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健康コラム

Vol.116

アレルギー性鼻炎の治療法

2024.02.01

根本治療へ期待集まる アレルゲン免疫療法

花粉やダニなどを原因物質(抗原・アレルゲン)とするアレルギー性鼻炎は、適切な治療でつらい症状を改善することが可能です。薬による対症療法に加え、体質を変えて根本治療を目指す免疫療法も登場しています。

まずは医療機関で抗原検査を受けて原因物質を特定し、原因物質の除去・回避を図ることが治療の第一歩です。そのうえで、症状をやわらげたり、抑えたりする薬による対症療法を行います。

治療薬として代表的なのが抗ヒスタミン薬。アレルギー反応を抑えてくしゃみや鼻水に効果を発揮する薬です。第1世代の抗ヒスタミン薬は眠気や口の渇きなどの副作用がありましたが、それらを低減する第2世代の薬も次々に登場。効果が長続きするなど薬効も向上してきています。

薬物療法では、これに鼻詰まりを改善する抗ロイコトリエン薬を組み合わせることもありますが、症状が一定以上強ければ、ステロイドの鼻噴霧薬が用いられます。1日1回の使用でさまざまな鼻炎の症状に効果があり、長く使用しても安全性が高いものになっています。

耳鼻科の受診が勧められる副鼻腔炎の主な症状

以上のような薬による対症療法に対し、根本治療を目指すのがアレルゲン免疫療法と呼ばれる治療法です。原因物質のエキスを少しずつ体内に入れて体を慣らし、原因物質に対する反応を弱めていく薬を使用します。

医療機関で受ける注射(皮下免疫療法)に加え、舌の下に薬を入れて溶かし、粘膜から吸収させる舌下免疫療法という自宅でできる治療法もあります。効果が発現するまでに2か月程度は必要で、長期間の効果の持続を得るためには3年以上の継続が望ましいため、根気良く続けることが大切です。国内ではスギ花粉とダニを原因とするアレルギー性鼻炎に健康保険が適用されています。1日1回投与する錠剤です。

一方、鼻詰まりがひどく、薬で改善しない場合などには鼻の粘膜を切除して小さくする手術をする場合もあります。外来で受けられ、体の負担が小さいレーザー手術でも対応可能。しかし、アレルギー性鼻炎を完全に治す治療法ではないため、再発も見られます。

完治が難しいアレルギー性鼻炎ですが、適切な治療で症状をやわらげることができ、ケースによっては抜本的な治療が望めます。まずは医療機関で正確な診断を受けましょう。

岡本 美孝

監修/岡本 美孝

千葉大学医学部附属病院副院長などを経て、千葉ろうさい病院(千葉労災病院)院長。専門は耳鼻咽喉科学。

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