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健康コラム

Vol.54

代謝が上がると運気も上がる

2018.12.01

「歳とともに代謝が落ちる」 とか「冬になると代謝が上がる」とか、日常の会話でも使われている「代謝」という言葉。実は、間違って使われていることが多いようです。まずは、「新陳代謝」と「基礎代謝」との違いを知り、それぞれのメカニズムを知ることで、美容や健康に役立てましょう。そして、代謝を上げて、運気も上げていきましょう!

1.代謝とは?

「代謝が上がる」と一口にいっても、実は「新陳代謝が上がる」のと「基礎代謝が上がる」のは別の話だということをご存知でしょうか?
まず、代謝について解説します。
私たちが口から取り入れた栄養素(糖質・脂質・たんぱく質)は、そのままでは体の成分やエネルギー源にはなりません。体の成分に合成されたり、エネルギーを産生するために分解されたりして、体内で利用できるよう変換され、不要なものは排せつされています。この一連のシステムが代謝と呼ばれています。
代謝には、新陳代謝(物質の合成と分解の側面)と基礎代謝(エネルギー出入力の側面)があり、2つを合わせて代謝とされています。

2.新陳代謝とは?

新陳代謝とは、新しい細胞が生まれて古い細胞が排出されるという、一連のサイクルを指します。
たとえば、美容の話で出てくる「ターンオーバー」というのは、肌の新陳代謝の話。簡単にいうと、古い皮膚が剥がれ落ち、新しい皮膚に生まれ変わることです。
もう少し詳しくお話しましょう。肌というのは、4層からなる表皮という皮膚の一部。この4層の一番内側にある基底層で絶えず生まれる細胞が徐々に上層へ押し上げられ、一番外側にある角質層に達した後は、アカとなって自然とはがれ落ちます。この肌の生まれ変わりの流れがターンオーバーです。
ターンオーバーの周期は約28日ですが、加齢に伴い、細胞が生まれる力や、はがれ落ちる力が低下します。加えて、冬は乾燥と血行不良により、ターンオーバーが低下しやすい季節といえます。
ターンオーバーが低下する(遅くなる)ことで、紫外線ダメージによって生じたメラニン色素が排出されずシミやイボの原因になります。逆に、ターンオーバーが早すぎても肌荒れの原因になります。
ちなみに、新陳代謝は肌だけではありません。毛髪や赤血球・白血球、肝臓の細胞も新しく生まれ変わっています。

3.基礎代謝とは?

一方で、呼吸や体温維持、臓器の働きといった生命活動を維持するために必要なエネルギー消費のことを、基礎代謝といいます。何もしないでただじっとしていたとしても、呼吸をし、体温を維持し、胃腸や筋肉などが働いている限り消費するエネルギーです。
基礎代謝量は、早朝空腹時に快適な室内において安静仰臥位(上向きに寝た状態)で測定されます。

【表:基礎代謝量の目安】(出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」2015年版)

この表を見てもわかる通り、基礎代謝のピークは10代。あとは加齢とともに低下します。また、体重が重く、筋肉量も多い人の方が基礎代謝が高くなることから、一般的に男性の方が女性より基礎代謝が高いです。
また、季節によっても変化します。夏は、基礎代謝を下げて体温を下げようとし、冬は、基礎代謝を上げて体温を上げようとします。
ちなみに、1日のエネルギー消費量の大部分は、何もせずとも消費されるこの基礎代謝。基礎代謝の中で最もエネルギー消費が多いのは、ズバリ筋肉。筋肉を鍛えて筋肉量を増やせば基礎代謝量が増えます。基礎代謝に次いでエネルギー消費が多いのは、身体活動によるもので、20〜40%ほど(出典:「内科学書vol.5内分泌疾患、代謝・栄養疾患」改訂第7飯)。
エネルギー消費の多い筋肉の量を増やせば、基礎代謝が上がり、効率良くダイエットができます。基礎代謝が高い冬は、運動効果はさらに高まるでしょう。

4.新陳代謝と基礎代謝との関係

 これから迎える冬は、新陳代謝は下がり、基礎代謝は上がる季節。それは、末梢血管の血流低下が原因。前述したように、冬の体は基礎代謝を上げて体温を維持しようとするため、皮膚の表面の血流を制限して体温を奪われないようにしています。よって、皮膚の表面まで十分な栄養が行き渡らず、新陳代謝が下がるのです。
新陳代謝を上げるために有効なのが、適度な運動。全身に栄養を運んでくれる血液や、老廃物を回収するリンパの流れが良くなります。同時に、運動は基礎代謝も促進してくれます。
代謝が上がると、美肌やダイエット効果にもつながり、体の内側からも外側からも美しく健康でいられます。まさしく、体のエネルギーの流れが整う感じです。運気もエネルギーの流れです。
この年末から代謝を上げて、新年は運気を上げていきましょう!

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