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健康コラム

Vol.115

慢性化すると危険な副鼻腔炎

2024.01.01

粘っこい鼻水に注意 難病タイプが増加中

アレルギー性鼻炎は鼻詰まりを引き起こす代表的な疾患ですが、別の病気が原因になっている場合もあります。そのひとつが副鼻腔炎。かつては蓄膿症と呼ばれていた鼻の病気です。

副鼻腔というのは鼻の奥のほうにある左右4対の空洞(上顎洞・篩骨洞・前頭洞・蝶形骨洞)のこと。その粘膜には線毛があり、それがウイルスや細菌などの異物を捕捉して排除する役割を果たしていますが、粘膜に炎症が起きて線毛の働きが悪くなったり、鼻と副鼻腔をつなぐ管がふさがったりすると、異物を正常に排出できなくなり、分泌物が副鼻腔内にたまっていきます。この状態が副鼻腔炎です。

アレルギー性鼻炎は透明で水っぽい鼻水が出るのに対し、副鼻腔炎は濁った粘性の鼻水が出るのが特徴。また、鼻水から嫌なにおいがすることがあります。ほおや鼻の周囲の痛み、頭痛や頭重感、発熱、においがわからないなどの症状が出る場合もあります。

風邪が原因になる場合が多く、風邪が治ったと思った後も鼻水や鼻詰まりが治まらない場合は要注意です。軽症なら多くは1か月程度で治癒しますが、症状が持続して長引いてしまうケースを慢性副鼻腔炎と呼びます。急性に比べて治療が難しく、長期化することも少なくありません。

耳鼻科の受診が勧められる副鼻腔炎の主な症状

また、近年増えているのが治療への抵抗性をもつ難治性の「好酸球性副鼻腔炎」というタイプ。厚生労働省の指定難病です。鼻のなかに粘膜が破れてこぶのようになった「鼻茸」ができて手術をしてもすぐに再発することがあるほか、嗅覚障がいを引き起こしやすく、喘息を合併しやすいといった特徴があります。

治療は、急性の副鼻腔炎で症状が強い場合、投薬やネブライザー(吸入器)などによる保存的治療を行い、ほとんどはそれで改善に向かいます。

一方、慢性の場合は炎症を抑える抗菌薬を2~3か月かけて投与。アレルギー性の炎症がある場合は抗アレルギー薬も投与します。保存的治療で効果が出ない場合は手術が検討されます。内視鏡を使った異常粘膜の除去や副鼻腔の開放などが中心です。

好酸球性の場合はステロイドを内服することもありますが、改善しない場合は手術となります。ただ、再発しやすく、その場合は抗体治療が用いられることもあります。

早めの治療が早期改善のカギを握りますから、気になる症状があったら医療機関を受診してください。

岡本 美孝

監修/岡本 美孝

千葉大学医学部附属病院副院長などを経て、千葉ろうさい病院(千葉労災病院)院長。専門は耳鼻咽喉科学。

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