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健康コラム

Vol.100

帯状疱疹 早期の治療開始で痛み緩和と後遺症予防

2022.10.01

痛みが長期化する可能性もある後遺症

帯状疱疹の主症状は、体の片側に起きることが多い痛みと皮膚の疱疹(水膨れを伴う皮膚症状)です。多くの場合、痛みが皮膚症状に先行して発症します。痛みの感じ方は人によって異なるようで、「ピリピリ」、「チクチク」、「ズキンズキン」、「焼けつくような」、「突き刺すような」などとさまざまな言葉で表現され、なかには夜も眠れないほどの耐えがたい痛みに見舞われる患者もいるようです。

このほか、皮膚の感覚が過敏になったり、逆に鈍くなったりする知覚症状が現れることもあります。

一方の疱疹は一般に痛みが現れてから数日~1週間程度経ってから発症することが多いのですが、痛みとほぼ同時に起きることもあります。痛みが起きるのとほぼ同じ場所が赤みを帯びて盛り上がり、その後小さな水膨れになります。帯状疱疹と呼ばれるのは、水膨れが帯状に集まって疱疹を形成するためです。

帯状疱疹の症状・後遺症

さて、この水膨れはしばらくするとかさぶたになって乾き、通常2~3週間で自然に治ります。それに合わせて痛みも消えていきますが、なかには皮膚症状が治まった後も痛みが続くケースがあり、これが帯状疱疹後神経痛(PHN)と呼ばれる代表的な後遺症です。数か月から場合によっては数年続くこともあり、60歳以上の人や皮膚症状が重かった人に多いとされます。軽く皮膚に触れただけで痛みを感じる「アロディニア」と呼ばれる症状が出るケースもあるようです。

帯状疱疹を発症してからしばらくの痛み(急性期の痛み)と後遺症の痛みは性質の異なる痛みであることがわかっていますが、重なり合って起きるため、どこからが後遺症の痛みかを判別するのは困難です。

こうした深刻な後遺症を引き起こす可能性もある帯状疱疹は一刻も早い診察と治療開始が何よりも重要。抗ウイルス薬や消炎鎮痛薬などによる治療で、急性期の痛みをやわらげるとともに、後遺症を予防することも期待できるからです。

体の片側にはっきりとした発疹や水膨れが出る場合は、帯状疱疹だとわかりやすいのですが、前述のとおり初期には痛みだけが数日続くこともあり、他の病気との判別が難しいケースが多いのが実情です。体の片側だけに痛みが起きている場合には帯状疱疹の可能性があることを覚えておいてほしいと思います。

渡邉 大輔

監修/渡邉 大輔

愛知医科大学病院皮膚科部長(皮膚科学講座教授)。皮膚ヘルペスウイルス感染症(帯状疱疹・単純ヘルペス)に詳しい。

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