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健康コラム

Vol.63

モノを減らすと健康になれる?!

2019.09.01

モノを所有することが豊かだとされた時代は終わりました。本当の豊かさを求める人たちは、これまで手に入れてきたモノを手放しつつあります。その例が「断捨離」(要らないモノを断ち、捨て、モノへの執着から離れること)や「ミニマリスト」(必要最小限のモノだけで暮らす人のこと)です。
モノを減らすことで増える豊かさがあります。時間、お金、そして健康。今回は、モノを減らすことで期待される健康効果についてお伝えします。

■モノを減らすとアレルギー疾患を予防できる?!

・秋はダニのアレルゲンが増える時期
家の中にモノが多いとホコリがたまる面積が増えるばかりか、そのホコリを掃除しにくくなります。ホコリは、見た目が汚いだけではなく、人間の体に悪影響を及ぼします。

ある会社の調査で、ホコリ1gの中にはダニが約2,000匹も潜んでいるということが判明しました(株式会社ダスキンHPより)。ダニはアレルゲン(アレルギー疾患の原因物質)になりやすく、ダニの死骸やフンもアレルゲンになります。ダニを原因とするアレルギー疾患には、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎などがあります。

ダニは、梅雨時から夏、秋にかけてよく繁殖し、繁殖時期を過ぎた10〜11月は、ダニのフンや死骸が蓄積していると考えられる時期です(大久保智子ら著「東京都内の住宅におけるダニアレルゲン調査」東京健安研セ年報、2018より)。
ダニが身体に悪さをするこれからの季節に、家庭でできることを考えてみましょう。

・モノを減らしてダニのアレルゲンを減らす!
ダニは室内塵(綿埃、砂埃、食べこぼし、フケ・アカなど)をエサとしているので、ダニ対策としては室内の掃除が最も重要となります。

まず、掃除は「高いところから低いところへ」が鉄則。照明器具や家具、壁などのホコリを落としてから最後に床や畳の掃除です。このときも、家具の上に色々とモノを置いていたり、壁に洋服などをかけていたりすると、掃除がしにくくなります。

ホコリが最も多いのは床や畳です。床や畳の掃除機かけは、1回20秒/㎡の時間をかけて毎日行うことが望ましいとされています(日本アレルギー学会発行「ダニアレルギーにおけるアレルゲン免疫療法の手引き(改訂版)」、2018年より)。床の上に色々とモノが置いてあると、掃除機を毎日こまめにかけることが難しくなります。

東京都福祉保健局の東京都アレルギー情報navi.に、ダニのアレルゲンを減らすための具体的対策について書かれていますので参考にしてください。ここで挙げられている「整理整頓」は、要るものと要らないものとを分け、要らないものを捨てるという意味です。

<ダニのアレルゲンを減らすための具体的対策> (東京都福祉保健局の東京都アレルギー情報navi.より)

■モノを減らすと脳の疲れも減る?!

・脳が疲れる理由とは?
人間は、視覚(見る)、聴覚(聴く)、触覚(触れる)、味覚(味わう)、嗅覚(嗅ぐ)という五感を通して情報を脳に伝達し、処理するのですが、情報量が多すぎると、脳は疲れてしまいます。週末の買い物やテーマパークなどの人混みへ出かけると、身体だけでなく脳も疲れます。それは、目や耳を通して多くの情報が入ってくるため、脳の情報処理能力がキャパシティを超えてしまうからです。
五感の中でも、視覚からの情報量は最も多く、「視覚は人間の情報入力の80%」という説が昔からあります。

・モノを減らして脳の疲れを減らそう!
現代人は、機械化や効率化によって肉体労働は減ってきているのに、疲れている人がとても多いですね。それは、脳の疲れからきているのかもしれません。
さらに、疲れを癒すことができるはずの家の中が色々なモノで溢れているとしたらどうでしょう? ソファーでくつろいでいても、部屋の中のごちゃごちゃしたモノが視界に入り、脳の疲れが溜まったままになります。

脳の疲れを溜めたまま放っておくと、脳の前頭葉の血流が悪くなり、うつ病や認知症の引き金になることもあります。脳が疲れたと感じたら、しばらく目を閉じて、視覚から入る情報をシャットアウトしてみてください。

でも、一番は部屋の中が整理整頓されていることです。不要なものを処分して、視界に映るモノの量を少なくし、家の中では脳を休めてあげましょう。整理整頓された部屋は掃除もしやすく、結果、アレルゲンを減らすことにも繋がります。

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