおばあちゃんがいるのは当たり前という時代がありました。
それが、社会構造の変化や家制度の衰退などにより、いわゆる「核家族化」が進みました。
近年、共働き夫婦の増加に伴い、出産や子育てへの不安や負担が増しています。
安心して子どもを生み育てられる環境を作るため、国が打ち出したのが世代間の助け合いを目的とした三世代同居の促進。
三世代同居が可能な三世代住宅の新築やリフォームに対して、一定の条件のもと、補助金や減税などの優遇措置が用意されました。

補助金や減税以外にも、三世代同居には経済的効果がいろいろとあります。大きく5つにまとめてみました。

■三世代同居の経済的効果

①建築費・リフォーム費
子世帯は新たに新居を建て、親世帯は老朽化した家をリフォームするとなれば、それぞれに経済的負担がのしかかります。
たとえば、親世帯の古家を壊し、その敷地に、子世帯が三世代住宅を建てることにすれば、子世帯は土地代が不要になり、親世帯もリフォーム費用が不要になります。

②生活費
一緒に食事をしたり、家族団らんしたりすることで、食費や光熱費が節約できます。
子どもたちだけで外遊びをさせられない昨今、共働きの子世帯の家では、エアコンの効いた部屋で留守番をする子どもたちが多いです。そんなとき、親世帯と一緒に過ごせば、光熱費が一世帯分で済みます。

③帰省費
盆暮れ正月の帰省シーズンになると帰省費がかかります。
また、親の病気やケガ、介護などに伴う帰省費も心づもりが必要です。
一緒に暮らしていれば、そのような帰省費の心配は要らなくなります。

④共働きによる収入維持
子どもが小学生くらいまでは養育に手がかかるため、親のどちらかが仕事をセーブします。そうなると、収入も一時ダウンします。
親世帯が一緒だと、安心して働けますし、仕事と子育ての両立で無理をし過ぎないで済みます。

⑤医療費や介護費の削減
子世帯との生活や孫の世話は、親世帯にとって生活にハリが出て、心身ともに健康を保てます。これは、医療費や介護費の削減にもつながります。

この点について詳しく見てみましょう。

■健康と生きがい

平成25年度に内閣府が実施した「高齢者の地域社会への参加に関する意識調査」によると、60歳以上の人が生きがいを感じる時は、「孫など家族との団らん」が48.8%と最も高いという結果。
この生きがいが健康寿命を延ばすという研究結果も出ています。

ニューヨークのマウントサイナイ病院の心臓病学研究チームDr. Cohenらの研究(2015年12月1日付『Psychosomatic Medicine』掲載)によると、「自分の人生には意味があり、自分は人の役に立っている」と強く思っている人は、心臓病にかかる確率、そして心臓病を含むすべての原因で死亡する確率が低いというのです。
生きがいとは「生きている価値がある人生」のこと。
同研究によると、高い目的意識を持つことは、ストレスから身を守り、健康的な生活を促してくれるとのことです。

三世代同居の効果

このように、経済面でも健康面でもメリットがたくさんある同居ですが、もちろんデメリットもあります。
価値観やライフスタイルの違い、またはプライバシーが確保できないなど、ストレスを感じることもあるでしょう。
三世代住宅には、そのようなデメリットとメリットを調整すべく、下表のような各プランがあります。

三世代住居3つのプラン

共用スペースが多い方が世帯間で交流しやすく、建築費も抑えられますが、ストレスを感じる場面は増えるかもしれません。一方で、分離すればするほど、費用と面積を要します。

最後に、同居とともに注目されている「近居」という住まい方について紹介します。

■スープの冷めない距離

親世帯と子世帯とが適当な距離で別居近住することを「スープの冷めない距離」と表現しますが、この言葉は、当時核家族化が進行していた昭和40年代に嫁姑問題と一緒に論じられてきました。
そして、現代、平成25年度に内閣府が実施した「家族と地域における子育てに関する意識調査」によると、「理想の家族の住まい方」として、全体の31.8%が「親との近居」と回答しています。「親との同居」は20.6%で、実に11%の差をつけています。
近居の場合の建築費の削減や税制面での優遇はありませんが、生活費や共働きによる収入維持の面では同居とほぼ同じ効果が得られます。

同居や近居は、これからの時代、経済的・健康的豊かさ、さらには精神的豊かさを追求するために考えていきたいものです。

ファイナンシャルプランナー 萩原 有紀

バックナンバー

全てを表示閉じる