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健康コラム

Vol.101

帯状疱疹 50歳以上の人はワクチン接種の検討を

2022.11.01

新タイプのワクチンは高額だが予防効果は大

生涯のうちに3人に1人程度が発症するとされている帯状疱疹。前回ご紹介したような深刻な後遺症(帯状疱疹後神経痛)が残るリスクもあるので、なるべくなら避けたい病気です。そのためにおすすめしたいのが予防ワクチンの接種。2種類のワクチンがあり、どちらも発症率が高く重症化しやすい50歳以上の人への接種が推奨されています。ただし、接種費用は全額自己負担です。

このうち、生ワクチン(水痘ワクチン)は水ぼうそう(水痘)予防のため乳幼児に接種されているのと同じもので、2016年に帯状疱疹にも適用が拡大されました。毒性を弱めたウイルスを皮下注射で体内に注入して免疫力を高めるもので、接種回数は1回、費用は8000円前後で発症予防効果は約50%です。水ぼうそうにかかっていない人の場合は水ぼうそうの発症予防効果もあります。ただし、免疫機能が低下している人などは接種を受けられません。

帯状疱疹の2種類のワクチン

一方、もうひとつの不活化ワクチンは2020年に登場した新しいタイプで、ウイルスを無毒化して感染力を失わせたものです。こちらは筋肉注射により、2か月間隔で2回接種する必要があります。費用は2回で4万~5万円程度と高額ですが、50歳以上の人の発症予防効果が約97%と、生ワクチンより高い確率で発症を防ぐことができます。

50歳以上の人、とりわけ基礎疾患のある人は前向きに接種を検討してほしいと思います。どちらのワクチンを打つかは主治医とも相談し、費用と効果、自分の健康状態などを総合的に勘案して決めるのがよいでしょう。なお、愛知県名古屋市のように接種費用を助成している自治体のほか、企業の健康保険組合にも助成金を出しているケースがあるので、お住まいの自治体やお勤め先の健保組合に制度がないか、調べてみましょう。

最後によく受ける質問です。帯状疱疹は他の人にうつる病気でしょうか。答えは、水ぼうそうにかかったことがある人に帯状疱疹としてうつることはありません。水ぼうそうにかかった人はウイルスに対する免疫があるからです。ただし、水ぼうそうにかかったことがなく、水ぼうそうワクチンも接種していない人に水ぼうそうとしてうつる可能性はあります。とくに妊婦が水ぼうそうにかかると胎児に影響が出るおそれがあるので、注意が必要です。

渡邉 大輔

監修/渡邉 大輔

愛知医科大学病院皮膚科部長(皮膚科学講座教授)。皮膚ヘルペスウイルス感染症(帯状疱疹・単純ヘルペス)に詳しい。

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