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健康コラム

Vol.114

生活の工夫でアレルギー性鼻炎を予防

2023.12.01

花粉やダニなどの原因別に予防策を

風邪をはじめとしたさまざまな原因により、鼻の粘膜が炎症を起こす鼻炎。なかでもアレルギー性鼻炎は完治が難しく、悩まされている人が多い病気です。

アレルギー性鼻炎は、原因物質(抗原)によって、季節性のもの(いわゆる花粉症)とダニなどを原因とする通年性のものに大別されます。花粉症の原因は、春先に多く飛散するスギ花粉が患者数がもっとも多く、よく知られていますが、ほかにも春に多いヒノキ、春から初秋までの長期間飛散するイネ科のカモガヤ、晩夏から秋にかけて多いキク科のブタクサやヨモギなど多くの花粉があります。

一方、通年性アレルギー性鼻炎は、ダニのほか、ハウスダスト、犬や猫などのペットの毛、ガやゴキブリなどの昆虫も原因になります。

日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会が主体となって調査した「鼻アレルギーの全国疫学調査2019」によると、アレルギー性鼻炎の有病率は49.2%で、2008年に比べて10ポイント近く増加。ほぼ2人に1人が発症していることがわかりました。とりわけ花粉症の有病率が42.5%と高く、通年性(24.5%)の約1.7倍に上っています。

症状としては、花粉症、通年性ともにくしゃみ・鼻水・鼻詰まりが主な症状で、花粉症では加えて目のかゆみや充血、のどや皮膚のかゆみなどが強く出ることもあります。いずれも抗原が鼻や眼の粘膜や皮膚に付着することで症状を起こすため、接触する抗原を減らす工夫をすることにより、予防や症状の軽減を図ることが可能です。

アレルギー性鼻炎の予防策

花粉症の場合は、花粉情報に気を配り、花粉の飛散が多い日はなるべく外出を控えること。どうしても外出するときはマスクやメガネを着用して鼻などに入る花粉をカットしましょう。また、けばだった毛織物など花粉が付着しやすい衣類の着用は避け、つばが広めの帽子をかぶって頭や顔への花粉の付着を減らすようにするのも効果的です。さらに、帰宅したら衣服や髪をよく払って入室し、洗顔やうがいをすること。また、部屋はこまめに掃除し、洗濯物は室内に干したほうが良いでしょう。

通年性は、室内の掃除が一番大切。週2日以上、掃除機で1畳あたり30秒以上かけて掃除してください。部屋の湿度(45%程度)や室温(20~25度)、寝具の清潔にも気を配り、ふとんは高温乾燥や掃除機の利用で、ダニを死滅・除去することも大切です。

岡本 美孝

監修/岡本 美孝

千葉大学医学部附属病院副院長などを経て、千葉ろうさい病院(千葉労災病院)院長。専門は耳鼻咽喉科学。

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