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健康コラム

Vol.32

インフルエンザ予防のカギは○○の湿度

2017.02.01

国立感染症研究所のインフルエンザ流行レベルマップによると、2017年1月18日現在、全国で警報レベルを超えている保健所地域は36箇所(21都道府県)、注意報レベルを超えている保健所地域は368箇所(47都道府県)で、流行地域は日々拡大中です。例年、インフルエンザの流行は2月がピーク。
ピークを前に、今日からすぐ私たちができる予防方法についてお伝えします。

■インフルエンザ予防に大切なことは?

インフルエンザは、ウイルスが変異を繰り返すため、1回かかってもまたかかってしまうというのが、他のウイルス性の病気との大きな違いです。感染力が強く、潜伏期間が短く、そして、爆発的に広がるのも大きな特徴です。
インフルエンザにかかると、発熱や関節痛などで身体が辛いうえ、治療費などでお財布も辛いです。
インフルエンザを完全に防ぐ方法はありませんが、かかりにくくする努力はしたいものです。

インフルエンザを予防する有効な方法として、厚生労働省ホームページ内「インフルエンザQ&A」で挙げられているものを以下にご紹介しましょう。

1.流行前のワクチン接種
2.飛沫感染対策としての咳エチケット
3.外出後の手洗い等
4.適度な湿度の保持
5.十分な休養とバランスのとれた栄養摂取
6.人混みや繁華街への外出を控える
この中でも、今回は「適度な湿度の保持」について詳しく見ていきます。

■適度な湿度とは

日本の冬は、主に太平洋側で乾燥します。
また、エアコンや電気ストーブをつけた室内は地域を問わず乾燥します。
厚生労働省のホームページを見ると、「空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。特に乾燥しやすい室内では、加湿器などを使って適切な湿度(50~60%)を保つことも効果的です」とあります。
加湿器を使う以外にも、洗濯物を部屋干しするなどして、室内の湿度を上げることができます。しかし、室内の空気が乾燥することがインフルエンザの原因というより、その乾燥によって「気道粘膜の防御機能が低下」することが原因ですから、室内の湿度にあまり神経質になる必要はありません。
では、その気道粘膜の防御機能とはどのような機能なのか、次に見ていきます。

■気道粘膜の防御機能とは

気道は、上気道(鼻腔から咽頭まで)と、下気道(気管から気管支まで)に分けられます。
上気道は、エアーコンディショナーと加湿器と空気清浄機の機能を併せ持った働きをします。冬の乾いた冷たい空気を吸い込むと、鼻腔粘膜を流れる血液から熱が放出されて加温され、同時に水分が蒸発して加湿されます。
また、鼻粘膜や喉粘膜の腺毛は、空気に含まれる異物を排除し、異物による感染から体を守ってくれています。
インフルエンザウイルスもその異物の一つです。
続く下気道でも、腺毛の働きで異物を排除してくれます。
このように、気道内の腺毛は、異物を外へ追い出してくれる心強い用心棒なのですが、ひとつ弱点があります。
それが「乾燥」。
乾燥すると、腺毛の働きが鈍くなってしまうのです。
そこで、気道の湿度を保つことがインフルエンザ予防のカギとなります。

■気道の湿度を保つ方法

気道の湿度を保つために、今日からすぐできる簡単な方法を3つ挙げます。

1.マスクをする。
インフルエンザウイルスは、一般的な不織布マスク(熱や化学的処理で繊維を接着して作られた薄いシート状のマスク)の隙間より小さいため、一般的な不織布マスクだと空気感染によるインフルエンザウイルスの侵入を防ぐことはできません。
ただ、主な感染経路である、飛沫感染と接触感染には一定程度の効果があるとされ、厚生労働省も前述のQ&Aの中で「不織布製マスクを着用することは一つの防御策」だと言っています。
それとは別に、マスクは気道の湿度を保つ働きもします。マスクを装着していると、吐いた息がまるでスチームのようにマスク内に溜まり、鼻や喉の湿度が保たれます。

2.水分をこまめに摂る。
水分をこまめに摂ることで、体内に水分が不足するのを防ぐのはもちろんのこと、鼻や喉にある腺毛を潤し、異物を排除する力を高めることができます。
冬こそ、喉が渇いていなくてもこまめな水分補給を心がけましょう。

3.鼻呼吸を心がける
人間はもともと鼻呼吸です。それが、風邪や鼻の疾患などによって口呼吸になってしまうことがあります。
口呼吸をすると、冬の乾燥した冷たい空気が直接喉に入ってくることになります。
その結果、気道が乾燥し、ウイルスなどの異物も入りやすくなるのです。
その点、鼻呼吸をすると、フィルター(鼻毛や鼻粘膜の腺毛)が空気を最適化してくれます。

図:鼻呼吸と口呼吸

いかがでしたか?
湿度計を置いて、室内の湿度コントロールをするのと同時に、マスクや水分補給、鼻呼吸などによって、気道の加湿も心がけるようにしましょう

ファイナンシャルプランナー 萩原 有紀

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