検索

健康コラム

Vol.30

お金持ちは姿勢が良い?!

2016.12.01

みなさんは、お金持ちにどのようなイメージを持っていますか?
高級スーツを身にまとい、堂々と胸を張っているイメージ?
人をイメージする際に影響を与える要素の一つとして「姿勢」が挙げられます。
今回は、姿勢が人に与える影響について考えていきます。

■悪い姿勢とはどんな姿勢?

実のところ、良い姿勢に統一的な定義はありません。そこで、まずは分かりやすいように、悪い姿勢の代表例を3つ挙げて説明します。

例1.猫背
猫のように見えるから「猫背」。
もともと背骨は横から見てS字状に曲がっているのですが、その背骨の胸椎部分の弯曲が強まり、肩や頭が前方に出てしまった状態が猫背です。
猫背の原因としては、
①生まれつきのもの
②加齢によるもの(骨粗しょう症、椎間板や骨の変形)
③生活習慣によるもの(デスクワークやスマホ操作による姿勢、動作の習慣)
④疾患や痛みによるもの
⑤心理的なもの(思考・認識、不安)などがあります。
これからの季節、寒さから身を守ろうと背中を丸めることもあるでしょう。

例2.ストレートネック
これは、頚椎(首の骨)の生理的弯曲(本来あるカーブ)がなくなってしまっている状態のこと。具体的に言うと、通常30~40度で自然に曲がっている首が、まっすぐ(30度未満)になっている状態です。
ストレートネックは別名「スマホ首」とも言われ、スマートフォン操作などで慢性的なうつむき姿勢をとることが原因とされます。ほとんどのストレートネックは猫背に起因しているといわれます。

例3.反り腰
名前の通り、腰が反っている状態のこと。俗に言う「出っ尻(でっちり)」。
お尻を突き出したような姿勢です。
たとえば、ハイヒールを履くと、転ばないよう上半身を後ろに反らして重心を安定させようとします。筋力が弱い人がハイヒールを履くと、この反り腰の傾向がよりいっそう強くなります。
猫背やストレートネックとは逆に、姿勢を良くしようとして無理に腰を反らせているケースも見られます。

■見た目だけじゃない!悪い姿勢がもたらすものとは…

以上、3つの例を見てきましたが、どれも、見た目に美しくありませんね。
しかし、悪い姿勢が及ぼす影響は、まだまだあります。
たとえば、猫背は胃腸を圧迫するので、便秘や血行不良を引き起こします。
肩が前に出ることで、肺も縮むので、呼吸が浅くなります。呼吸が浅いと、脳や肺などに十分な酸素を届けることができず、健康にも美容にも良くありません。

また、ストレートネックは食道や喉を圧迫します。頭の重み(成人で約5kg)は首回りや肩の神経も圧迫します。自律神経は頚椎と頭蓋骨の接続部に集中しているので、ここを圧迫されると、自律神経失調症(だるさ、めまい、頭痛、不安、緊張、イライラなどの症状)を引き起こします。

反り腰は、本来立った状態の骨盤を前傾させ、内臓を下に落とします。
それにより、腸の働きが阻害され、下半身の血流が悪くなり、下半身太りや肌荒れなどの原因になります。

■良い姿勢とはどんな姿勢?

さて、悪い姿勢が健康と美容に大打撃を与えると判れば、次は、良い姿勢を身に付けたいですね。
子どもの頃、「姿勢を良くしなさい」と注意されたことはありませんでしたか?
このように注意されたら、反射的に背筋をピンと伸ばしたのではないでしょうか?
では、良い姿勢というのは背筋をピンと伸ばした状態のことを言うのでしょうか?
バレエのレッスンやモデルの指導では、よく、「天井から頭のてっぺんを紐で吊られているような感じ」が良い姿勢と教えられます。
教科書的に言うと、耳・肩・大腿骨の大転子(太ももの骨の付け根外側の出っ張り部分)・外くるぶしが、横から見たときに1本のラインで結ばれている状態が、自然で、負担のない良い姿勢。
次に示すのは、良い姿勢と悪い姿勢のイメージ図。
左図が良い姿勢。
中央図は猫背に加えてストレートネック。
右図は反り腰になってしまっています。

良い姿勢と悪い姿勢のイメージ図

たとえ背筋をピンと伸ばしていても、不自然で負担のかかる姿勢は良い姿勢とは言えません。
理学療法士などが学ぶ「基礎運動学」というテキストに、良い姿勢(良姿勢)と悪い姿勢(不良姿勢)の判断基準が載っているのでご紹介します。下表①から⑤の判断基準をクリアしていれば「良い姿勢」と呼ぶことができそうです。

「良姿勢」と「不良姿勢」の判断基準

■姿勢を変えると人生が変わる?!

落ち込んでいる時は、肩を落として背中を丸め、自信に満ち溢れて幸せな時は、背筋が伸びて胸を張る。落ち込むから背中を丸めるのか、背中を丸めるから落ち込むのか……どちらが先かは分かりませんが、姿勢を正すと気分も明るく前向きになる気がします。

悪い姿勢の原因が疾患によるものの場合は、医学的解決が必要ですが、生活習慣や思考のクセは自分で変えることができます。
最初は常に姿勢を意識しなければなりませんが、日々の意識が積み重なると、無意識的に良い姿勢をとることができるようになります。
良い姿勢は、仕事の効率を上げてくれます。
良い姿勢は、自信とやる気につながります。
良い姿勢は、健康的な心身を作ります。
良い姿勢は、相手に好印象を与えます。

良い姿勢の利点

良い姿勢を心がけると、元気に効率良く働けます。それがお金持ちになれる秘訣のひとつかもしれません。

ファイナンシャルプランナー 萩原 有紀

バックナンバー

全てを表示閉じる