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健康コラム

Vol.92

40歳以上の人は必ず年1回の検診を受診しよう 命を守る大腸がん検診のすすめ

2022.02.01

当コラムVol.90でもご紹介した通り、大腸がんは死亡数が多いがんですが、一方で早期に発見すれば治りやすいがんです。5年相対生存率は、早期がんのステージⅠ期(がんが筋肉の層にとどまっている)で94.4%、Ⅱ期(筋肉の層を超えて周囲に広がっている)でも89.0%※と高い数値を誇っています。

命を守るためには早期発見が何より重要ですが、早期の大腸がんではほとんど自覚症状はありません。血便や下血、急な体重減少などの症状の多くは進行してから現れるからです。

このため、早期発見の最大の武器となるのは定期的ながん検診の受診です。国は科学的な根拠に基づいて効果のある5つのがん検診について受診を推奨しており、大腸がん検診もそのなかのひとつ。40歳以上を対象に毎年1回の検診を受けるよう勧めています。

対象の人はお住まいの市区町村で受診することが可能。市区町村のホームページや担当窓口で受診の方法を確認して、申し込みや受診の予約をしてください。検査項目は問診と検便による便潜血検査(2日法)。郵送、もしくは医療機関へ取りに行くなどして検査キットを入手し、案内に従って便を採取して指定の医療機関などに提出します。検査キットに問診票が同封されていることもあります。

大腸がんの主な治療法

費用は自治体によって異なりますが、公費負担により無料や低料金で受けられる自治体が多いようです。また、勤めている職場や健康保険組合などで受診できる場合もあります。

実は大腸がん検診の受診率は男性47.8%、女性40.9%(厚生労働省「2019年国民生活基礎調査」)と過半数にも届いていません。さらに新型コロナウイルスの感染拡大に伴う検診の「受診控え」も報じられています。新型コロナウイルス対策はしっかり施したうえで、毎年必ず受診してほしいと思います。

さて、検診で陰性だった場合はひとまず安心ですが、陽性だった人は医療機関で精密検査を受けることになります。精密検査の第1選択肢は全大腸内視鏡検査です。先端にカメラがついた細い管(内視鏡)を肛門から挿入し、大腸の全部位を内側から確認してがんの有無を確認します。一方、内視鏡の挿入が困難と医師が判断した場合などは肛門から炭酸ガスを入れて大腸を膨らませてCTで撮影する大腸CT検査などの方法が採られます。

繰り返しになりますが、自分の命を守るため、40歳以上の方は確実に大腸がん検診を受けてほしいと思います。

  • 国立がん研究センターがん情報サービスの「院内がん登録生存率集計結果閲覧システム」による「2012-2013年5年生存率」。
福長 洋介

監修/福長 洋介

がん研有明病院消化器センター長・大腸外科部長。大阪市立大学医学部を卒業、同市立総合医療センターなどを経て現職。近著に『大腸がん』(主婦の友社)。

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