今年の夏は暑かったですね。皮脂や日焼け、冷房による冷えで、真夏の頭皮はダメージを受けています。9月に抜け毛が多いといわれているのは、これらダメージの影響。
9月4日は、9（く）と4（し）にかけてくしの日だったことをご存知でしょうか。今回は、くしの日にちなんで、頭皮についてのお話です。

【頭の皮膚と体の皮膚はどう違うの？】

頭も体も同じ皮膚で繋がっているはずなのに、洗浄剤が異なるのはどうしてか気になったことはありませんか？
頭の皮膚も体の皮膚も基本的には同じ。構造として、表面から表皮・真皮・皮下組織に分けられます。
ただ、頭皮は体の皮膚と比べて毛穴（皮脂腺）や汗腺の数が多く、皮脂や汗で汚れやすいという特徴があります。
よって、シャンプーの方がボディーソープよりも洗浄力が強いものが多いのですが、洗浄力が強すぎたり、洗いすぎたりすることは、必要な皮脂までも洗い流してしまい、乾燥を招く恐れがあるので気をつけましょう。
皮脂は、頭皮や髪を守り、髪に艶を出してくれるのです。

【頭皮も凝るってほんと？】

さて、みなさんは美容院で「頭皮が凝っていますね」と、いわれたことはありませんか？ 筆者はよくいわれるのですが、シャンプーや頭皮マッサージで凝りをほぐしてもらうとスッキリします。
実は、頭にも筋肉があり、その筋肉は、前頭筋、側頭筋、後頭筋の3エリアに分けることができます。注意すべきは、筋肉がない頭頂部エリア。ここは帽状腱膜（ぼうじょうけんまく）という筋膜に覆われていて、血行が悪くなりやすいエリアなのです。

肩や首と同じように、頭皮が凝る原因は血行不良。筋肉が緊張して硬くなると、血管が押されて血液の循環が悪くなり、乳酸などの疲労物質や老廃物が筋肉中にたまるため、凝りとなって現れるのです。

【頭皮が凝るとどうなるの？】

頭皮が血行不良の状態になると、血液に乗って運ばれてくるはずの栄養や酸素が毛根まで行き届かず、切れ毛、枝毛、抜け毛の原因となります。

また、頭皮の凝りは肩凝りや首凝りを引き起こすという悪循環を生みます。

ほかにも、頭皮の凝りは老け顔の原因にもなります。顔の皮膚も頭の皮膚もつながっているわけですから、頭皮が凝り固まっていると、額にシワができたり頰がたるんだりするのです。

【頭皮の凝りを改善するには？】

頭皮が凝る原因である血行不良は、ストレスや運動不足、食生活などの生活習慣の乱れによって引き起こされます。
また、目の疲れや肩凝り首凝り、冷えなども血行不良を引き起こします。
スマホやパソコンなど、目を使うことが多い現代人の頭皮は硬くなりやすいのです。
これらの原因を取り除くとともに、あわせて行いたいのが頭皮のマッサージ。
特に、筋肉のない頭頂部は日頃から意識的にケアする必要があります。
側頭部から頭頂部に向け、爪を立てないよう指の腹で優しくマッサージしてみましょう。
頭皮のセルフマッサージを習慣にするのは難しいと思っている方でも、簡単に続けることができるセルフケアがあります。それがくしによるブラッシング。くしは髪を整えるためだけの道具ではありません。

［くしの効果］

• ・頭皮や髪についたホコリや角質などの汚れを落とす
• ・頭皮をマッサージして血行を改善する
• ・頭皮の皮脂を毛先まで行き渡らせる

【頭皮マッサージに適したくしは？】

現代では、くしの材料といえば安価で加工しやすいプラスチックが主流となっていますが、この機会に「つげのくし」の魅力についてお伝えしたいと思います。日本では「つげのくし」が万葉集にも登場することから、古くから使われていることが伺われます。

また、つげのくしは、かの有名な童謡の中にも登場します。

「こぎつね」童謡
作詞：勝承夫、作曲：ドイツ曲
（1番の歌詞を抜粋）
こぎつねコンコン　やまのなか　やまのなか
くさのみつぶして　おけしょうしたり
もみじのかんざし　つげのくし

小狐が、紅葉をかんざし代わりに頭に飾ったり、つげの木をくし代わりに毛づくろいしたりする様子が目に浮かんできます。

このつげのくしの効果がすごい！ まずは材料であるつげの木の特徴から。
つげ（柘植、黄楊）の木は、成長が遅いために年輪の幅が狭く、きめ細かな点が特徴として挙げられます。また、丈夫でしなやかな点もくしの材料にはぴったりなのです。

次に、つげのくしの特徴について。

• ・木でできているため、髪を傷める原因となる静電気が起こりにくい。
• ・椿油が染み込ませてある伝統的製法のつげのくしだと、髪に艶を出すことができる。
• ・頭皮への当たりがしなやかなので、マッサージ効果が得られる。

いかがでしたか？
この秋、山の中の小狐と一緒に、つげのくしで頭皮の健康習慣はじめませんか？