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健康コラム

Vol.74

夏野菜パワーで暑い夏を元気に過ごそう!

2020.08.01

8月31日は「831(ヤサイ)」の日です。
生活習慣や食生活の変化などによる野菜不足が指摘されています。
そもそも野菜は本当に必要なの?
野菜の持つパワー、なかでも旬の野菜のパワーを知れば、今日からあなたの食卓が変わること間違いなし!

■どうして野菜を食べないといけないの?

子どもにこのように訊かれたらどのように答えますか?
「健康に良いから」「栄養バランスが良いから」など何となくは分かっていてもしっかりとした回答に困る方も、少なくないのではないでしょうか。

野菜には、私たち人間が生きていく上で必要な栄養素が含まれています。
食べ物に含まれる栄養素は100種類以上あるのですが、そのうち、主に、体を作ったり動かしたりするためのエネルギー源となるたんぱく質、脂質、炭水化物を「三大栄養素」と呼び、ここに体の機能調整をしてくれるビタミンとミネラルを加えて「五大栄養素」と呼びます。さらに食物繊維を加えたものを「六大栄養素」と呼びます。

ビタミンやミネラルは、三大栄養素の代謝を助けるという非常に重要な働きをしています。野菜には、他の食物からは摂取しにくいビタミンやミネラル、食物繊維が豊富に含まれています。だから野菜を食べないといけないのです。

厚生労働省の生活習慣病予防のための健康情報サイト、e–ヘルスネット「野菜、食べていますか?」では、野菜を多く食べることについて、以下のようなメリットを挙げています。

  • ・野菜は、ビタミンやミネラル、食物繊維を多く含んでいる。
  • ・多くの研究で、野菜を多く食べる人は脳卒中や心臓病、ある種のがんにかかる確率が低いという結果が出ている。
  • ・野菜に含まれるビタミンは、ごはんなどに含まれる炭水化物が体内でエネルギーに変わる手助けをしてくれる。
  • ・摂取した栄養素が体内で利用されるためには、ビタミン類(特にB群)を不足なくとることが必要。
  • ・ミネラルは、身体機能の維持と調整に不可欠で、特に野菜に多く含まれるカリウムは、余分なナトリウム(食塩)を体外に排泄するのを手助けしてくれ、高血圧の予防にもなる。
  • ・低脂肪、低エネルギーでありながら「かさ」が多いことから、満腹感を与えてくれる。※1

ここまででも野菜の持つパワーを感じることができますが、さらに見ていきましょう。

■トマトが赤くなると医者が青くなる

これは西洋のことわざで、トマトが真っ赤に熟れて食べ頃(旬)を迎えると、人々はトマトを食べて元気になるので、医者は仕事が減り儲からなくなり、真っ青になるという意味です。

昔は、野菜はそれぞれの旬の時期にしか食卓にのぼらなかったのですが、栽培技術や輸送技術の進歩によって年間を通じて食べることができるようになりました。しかし、健康のためにも、栄養価が高い旬の時期の野菜を積極的に取り入れたいものです。

野菜サラダに年中トマトが添えられている昨今、「旬の野菜」を知らない子どもたちが増えています。旬の野菜とは、私たちが住んでいるそれぞれの地域の自然の中で、最も適した時期に太陽と大地の恵みを受け育ったものです。新鮮で、栄養価が充実していて、出盛り期なので値段も手頃なのが魅力です。※2

諸説ありますが、野菜によって、ビタミン・ミネラル含有量の季節変動があるということが、女子栄養大学生物有機化学研究室の調査研究によって証明されています。

参考までに、栄養価(特に季節変動が大きかったビタミンCとカロテンを抜粋)の最大月を以下にまとめます。

辻村卓編著「野菜のビタミンとミネラル」女子栄養大学出版部、2003、100〜145頁より

例えば、トマトは6月から9月に旬があり、この期間にビタミンCやカロテンが高い値(7月が最高値)を示すことがわかりました。

ビタミンCはメラニン色素の沈着を防ぎ、コラーゲンの合成を助けるため、紫外線ダメージを受けた肌をいたわってくれます。また、カロテンは体内でビタミンAに変わって肌や粘膜を丈夫にし、感染症に対する抵抗力を高めてくれます。

ちなみに、栄養豊富な旬の時期に冷凍しておけば、年間を通じて栄養成分の高い野菜を利用できます。※3

■夏の風物詩は夏野菜の優等生だった!

旬の野菜は、不思議とその季節に必要となる栄養素が含まれています。例えば、上の表を見てもわかるように、トマトやきゅうり、ピーマンなどのいわゆる夏野菜に多く含まれているビタミンCは夏の紫外線対策になり、カロテンは夏風邪予防になります。

他にも、多くの夏野菜には体を冷やす効果があります。その理由として、夏野菜には水分とカリウム(ミネラルの一種)が多く含まれていることが挙げられます。カリウムには利尿作用があります。水分と一緒に体内の熱を排出する働きがあり、むくみの改善にもつながります。

夏の風物詩のすいかは、ウリ科の野菜です。その果肉の90%が水分ですが、残りの10%に栄養素のカロテンやビタミンC、ミネラルが多く含まれています。

また、すいかと並ぶ夏の風物詩といえば、えだ豆です。えだ豆は、大豆の未熟な種子を味わうものであり、大豆と同様、良質なタンパク質を含み、ビタミンB1や葉酸、カリウム、カルシウム、鉄、食物繊維などなど、とにかく栄養豊富!大豆には含まれないビタミンCもえだ豆には含まれています。また、えだ豆のタンパク質に含まれる必須アミノ酸の一種メチオニンには、ビタミンB1やビタミンCとともに肝臓のアルコール分解を助ける働きがあるといわれています。「ビールのお供」というのも理にかなっていますね。

旬の野菜は、不思議とその季節に必要となる栄養素が含まれています。例えば、上の表を見てもわかるように、トマトやきゅうり、ピーマンなどのいわゆる夏野菜に多く含まれているビタミンCは夏の紫外線対策になり、カロテンは夏風邪予防になります。

いかがでしたか?
今日から夏野菜を積極的に、意識的に摂り入れてみてください。きゅうりやトマトなど加熱せず手軽に摂れる野菜が多いのも夏野菜の魅力です。文中で紹介しきれませんでしたが、オクラやなす、とうもろこしなど、夏のバーベキューにぴったりな野菜も夏野菜です。

夏野菜パワーで暑い夏を元気にお過ごしください!

[参考]

【参考図書】

※3 辻村卓編著「野菜のビタミンとミネラル」女子栄養大学出版部、2003、78頁より

吉田企世子監修「春夏秋冬おいしいクスリ 旬の野菜の栄養辞典(最新版)」株式会社エクスナレッジ、2016

板木利隆監修「からだにおいしい野菜の便利帳」高橋書店、2009

(執筆者:萩原有紀)

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