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健康コラム

Vol.28

健康とお金を守る働き方

2016.10.01

健康とお金を守る働き方

いま、晩婚化や、それに伴う晩産化により、育児期の世帯が親の介護も同時に担うという「ダブルケア」問題が指摘されています。特に、ダブルケアする人が家計を担っている場合、ケアする人の心身だけでなく、家計にも大きな負担となります。
今回は、ダブルケアする人の負担を少しでも軽減できるような働き方を考えます。

■ダブルケア問題

今年の4月、内閣府男女共同参画局は、「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査」の結果を発表しました。その調査において、ダブルケアに直面する人は、全国で推定25万人にのぼるということ、また、そのうちの8割は30~40代の働き盛りに集中していることが明らかになりました。
同調査で、ダブルケアに直面する前後で、「業務量や労働時間を減らした」という人は男性で約2割、女性で約4割という結果に。さらに、そのうち離職して無職になったという人は、男性で2.6%、女性で17.5%と、女性の方がより大きな影響を受けていることが分かりました。育児する男性(メンズ)を「イクメン」と呼んだり、介護(ケア)する男性(メンズ)を「ケアメン」と呼んだりしますが、そのような呼び方があるということは、それが特別なことだという表れ。まだまだ子育てや介護は女性の仕事という風潮があるのでしょう。

■テレワークのススメ

ダブルケアする人が働いている場合、心身の負担は増え、収入は減ります。「育児休業給付」や「介護休業給付」などの公的な制度をはじめ、勤め先の独自の制度がないかどうかも確認しておきましょう。
国も、ダブルケアの実態を調査し、対策を講じ始めています。その対策のひとつとして「テレワーク」の普及が挙げられます。
テレワーク(Telework)とは、情報通信技術(ICT=Information and Communication Technology)を活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のこと。
たとえば、子どもが寝ている間や、親がデイサービスなどの介護支援サービスを受けている間に、自宅などで仕事ができれば、育児や介護と仕事を両立させることができます。

TeleWorkとは離れた場所で働くということ

テレワークという言葉は、アベノミクスの三本の矢の「成長戦略」の中にも登場します。一億総活躍社会に向け、それぞれのライフステージに合った多様な働き方を可能にするツールとして、国もテレワーク普及に力を入れており、助成金の支援制度なども用意されています。
次に、テレワークする人について整理しておきましょう。

■テレワークする人ってどんな人?

たとえば、「在宅ワーカー」「在宅勤務者」「ノマドワーカー」「SOHO」「フリーランス」と呼ばれる人もテレワークをする人です。
それぞれの言葉を整理しておきましょう。

【在宅ワーカー・在宅勤務者】
その名の通り、家に居ながら仕事をする人のこと。
自営型と雇用型があります。

【ノマドワーカー】
ノマド(Nomad)とは、英語で「遊牧民」を指します。ネット環境が整ったカフェなどを、まるで遊牧民のように移動しながら、ノートパソコンやタブレット型端末を使って仕事をする人を「ノマドワーカー」と呼びます。
特定の職場もデスクも会社員としての身分も持たず、一人で仕事をする人を指すことが多いようです。

【SOHO】
SOHO(ソーホー)とは、Small Office Home Office(スモールオフィスホームオフィス)のこと。小さな事務所や自宅などで、情報通信ネットワークを駆使しながらビジネスを行っている個人やグループを指します。

【フリーランス】
フリーランスというのは、組織から独立し、自由契約で働いている人のことを指します。

ほかにも、営業担当や出張の多い社員もテレワークする人に含まれます。ここにテレワークを分類した分かりやすい図がありますのでご紹介します。

〈株式会社テレワークマネジメントによるテレワークの分類〉

■テレワークのメリット

ダブルケアする人にとって、最大のメリットは、やはり、育児や介護をしながら仕事ができるということでしょう。
そして、ワークライフバランス(仕事と生活の調和)が保たれることで、ダブルケアする人自身の健康を守ることができるという点も重要です。
また、育児や介護に適した居住環境を選べるというのもメリットです。
ほかにも、「通勤時間が削減できる」「災害やパンデミック(感染症流行)の際も仕事が継続できる」など、テレワークのメリットはたくさんあります。

もちろん、コミュニケーション不足やオンオフの切り替えが難しいといったデメリットもあります。そんなデメリットを解消できるよう、テレワークに必要な基本的能力は身につけておきたいものです。

■テレワークに必要な基本的能力

職種や雇用の有無にもよりますが、共通していえることはこの3つです。

①ITスキル
テレワークでは、クラウドやSNS、Web会議システムなどのITツールを積極的に活用します。ITスキルを身につけるために高いお金を払う必要はありませんが、基本的なお作法は習得しておきましょう。

②コミュニケーション能力
仕事に「相手」がいる限り、コミュニケーションは欠かせません。その相手と離れているということは、メールや電話でのコミュニケーションが増えるということです。
限られた条件下におけるコミュニケーションは難しいものです。特に、表情や声色が感じられないメールは、一歩間違うと仕事を失うことにもなりかねません。

③自己管理能力
人間は往々にして楽な方へ流されがち。注意してくれる人がいない環境において、自分で自分を律することが非常に重要となってきます。
逆に、自分で自分を労わることも忘れてはいけません。育児や介護は24時間待ったなし。休むことも仕事のうちです。自分の心や身体の声に耳を傾け、無理のないスケジューリングを心がけましょう。

いかがでしたか?
今はまだダブルケアに直面していない人も、その日が来ることを想像してみてください。そして、自分に合ったテレワークについて考えてみてはいかがでしょうか。

ファイナンシャルプランナー 萩原 有紀

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