ライフプランとは、生涯の生活設計のこと。
「年に2回は家族旅行をする」とか、「5年後に車を買い替えたい」といった、将来の夢や希望を計画するもの、というのが一般的になされている説明だと思いますが、今回は、少し違った見方をして、ライフプランの本質に迫りたいと思います。

■ライフプランの2つの見方

みなさんは、「ライフプラン」と聞いてどのようなことをイメージされますか？
時系列で記された年表のようなものを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。住宅や保険などの大きな買い物をしたことがある人なら、ライフプランを作ったことがあるかもしれません。
もう少し詳しく解説すると、ライフイベント（結婚や住宅購入などの人生における出来事）や、ライフステージ（子育て期や老後など、人生の各段階）に沿って将来を計画したものがライフプランで、そこに、収支状況や貯蓄残高といった情報が加わるとキャッシュフロー表と呼ばれるものになります。
ただし、これは狭義のライフプランのこと。広義のライフプランには、お金だけでなく、健康や生きがいも含まれます。

私たちファイナンシャルプランナーは、主にお金の面からアプローチします。
キャッシュフロー表を使って、「住宅資金」「教育資金」「老後資金」などの計画を立て、お金に関する悩みや不安を解決するお手伝いをしています。

■みんなの悩みや不安ってどんなこと？

平成26年に内閣府により行われた「国民生活に関する世論調査」を見ると、日常生活における悩みや不安の内容がわかります。

「悩みや不安を感じている」と答えた人が多かった順に5つ挙げると
①老後の生活設計について
②自分の健康について
③家族の健康について
④今後の収入や資産の見通しについて
⑤現在の収入や資産について

「お金」と「健康」についての悩みや不安を抱えている人が多いという結果となっています。ライフプランの3要素（お金と健康と生きがい）のうちの2つの要素に関して人は悩んだり不安に思ったりしているのです。
ちなみに、「生きがい」に関しては、①～⑤には挙がってきていませんが、趣味が生きがいの人、家族が生きがいの人、人それぞれ。
少し注意が必要なのは仕事が生きがいだという人。
定年とは言ってもまだまだ元気な年齢。
退職後は別の仕事をしたり起業したりする人も増える一方で、定年退職後、どうやって生きていけばよいのかわからないという悩みを持つ人も。

■お金と健康と生きがいのバランス

お金と健康と生きがい。この3つはどれも豊かな人生にはなくてはならないもの。
1つでも欠けたらどうでしょう？

・健康な肉体と精神を持ち、人生の目標や使命もある。しかし、その目標や使命を果たすための手段のひとつであるお金がない
・人生の目標や使命があり、それを果たすための手段であるお金もある。しかし、肉体や精神を病んでいる
・お金があり、健康な肉体や精神もある。しかし、人生の目標も使命もない

お金と健康と生きがいの、3つがバランス良く調っていてはじめて豊かな人生だと言えます。
筆者が病棟看護師をしていた頃、ライフプランの3要素の1つである「健康」を脅かされている患者さんがよく口にする言葉がありました。
「仕事ばかりしないで、もっと家族と一緒に過ごせばよかった」「もっと自分の健康に気を配ればよかった」という後悔の言葉です。 もちろん、仕事も「家族のため」と思って一生懸命やっているのでしょう。
しかし、仕事が忙しくて家族と過ごす時間が持てなかったり、過労のために心身の健康を失ったりしていては元も子もありません。

理想の人生を実現するには、もしかしたら、世間一般で言われているようなお金がかからないかもしれません。そんなに働かなくてもいいのかもしれません。
まずはどんな生き方・暮らし方・働き方をしたいのか、ひとりで、または家族でじっくり考えてみるとよいでしょう。
その上で、お金と健康と生きがいについて、自分なりに将来に向けたプランを立てることができれば、広い意味でのライフプランは完成です。

■貯めておけるのはお金だけじゃない！

お金の不安には「貯金」が有効ですが、貯めておけるのはお金だけじゃありません。
私たちがいま食べているものや、いま行っている運動は、将来の私たちの身体を作ります。
私たちがいま夢中になれる趣味や活動は、将来の生きるエネルギーになるでしょうし、家族や友人、地域の繋がりを大切にしていれば、孤独な老後は避けられます。
お金を貯めることに力を注ぎ過ぎて、健康や生きがいを貯め損ねていては豊かな未来は遠ざかります。
お金も健康も生きがいも、日々の積み重ね。
コツコツ貯めて豊かな人生を！

ファイナンシャルプランナー　萩原 有紀