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健康コラム

Vol.42

暖房器具で健康を守る!

2017.12.01

寒さが本格化し、いよいよ暖房器具なしでは過ごせなくなっています。
冬は健康トラブルも多いシーズン。暖房器具を、ただ暖かくするだけの道具と考えず、健康を守るための道具だと考えてみませんか?
今回は、主に健康に焦点を当て、暖房器具とその使い方についてご紹介します。

■冬の寒さが身体に与える影響は?

厚生労働省の人口動態統計月報を見ると、1年のうちで12月頃から2月頃にかけて死亡数・死亡率が増えていることがわかります。インフルエンザや呼吸器疾患なども増えますが、冬の寒さに比例して増えるのが心筋梗塞などの心疾患。
前述した人口統計月報の数字にも表れており、心筋梗塞は12月から2月に増加しています。

■寒くなると心筋梗塞が増える理由

心筋梗塞とは、心臓に酸素と栄養を運んでいる冠動脈が詰まることで心筋に血液が行かなくなり、心筋が死んでしまう状態をいいます。動脈硬化で狭くなった冠動脈に血栓(血の塊)が詰まってしまうのです。
動脈硬化を簡単に言うと「血管の老化」。この血管の老化を早める要因のひとつとして高血圧が挙げられています。一般に、高齢者や高血圧の人はヒートショックを起こしやすいといわれています。

■ヒートショックを防げ

ヒートショックとは、急激な温度の変化で血圧が上下に大きく変動することが原因で起こる健康被害のこと。これからのシーズン、最も注意すべきは入浴時の事故。
脱衣室で服を脱ぐと血管が収縮(血圧上昇)し、湯船に入ると血管が拡張(血圧低下)するという、急激な血圧の変化が心臓に負担をかけ、心筋梗塞を引き起こすことがあるのです。
ヒートショックを防ぐためには、家の中の温度差をなるべく少なくすることが重要。そこで重要になるのが暖房器具です。どのような暖房器具が適しているのか考える前に、暖房器具の種類と特徴についてまとめます。

■暖房器具の種類と特徴

暖房器具は大きく分けて、①対流式、②ふく射式、③伝導式の3種類。

①対流式

暖房器具が暖かい空気を出し、その空気が熱を運んで流れることで部屋全体を暖めるという方法。
特徴:短時間で室温を上げることができるが、床や壁まで暖めることはできず、暖かさが外へ逃げやすい。また、ホコリが舞い上がりやすい。
代表例:エアコン、ファンヒーターなど
健康ワンポイント:乾燥しやすいため、加湿器の併用や洗濯物の部屋干しなどで湿度を保つ工夫をするとよい。石油やガスを使うファンヒーターは換気が必要。

②ふく射式

暖房器具自体が発熱し、赤外線によって部屋全体を暖めるという方法。
特徴:空気を暖めるものではなく、熱の向かう方向のものを暖める。室温を上げるのに時間がかかるが、空気の対流がないのでホコリが舞い上がりにくい。
代表例:ストーブ、オイルヒーター、電気ヒーター、床暖房など
※ストーブやヒーターは自然対流の効果もある。
健康ワンポイント:石油やガスを使うストーブは換気が必要。

③伝導式

発熱体に接することで身体を暖めるという方法。
特徴:発熱体から離れると暖かさを感じない。空気の対流がないという点ではホコリが舞い上がりにくいが、こたつ布団や毛布、カーペット自体からホコリは出る。
代表例:ホットカーペット、こたつ、電気毛布など
健康ワンポイント:低温やけどに注意!

暖房器具はそれぞれにメリットやデメリットがあります。違う種類の暖房器具を上手に組み合わせて、快適な空間を作りましょう。

■ヒートショックを防ぐ暖房器具は?

家の中の温度差をなくすには、全館床暖房が好ましいのですが、設置に伴う初期費用やメンテナンス費用が必要となります。
今年からすぐ試せる方法として、家の中で温度差が発生しやすい脱衣室や浴室、トイレなどに暖房器具を置くことをおすすめします。浴室に暖房器具がついていない場合は、入浴前に浴槽のふたを開けておくだけで浴室は暖かくなります。
脱衣室やトイレなどには、たとえば、立ち上がりが早く、狭い空間を暖めるのに適している小型のヒーターはいかがでしょう? 壁掛けタイプや人感センサー搭載のものなど、脱衣室やトイレ専用のファンヒーターや電気ヒーターも各社から販売されています。

■エコロジーでエコノミーな暖め方

最後に、エコの視点で暖房器具を見てみます。

問い:この中で暖房効率の良くない組合せはどれでしょう?

「部屋全体を暖める」のが得意なエアコンやファンヒーターと、「身体を暖める」のが得意なこたつやホットカーペットとの組合せは暖房効率が良いです。エアコンやファンヒーターは室温に対する体感温度が低めですが、身体を直接暖めてくれるこたつやホットカーペットは室温が低めでも体感温度を高めに保ってくれます。
Cのエアコン×ファンヒーターというのは、どちらも「部屋全体を暖める」のが得意な暖房器具なので、併用は不向き。
ただし、ファンヒーターで部屋の温度を一気に上げてから、エアコンに切り替え、ファンヒーターを止めるという時間差使用は効率的かつ経済的です。設定温度に達するまでにかかる電気代が高いというエアコンのデメリットをカバーできるからです。
資源もお金も無駄遣いせず、健康的に暖かい冬を過ごしましょう!

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