免疫力を上げる生活習慣
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腸内を健康に保つことが大切。納豆やきのこ類がNK細胞を活性化
免疫力を上げるために、食生活の面ではどんなことを心がけたらいいのでしょうか。実は、長寿の人にはさまざまな食材をバランスよく食べている人が多いということが、各種データからわかっています。栄養バランスのよい食事をとることが免疫力を高め、長寿につながっている可能性があります。
健康・体力づくり事業財団が100歳以上の高齢者を対象に実施し、 2002年に公表した「長寿大国ニッポンにおける百寿者のくらし」によると、男女とも「3食きちんと食べる」人の割合が約9割を占め、主食を毎食食べる人も約9割に上りました。さらに食材別に「ほとんど毎日食べる」と答えた人は、肉が男性約23%、女性約27%、魚介が男性約50%、女性約48%、乳・乳品が男性約68%、女性約65%、野菜が男性約88%、女性約90%など、動物性たんぱく質も含め、極めてバランスのよい食事をしています。
肉は体によくないと思われているむきもありますが、よくないのは肉に偏り過ぎた食生活。高齢期の人にとって肉は活力の源になり、魚介や大豆など他のたんぱく源とのバランス、主食・野菜・果物など他の栄養素とのバランスを考慮しながら食べてほしいものです。

さて、「バランスのいい食生活」を前提としたうえで、多様な食材のなかでとくに免疫力アップにつながる食材にはどんなものがあるのでしょうか。最初に挙げたいのが納豆ときのこ類。前回ご紹介したNK細胞の活性化に有効と考えられています。
納豆は活きたまま大腸に届き、抗菌作用にすぐれています。ナットウキナーゼという成分は血栓を溶かして血液をサラサラにし、脳梗塞などの予防にも有効。また、きのこ類にはNK細胞を活性化するβグルカンが含まれており、さらに一部のきのこのβグルカンには抗がん作用があるとの報告もあり、研究が進められています。
一方、人間の免疫システムにとって大切な役割を果たしている体内の器官が腸。腸内には体内の免疫細胞の約7割が集まっているとされ、腸内の環境を整え、健康に保つことは重要です。
人の腸内には約100兆個にもおよぶ細菌が生息しており、それらは善玉菌と悪玉菌、そのどちらでもない中間の菌の3つに大別されます。善玉菌は消化・吸収を助けて腸内の働きを整え、また悪玉菌の活動を抑えて食中毒などの病気を防ぐ働きが知られています。
善玉菌の代表格が乳酸菌やビフィズス菌。ヨーグルトや乳酸菌飲料、キムチ、ぬか漬け、納豆などに含まれています。