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健康コラム

Vol.34

ガッツポーズで元気になろう

2017.04.01

いよいよ新年度がスタートしました。
寒い季節はついつい背中を丸めて下を向きがちでしたが、暖かくなり、気持ちも新たに胸を張って歩きたくなります。
気持ちを新たにするから胸を張るのか、胸を張るから気持ちが新たになるのか……。今回は、気分とポーズの関係について考えていきたいと思います。

■人はどうしてガッツポーズをするのか?

ポーズとは姿勢や態度のことをいいます。
元気そうなポーズは?ときかれて思い浮かべるのは、やはりガッツポーズでしょう。
スポーツの試合で点を取ったときや、難易度の高い技を決めたときなど、スポーツ選手が見せることが多いポーズなので、よりいっそう元気なイメージです。

ガッツポーズは人間の本能として自然と表れるポーズです。
何かを達成したときや嬉しいときなど、大きなプラスの感情は、アドレナリンという交感神経を活発にするホルモンを誘発します。
アドレナリンは、筋肉や内臓に働き、運動能力を高めます。拳にグッと力が入ってしまうのもアドレナリンの仕業。
また、ガッツポーズは拳を握って、さらにその手(片手もしくは両手)を上げるポーズです。人は、気分が良いと手を上げてしまうようです。
ガッツポーズに限らず、「バンザーイ」や「やったー」などといった声を発するときも、自然と手を上げているのではないでしょうか?
逆に、気分が悪いと自然と顔は下を向き、肩も内側に下がってしまいます。
このように、気分はポーズを左右します。

それでは、ポーズが気分を左右することはあるのでしょうか?
2つの研究結果をもとに考えていきたいと思います。

■ポーズが気分を左右する?!

1.社会心理学者エイミー・カディ教授の研究

非言語表現(ポーズ)が人間に与える影響について研究している、ハーバード・ビジネス・スクールのエイミー・カディ准教授らの研究において、身体を大きく広げるようなハイパワー・ポーズは、幸福感ややる気を高め、ストレスを減らすという結果となり、一方、身体を小さく縮めるようなローパワー・ポーズは、逆効果となるという結果が得られました。

参考図書:Amy Cuddy『Presence Bringing Your Boldest Self to Your Biggest Challenges』2015

研究の概要

  • ①まず、被験者の唾液を採取し、それらのテストステロンおよびコルチゾールレベルを測定。
  • ②次に、被験者に2分間、ハイパワー・ポーズか、ローパワー・ポーズのいずれかのポーズをとってもらう。
  • ハイパワー・ポーズのイメージ ローパワー・ポーズのイメージ

  • ③最後に、ポーズをとった後の唾液を採取し、再度テストステロンおよびコルチゾールレベルを測定。すると、ハイパワー・ポーズは、テストステロンを20%増加させ、コルチゾールを25%減少させることが判ったのです。

○テストステロン

バイタリティを高めてくれる男性ホルモン。
男らしさに関係するホルモンですが、女性も分泌しています。
幸福感を感じたり、やる気を高める物質であるドーパミンの分泌を促します。

○コルチゾール

ストレスホルモン。
ストレス状況下において重要な役割を果たすホルモンですが、過度なストレスにより分泌が増えすぎると、免疫系や脳に影響を及ぼします。

2.九州大学大学院の研究

2つ目の研究をご紹介します。九州大学大学院の研究グループは、心理学実験を通じて、人は腕を上に動かすと快くなるという研究結果をまとめました。

研究の概要

  • ①まず、被験者に、タッチパネルディスプレイ上に現れるさまざまな感情を呼び起こす画像を観察してもらう。
  • ②次に、その画像が消えた直後に画面を指示通りに左右上下にスワイプしてもらう。
  • ③最後に、その画像がどのくらい快・不快であったかを測定。

九州大学大学院の研究グループによる研究方法の図解

九州大学大学院の研究グループによる研究方法の図解

出展:九州大学大学院研究グループ「過去の感情を未来の動作で書き換える」

上方向に腕を動かすと、直前に見た画像を快く感じ、下方向に腕を動かすと、直前に見た同じ画像を不快に感じることが判ったのです。
詳細な研究内容については、「過去の感情を未来の動作で書き換える」を参照してください。

■ポーズの整形学的効果

ここまでは主に心理学や内分泌学の面から見てきましたが、整形外科学の面においても、腕を上げることによるメリットがあります。
バンザイのポーズは、「ゼロポジション」と呼ばれ、肩が最も安定しているポーズのため、身体が楽なのです。
正確なゼロポジションは、「130度から150度の挙上位」とされ、「両手を組んで頭を支える時の肩の位置」です(参考図書:『整形外科学』改訂第4版、2017年)。
ゼロポジションは、最も力を発揮しやすいポジション(姿勢)とされ、テニスのサーブや投球動作など、あらゆるスポーツの基本姿勢となっています。
また、肩回りの筋肉の血行不良を防ぐ姿勢でもあるため、肩こりの解消にも役立ちます。肩回りの血行不良が改善すると、顔色が良くなり、見た目も元気そうに見えます。

いかがでしたか?
元気になりたいときは、腕を大きく上に動かして、ガッツポーズをしましょう!

ファイナンシャルプランナー 萩原 有紀

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