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健康コラム

Vol.77

冬支度をしよう

2020.11.01

いよいよ11月。秋も終わりです。まだ衣食住の環境が整っていなかった時代は、厳しい冬を迎えるための準備として「冬支度」をしていました。この冬支度には現代にも活かせる先人の知恵が詰まっています。簡単にできるものをいくつかご紹介します。

(1)「衣」の冬支度:衣替え

■虫干し

日本では一般的に冬服への衣替えは10月とされていますが、10月はまだ夏日もあるため、本格的な衣替えシーズンは11月になってからが多いでしょう。

しばらくは使わない夏の衣類や寝具などを収納する前に「虫干し」というひと手間を加えましょう。

虫干しとは、衣類などを盛夏のよく晴れた日に日光に干し、風に当てるという習慣で、江戸時代には「土用干し」とも呼ばれ、夏の年中行事のひとつとされていました。虫干しの目的は防虫と乾燥。夏に発生しやすい衣類などを食べる虫を退治し、湿気を取り除くのですが、空気が乾燥している秋にもう一度衣類などを干すと効能がさらに大きいとされています。

秋雨前線と台風による大雨が過ぎ去った11月のよく晴れた日に(雨の翌日は避けること)夏物の衣類や寝具を干しましょう。ただし、生地を傷めてしまう可能性のある直射日光は避け、陰干しにしましょう。
(参考論文:相川佳予子著「被服の保存・防虫に関する歴史的考察」1980年)

■断捨離

冬物を出すタイミングでの断捨離もおすすめです。不要な冬物をフリマアプリやリサイクルショップなどで売るとちょっとしたお小遣い稼ぎもできます。
複数のリサイクルショップのサイト上には、冬物は10〜12月のうちに売ると高値で売れるというデータがあります。

服の断捨離がなかなかできないという方のために、断捨離するとよい服の基準について下表にまとめましたので参考にしてください。(参考書籍:やましたひでこ著「見てわかる、断捨離[決定版]」マガジンハウス、2017年)

(参考書籍:やましたひでこ著「見てわかる、断捨離[決定版]」マガジンハウス、2017年)

(2)「食」の冬支度:保存食づくり

■保存食

スーパーや冷蔵庫がなかった昔は、冬の間に食べるものを確保するため、保存食づくりをしていました。食品を長く保存する技術としては、①干す②漬けるというのが代表的です。

①干す
食べ物の水分を抜くことで、微生物が繁殖しにくく、旨みや栄養も増します。
例えば、秋の味覚である柿やさつまいもを干し柿や干し芋にして保存しておくことで冬の健康おやつのストックが完成です。

②漬ける
塩や酢に漬けることで、微生物が繁殖しにくくなります。また、オイルに漬けると空気が遮断され、酸化を防ぎます。
例えば、大根を干して漬ける「たくあん」。まさに11月から旬の時期を迎える大根には、風邪予防にもなるビタミンCが含まれています。このビタミンCは、熱に弱いため加熱調理することで損なわれます。その点、漬物は加熱しないのでビタミンCをそのままいただけるという利点があります。

現代はスーパーに行ったりネットで注文すれば一年中いろいろな食材が手に入りますが、忙しい共働き家庭の常備菜になったり、災害時の保存食になったりと、いまでも保存食は大きな存在意義があります。
また、栄養価が高く値段が安い旬の時期の食材を保存するという方法は、健康面でも経済面でもかしこいですね。

(3)「住」の冬支度:暖房器具の準備

■暖房器具のお手入れ

気温が日に日に下がり、ストーブやファンヒーターなどの暖房器具が活躍する季節がやってきましたが、収納から出してすぐ使い始めるのは危険です。
暖房器具を収納していた間に埃や汚れが溜まっていたり、部品が劣化したりしていることがあります。これらはいずれも事故や火災の原因になり得る危ない状況です。
暖房器具を久しぶりに使うときは、埃や汚れを取り除き、部品の劣化などがないか十分チェックしてください!
(参考:政府広報オンライン

■湯たんぽのすすめ

近年、エコで経済的な暖房である湯たんぽが見直され、さまざまな素材や機能の湯たんぽが販売されています。充電式のものや電子レンジ対応のものなども登場していますが、昔ながらの沸かしたお湯を入れるタイプも根強い人気です。

なかでもレトロな雰囲気の金属製のものは直火にかけることができ、熱伝導率がよいのですぐに温まり、持続力も高めです。一方、プラスチックやゴム製のものは金属製特有の錆びもなくお手入れが簡単です。

これらのお湯を入れるタイプの湯たんぽを使って就寝した翌朝に、湯たんぽのお湯を洗面器に移し顔を洗うとちょうどよい温かさです。
ほかにも、湯たんぽは、空気が乾燥しない、火事の心配がない、などメリットが多く挙げられます。
冬の災害時に暖を取れることから、防災グッズとしても有益ですので、冬支度のリストにぜひ湯たんぽを付け加えてみてください。

いかがでしたでしょうか?
季節ごとの支度を通して、四季を感じられる心のゆとりこそが、豊かで健康的な暮らしにつながるのかもしれません。

(執筆者:萩原有紀)

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