検索

健康コラム

Vol.49

ラジオ体操の健康効果がすごい!

2018.07.01

いよいよ夏休み。夏休みといえば、寝ぼけ眼で首からカードを下げて、毎朝ラジオ体操をしに出かけたものです。近年、少子化や共働きの増加が影響し、夏の風物詩ともいえるラジオ体操は減りつつありましたが、最近ではその健康効果が見直されています。今回は、ラジオ体操の効果について確認し、日常に無理なく取り入れる方法について考えてみます。

1.ラジオ体操の手軽さがすごい!

ラジオ体操の歴史は古く、遡ること90年前の1928年(昭和3年)に放送が開始されています。
健康ブームに流されやすい日本人が、これほど長くラジオ体操を続けてこられた理由は「手軽さ」にあるといえます。老若男女問わず、誰でも、どこででもすぐにできる手軽さがラジオ体操の魅力です。
しかも、たったの3分! 正確には、ラジオ体操第1は3分11秒、少し難易度の上がる第2は3分30秒。まとまった時間がなかなか取れない現代人にはぴったりの身体活動ではないでしょうか?
自宅で行うなら着替える必要もないですし、雨が降っても大丈夫。道具を買い揃える必要もなくお金もかかりません。
たった3分と侮るなかれ。その短い時間に13種類もの運動が組み込まれているのです。ここからは、広く知られているラジオ体操第1を中心に見ていきます。

2.ラジオ体操第1の13種類の動きがすごい!

ラジオ体操第1の動きとその目的について下表にまとめてみました。

(参考:「NHKテレビ・ラジオ体操」日本放送出版協会)
(参考:「NHKテレビ・ラジオ体操」日本放送出版協会)

この表を見ても分かる通り、ラジオ体操はたった3分という短い時間の中で、全身をまんべんなく動かせるよう考えて作られているのです。
全国ラジオ体操連盟のホームページには、「毎日続けることで、加齢や生活の偏りなどが主な原因となる体のきしみを取り除き、人間本来がもっている機能をもとの状態に戻し、維持する効果があります」と記されています。

3.ラジオ体操の身体活動量がすごい!

続いて、身体活動量という視点でラジオ体操を見てみましょう。
一定の身体活動量を保つことは、生活習慣病を予防・改善し、健康の維持や介護予防に効果的です。
身体活動というのは、運動のみならず、家事や仕事、余暇も含まれるのですが、私たち現代人は、総じて身体活動不足です。職場では機械化・IT化が進み、家庭ではお掃除ロボットなど、家事の自動化も進んでいます。さらに、多忙や疲労により余暇の時間も十分に取れません。
厚生労働省が策定した「健康づくりのための身体活動基準2013」によると、1週間で計23エクササイズ以上の身体活動量が望ましいとされています。「エクササイズ」とは身体活動の強度「メッツ」に実施時間をかけた運動量のこと。
たとえば、普通に歩くと3メッツの強度の身体活動なので、毎日60分程度歩くことは健康に良い効果が期待できます。
ラジオ体操は、短い時間ながらも普通に歩くより強い活動量です(ラジオ体操第1は4メッツ、第2は4.5メッツ)。日頃の運動や家事などにプラスすることで効率的に身体活動量を保つことができます。

*メッツの値については、厚生労働省「運動基準・運動指針の改定に関する検討会報告書」(平成25年)より。

4.ラジオ体操の音楽伴奏がすごい!

長い間ラジオ体操から離れている人も、きっと大丈夫です。ラジオ体操の音楽が流れると、なぜか勝手に身体が動いてしまうはず。
私たち日本人は、物心ついた頃から学校や地域でラジオ体操(主にラジオ体操第1)を繰り返してきたため、身体が覚えてしまっているのです。
ちなみに、ラジオ体操第1の作曲者である服部正さん(1908-2008)は、当社で働いていたことがあるそうです。
このピアノ伴奏に合わせて体操するというスタイルにも、ラジオ体操のすごさが隠されているのです。
昨年、三重大学大学院医学系研究科の研究グループが、音楽伴奏のある運動は、認知症の予防・維持・改善に効果があるという研究結果を発表しました(米国医学誌『Journal of Alzheimer's Disease』2017年3月4日付)。
本研究で、音楽伴奏ありの体操を定期的に行ったグループは、音楽伴奏なしの体操を行ったグループに比べ、認知機能への効果が高いことが証明されました。音楽に合わせて体操をすることは、単に体操をするよりも複雑なため、効果が上がったと推測されています。
このことはピアノ伴奏に合わせて身体を動かすラジオ体操にも当てはまります。そして何より、音楽があると楽しい気分になりますよね。
手軽で楽しいから続けられる。続けるからこそ効果がある。大人になってラジオ体操から遠ざかっている人も、これを機にまた始めてはいかがでしょうか?
毎朝6時半のラジオ体操放送時間に行うも良し。スマホにラジオ体操をダウンロードして好きな場所で好きな時間に行うも良し。
なお、ラジオ体操の図解はNHKホームページからダウンロードできます。

バックナンバー

全てを表示閉じる