検索

健康コラム

Vol.31

お正月は胃腸と家計のリセットを!

2017.01.01

12月は忘年会やクリスマスパーティーなど、食べたり飲んだりする機会が多かったことでしょう。
一次会に二次会、時には三次会と、年に一度の締めくくりだからと、ついつい限度を超えて飲み食いして後悔したという経験はありませんか?
今回は、そんな状態をリセットする方法についてご紹介します。

■飲食が荒れると胃腸も荒れる

度を過ごして飲んだり食べたりすることを暴飲暴食と言い(広辞苑第6版より)、暴飲暴食は、消化不良や胃酸過多の原因になることがあります。以下それぞれについて、もう少し詳しく見ていきましょう。

①消化不良
暴飲暴食をすると、消化能力が追いつかず、十分な消化が行われなくなります。消化不良は、疲労が原因になることも。
年末は、忘年会などのイベントに加え、仕事の疲れも積み重なっていることでしょう。
消化不良は、胃痛や嘔吐、下痢などの症状を引き起こします。

②胃酸過多
胃酸とは胃液に含まれる酸のこと。食べ物が胃に入ると、消化酵素である胃酸が分泌されます。臓器を溶かしてしまうほど強い酸性の胃酸ですが、胃は粘膜によって守られているので大丈夫。
しかし、食べ過ぎが続くと、消化しきれなかった食べ物が胃にたまり、胃酸が過剰に分泌される一方で、胃壁を守る粘液の分泌が少なくなったり、胃腸のぜん動運動(収縮運動)が鈍くなったりします。
アルコールも、少量なら胃腸の働きを助けてくれるのですが、飲み過ぎると胃酸過多に。胃酸過多は、胃痛や胃もたれ、胸焼けなどの症状を引き起こします。

以上のような胃腸の不快症状を改善し、晴れやかに新年をスタートさせるためのヒントが、なんと、日本の古くからの習慣である「寝正月」と「七草粥」に隠されていたのです!

■寝正月の効用

昔は、大晦日には眠らずに年神様を迎えたことから、元旦はゆっくり寝るのが習わしでした。「朝起き貧乏、寝福の神」(元旦の早起きは貧乏のもとで、朝寝坊は幸せのもとであるという意味)ということわざもあるほど。
現在では、単に、お正月にどこも出かけず、家でゆっくり寝て過ごすことを寝正月といい、どこか自堕落なイメージがあります。
しかし、寝正月にはことわざどおり、実益があります。
人間の身体は、活発に動くときに働く交感神経と、身体を休めるときに働く副交感神経とがシーソーのようにバランスをとりながら調整されているのですが、多忙な年末には、交感神経が活発になることが多く、胃腸の働きが抑制されがち。
お正月にゆっくり休んでリラックスすることで、消化や吸収、排泄などの胃腸の働きを活発にすることができます。
注意したいのは、食後にすぐ眠ってしまわないこと。食べ物を消化するには2~3時間かかり、その間は胃腸が働かざるを得ないので、質の良い眠りは得られないからです。食後は、横になる程度にしましょう。
横になるときは、逆流性食道炎(食道への胃液の逆流)にも気をつけなければいけません。上体を少し高くして休むなど、横になるときの姿勢にも気を配りましょう。

■荒れた胃を救う七草粥

寝正月を終え、お正月気分がまだ抜け切らない旧暦の1月7日。この日の朝に七草粥を食べると、その一年は病気をしないと言われています。
七草粥とは、春の七草である、せり・なずな(ぺんぺん草)・ごぎょう・はこべら・ほとけのざ・すずな(かぶ)・すずしろ(大根)を入れたお粥のこと。
お粥は消化しやすいため、暴飲暴食で荒れた胃に優しいのです。
また、程良く温かいお粥を食べると、体が温まり、血液の循環が良くなるので、胃腸の働きを回復させるのに役立ちます。
さらに、このお粥に入っている七種の野草は、野菜不足を補い、下表のような体に嬉しい効果も期待できます。胃腸に関する効果が目立ちますね。

七草の栄養素とその効果

■胃腸のリセットついでに、家計もリセット

最後に、寝正月と七草粥で、荒れた胃腸をリセットしつつ、荒れた家計もリセットしておきましょう。

年末年始は、1年で最もお金を使うとき。この時期、子育て世帯の家計相談では、「忘年会やクリスマスパーティー、新年会などのお付き合い費がかさむ」とか、「ついつい外食をしてしまう」というご相談をよく受けます。
総務省の2015年家計調査家計収支編(二人以上の世帯)から、月別支出金額を外食に絞って見てみると、過去3年間ずっと、12月は2位という上位をキープしています。
外食で弱った胃腸と家計を休めるには、やはり、質素な暮らしでしょう。そこで、先ほどご紹介した七草粥。七草を揃えとなると、手間も費用も気になるところですが、昨今、七草粥セットという便利なものが売られているのでご安心ください。
1パック(4~5人分)数百円でスーパー等で手に入ります。七草の栄養素とその効果を考えると、コストパフォーマンス抜群です!

コンディションの整った胃腸と家計で、みなさま良い一年のスタートを切れますように。

ファイナンシャルプランナー 萩原 有紀

バックナンバー

全てを表示閉じる