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健康コラム

Vol.69

健康を心がけた外食とは

2020.03.01

世界的に見て長生きだと言われている日本人ですが、そんな私たちの健康長寿を脅かし、国民医療費を圧迫しているのが「生活習慣病」です。生活習慣病とは、「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」のことを言います(厚生労働省スマート・ライフ・プロジェクト ホームページより)。外食は、便利な反面、食習慣を乱しやすいため、適度にコントロールする必要があります。

■外食はどうして健康の敵なのか?〜外食の傾向について〜

外食とは、食堂やレストランなどの飲食店やファストフード店の店内での食事、喫茶店・居酒屋・事業所給食などでの食事のことを指します(厚生労働省ホームページe-ヘルスネット「外食の選び方」より)。

厚生労働省「平成27年 国民健康・栄養調査結果の概要」によると、週1回以上外食を利用している人の割合は、男性で約40%、女性で約25%という結果でした。年代別で見ると、20〜30歳代がもっとも多く外食を利用しているようです。

昼は家で作った弁当を持参し、夜は家で作って食べることができればよいのですが、なかなかそうもいかないようです。一人暮らしで作るのが面倒だったり、夫婦共働きで忙しかったり、仕事上の付き合いがあったり……。現代人は、外食に助けられていることが多いとも言えます。

そんなありがたい存在の外食が、どうして健康によくないと思われがちなのでしょうか? 次に挙げるような「外食の傾向」がその理由ではないかと考えます。

  • ①味付けが濃い(塩分が多い)ことが多い
  • ②高カロリーになりがち
  • ③糖質が多くなりがち
  • ④野菜不足になりがち
  • ⑤どんな食材が使われているかなど情報不足なことが多い

■外食を生活にうまく取り入れるためにできること〜外食の対策について〜

前述した傾向に対応した対策を以下に挙げます。

①塩分対策
日本高血圧学会は、高血圧予防のためにも1日の塩分摂取量を6グラム未満としています。塩分の摂りすぎは、高血圧だけでなく、脳卒中や心臓病、胃がんなどの原因にもなりやすいので要注意です。たとえば、塩分が多いソースやドレッシングを控えたり、スープや汁を残したりするようにしましょう。
ちなみに、ラーメン1杯(スープ込み)に含まれる塩分量は約6グラム。そのうちスープに含まれる塩分量は3グラム以上を占めていると言われています。

②カロリー対策
1日に必要な摂取カロリーは、体型や年齢、日常生活での活動量によって異なります。たとえば、活動量の少ない成人女性の場合は、1,400〜2,000kcal、男性は2,200±200kcal程度が目安です(農林水産省ホームページ「実践食育ナビ」参照)。カロリーの摂りすぎは肥満や糖尿病の原因にもなるので、まずは、自分の適量を知ることが大事です。
そこで役立つのが厚生労働省と農林水産省が策定した「食事バランスガイド」です。一日に「何を」「どれだけ」食べたらよいのかが一目でわかりますので、ぜひチェックしてみてください。

食事バランスガイド
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou-syokuji.html

③糖質対策
糖質の摂りすぎは、糖尿病や歯周病などの原因となります。たとえば、「ラーメンとチャーハン」「うどんとおにぎり」などといったように、主食を重ねて食べると、糖質を摂りすぎてしまいます。
主食を1つにするか、量を少なめにするなどして気をつけましょう。

④野菜不足対策
バランスの良い食事とは、主食+主菜+副菜が組み合わさったもので、いわゆる定食のようなものをイメージするとよいでしょう。
主食は、米・パン・めん類など穀類のことで、主菜は、魚・肉・大豆製品・卵などのことです。外食では主食+主菜だけの組み合わせになっているメニューが多く、副菜が足りません。副菜は、主に野菜をはじめ、きのこ、いも、豆類、海藻などを使った料理のことで、主食や主菜で不足するビタミン・ミネラル・食物繊維の供給源なのです。これらの栄養が不足すると、がんや骨粗しょう症、貧血などの生活習慣病につながります。
外食のとき、副菜が足りないと感じたら、サイドメニューの野菜を追加しましょう。②で紹介した食事バランスガイドも活用してください。

⑤情報不足対策
料理人とコミュニケーションが取れるお店はおすすめです。
お店の環境や料理人の人柄にもよりますが、何度か通ってお店の人と仲良くなれば、食材などの情報も得られるかもしれないですし、ほかにも、量を少なめにしてほしいとか、ドレッシングを控えめにしてほしいといったオーダーがしやすいでしょう。

以上、外食の傾向と対策についてみてきましたが、これらの対策が取りやすいように助けてくれるお店(栄養成分表示店)がじわじわと増えてきています。

■栄養成分表示店を知っていますか?

昨今、私たちの外食の機会が増える一方で、生活習慣病など食習慣が影響して引き起こされる病気も増え、外食料理に含まれる栄養成分についての情報の需要が高まっています。このような背景から、飲食店による栄養成分表示が広がりつつあります。

外食の栄養成分表示の例(大阪市ホームページより)

表示する成分や表示方法などは統一されていませんが、表示の要望が多いエネルギー(カロリー)や食塩相当量などの情報が、表示店のメニューやサンプルケース、ホームページなどに記載されます。
店頭に「栄養成分表示店」というプレートやのぼりを見つけたら、そのお店は私たちの健康づくりを応援してくれています。
健康を心がけながら、外食を楽しみましょう!

(執筆者:萩原有紀)

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